漫画家イエナガの複雑社会を超定義

世界の変革者かそれとも...イーロン・マスクって何者っ?

初回放送日: 2023年12月1日

世界注目の実業家!イーロン・マスクを俳優・町田啓太が超速解説!TwitterをXに変え話題!電気自動車など革新的ビジネスの秘密とは?難しい事を漫画CGで学ぶ 漫画家イエナガ(町田啓太)が先輩漫画家(ふせえり)にプレゼンするのは「イーロン・マスク」。 2022年世界長者番付1位に輝いた注目の人物!宇宙開発・電気自動車・AIなど様々な事業で世界を驚かす。突然のCEO解任!ロケットの打ち上げ連続失敗!なぜピンチを乗り越えられた?マスク流経営メソッド「第一原理」&「長期思考」とは?超意外!?少年時代は内気だった?その人生や考えを知れば未来が分かっちゃうかも

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  • 世界有数の富豪!実業家イーロン・マスクっていったい何者?

世界有数の富豪!実業家イーロン・マスクっていったい何者?

いま世界を最も騒がせる人物のひとりが、アメリカの実業家イーロン・マスク(52)です。2022年にTwitter社を440億ドルで買収して、突然社名をXに変えたことが話題になりましたよね?最近ニュースで、その名前をよく聞く人も多いのではないでしょうか。

そんなマスクは、2022年世界長者番付の第1位で、資産総額はなんと、推定2190億ドル。大ヒット映画『アイアンマン』の主人公のモデルになったりもしていて、一代で大成功を収めた世界超注目の人物なのです。

キーワード表示 民間人初の月旅行も計画中

とりわけ手掛ける事業で話題なのが、宇宙開発ベンチャー「スペースX」です。世界初の民間人のみの宇宙旅行に成功し、実業家の前澤友作さんを乗せて月旅行に行く計画もあります。さらに電気自動車メーカー「テスラ」では、創業から20年足らずで時価総額1兆ドルを達成しました。いまや自動車業界のトップに君臨しているのです。

キーワード表示 マスク流の経営メソッドとは?

そんなマスクの性格はどんなものなのでしょうか。Microsoftの共同創業者ビル・ゲイツからは「リーダー気質な人だ」。Googleの共同創業者ラリー・ペイジからは「誰もやらないことをやってのける」。マスクの公式伝記著者のウォルター・アイザックソンからは「ひと言で表すと、キョーレツ」という感じで、マスク評を述べています。多くの人の共通認識は、”ザ・起業家”ということでしょうか。

そんなマスクはどんな経営者なのか?読み解くキーワードが、「長期思考」や「第一原理」です。その経営メソッドで、世界が驚く事業の数々を成功させてきました。

その一方で過激な言動で、批判されることも多いです。たとえばテスラ社では、エイプリルフールにウソの投稿をして株を暴落させました。Twitter社では社員の半分をクビにしています。なんだか近くにいたら、結構大変な人のように感じませんか?

世界大注目の実業家イーロン・マスクは、実際どんな人物なのでしょうか?彼の数奇な人生をたどり、世の中の見方や人生の価値観を知ることで、ビジネスで成功するヒントが見えてくるかもしれません。

 キーワード表示 少年時代のマスクとは?

Q、そもそもイーロン・マスクはどんな子どもだった?

イーロン・マスクはいったいどのような子どもだったのでしょうか。

マスクは1971年に南アフリカで、機械エンジニアの父とモデルの母のもとに生まれました。子どものころに夢中になったものが、2つあります。

  • ①   読書

1つは読書です。地元の図書館の本を読み尽くして、最終的には百科事典まで読みこむレベルだったそうです。

  • ②   プログラミング

2つ目がプログラミングです。10歳ごろに始めると、13歳の時には自作したパソコンゲームが、専門誌に掲載されるほどの腕前になりました。

本とパソコンが友達という感じで、性格はかなり内気で人見知りだったそうです。そのせいか、学校では結構深刻ないじめにあうこともあり、苦労していました。そんなときに心の支えとなったのが、SF小説「銀河ヒッチハイクガイド」です。地球滅亡後の宇宙を飛び回る冒険活劇で、かなり夢中になりました。

シリコンバレーから大きな刺激を受けた青年マスクのイメージ絵

1989年、高校卒業後はカナダへ渡り、その後1992年にアメリカのペンシルベニア大学へ進学しました。宇宙やITへの興味から、物理や経済の勉強に打ち込みます。折しも1990年代は、インターネットが急速に発展していました。マスクはGoogleやAmazonなどのIT企業が、次々誕生するシリコンバレーに、大きな刺激を受けたそうです。

キーワード表示 マスクの企業の原点 IT・再生可能エネルギー・宇宙開発が社会を変えると大学時代に確信

イーロン・マスク企業の原点は環境問題!?

また1992年には、「環境と開発」をテーマに172か国が会談した国連会議「地球サミット」が開催されるなど、エネルギーや環境問題が世界的に注目を集めました。マスクは「今後石油が枯渇するなら、どうしたらいいのか?」と真剣に考え、未来の環境問題に高い関心を寄せていたそうです。そして大学生のマスクは、IT・エネルギー・宇宙開発の3本柱で社会課題を解決できないか、と思うようになっていきました。

キーワード表示 起業当時は資金繰りに苦労

イーロン・マスクが注目された2つの事業

1995年、マスクは大学院を中退し、得意のIT分野で起業します。そんな駆け出し時代のマスクには、事業家として注目された、2つのターニングポイントがありました。ここにイーロン・マスク爆誕のヒミツがあります。

  • ① オンライン広告事業

1つ目が1995年に、最初に手がけたオンライン広告事業「Zip2」です。マスクはボロアパートの一室で、事業をスタートしました。連日食事は安いハンバーガーばっかりと、生活費に困るほど、かなり資金繰りに苦労していたそうです。そんな中デジタル上の地図に、お店の広告などを載せつつ、店舗を道案内する革新的なサービスを生み出しました。最終的には1992年に会社を大手PC企業に3億ドルで売却し、一躍IT長者になりました。

キーワード表示 IT事業の成功例。メールでの送金サービスが人気に。2002年イーベイに15億ドルで売却

  • ② オンライン決済サービス事業

2つ目が金融の分野で始めた、オンライン決済サービス「X.Com」です。預金やローン、株に保険まで、あらゆる金融サービスをオンライン化する挑戦的なビジネスプランです。後にペイパルと改称されました。

ここで苦労したのは、チームマネージメントです。マスクは思い立ったら即実行、一人で何でも出来ました。それゆえ、部下にも求めるハードルがかなり高く、集めたメンバーが次々と辞めたり、自分自身も旅行中にCEOを解任されたりしたそうです。紆余曲折ありながらも最終的には、この事業も大成功を収めました。メールでの送金サービスが人気となり、2002年にイーベイに15億ドルで売却したのです。マスク個人も2億ドルと、巨額の財産を手にすることができました。

日経BP 山崎良兵さんインタビューの様子

そんなイーロン・マスクとは実際どんな人なのでしょうか。マスクに直接取材した経験もあるジャーナリストの山崎さんに聞いてみました。

日経BP 山崎良兵さん

「私が感じたのは、話し方でいえば意外とシャイで、恥ずかしがりやみたいなしゃべり方をするところです。必ずしも滑舌がいいほうではなくて、雄弁に話をするタイプではないんです。そこが逆に印象に残りました。

イーロン・マスクの魅力は挑戦心です。その挑戦心があまりにもぶっ飛んでいて、クレイジーでとんでもないやつで、腹立たしいけれども、そこに多くの人はやっぱり心を動かされてしまう。話す内容が壮大なんですよね。人類だとか文明だとか、何千年の歴史をみると、人類は再び衰退する可能性があるという話をしたり。一体この人の頭のなかはどうなっているんだ、というふうな驚きを感じました。のちにペイパルマフィアといわれるマスクの元同僚で、『ペイパル』の創業メンバーたちと一緒にいても、やっぱりアイツすごいよねって言われる。そういう評価を得ていたと思います。」

キーワード表示。宇宙開発ベンチャー スペースX 

マスクが一躍有名になった事業「スペースX」

2000年頃のマスクは、いくつかの事業で成功したアメリカでも、まだ知る人ぞ知る感じでした。2002年、その名を世界に知らしめる事業が始まります。それが宇宙開発ベンチャー「スペースX」です。この事業を見てみると、マスクの考えや、価値観の神髄がわかってきます。

まずロケット開発をする目的が、超ぶっとんでいて「人類を火星に移住させること」です。さらにその理由も、超スーパーぶっとんでいて「地球の環境破壊が進み人類が滅亡する前に、人類の住める場所を作りたいから」でした。

ただ大きな壁がありました。一般的にロケットの宇宙開発は、歴史的にアメリカやロシアが国家的事業としてけん引しており、関わるのはボーイングなどの巨大な企業ばかりでした。そのため参入がとても難しいのです。実際に「ポッと出てきたばかりのベンチャー企業なには無理に決まってんだろう」と、いろんな人からバカにされたそうです。

キーワード表示。長期思考と第1原理

Q、イーロン・マスク独自の稼げる経営メソッドとは?

そんな無謀とも思える挑戦をするマスクには、ある特徴的な2つの経営メソッドがありました。

  • ①  「第一原理」

1つ目は「第一原理」です。常識に囚われず、あくまでデータに基づいて、“そもそも”や“もともと”から、徹底した理論で考えるというものです。

たとえばロケットの打ち上げコストは、1回数百億円と莫大な費用がかかります。それをマスクは100分の1にすることを目指したのです。その実現のため、部品1つ1つの材料から、製造の工程に至るまで、緻密なデータ分析を行いました。すると通常のロケット製造は、部品などを1000以上の会社に外注し、1回打ち上げたら使い捨てていたことがわかりました。そこで部品を外部に頼らず、自分たちで作る内製化を行いました。さらに同じロケットを何度も使う再利用化をすることで、コストを大幅に削減することに成功したのです。

キーワード表示。マスク流経営メソッド 長期思考。壮大な時間感覚で遠い未来も、近い危機と認識し、緻密な計画を立てること

  • ②「長期思考」

もうひとつは「長期思考」です。マスクはSF好きだからなのか、「遠い未来もすぐ近くやってくるから、急いでやろうよ」という感覚が強いのです。大きな目標を掲げ、長期的なビジョンを持ちながら、短期的にやるべきことを結構緻密に実行しています。

実際に会社を作った当初、人類滅亡の可能性を近い危機と考えていました。だからこそ、会社設立から”わずか10年での火星へ移住”と、とんでもないタイムスケールで目標を掲げたのです。具体的には、「まず1つめのエンジンを作ったら、その1か月後に2つめのエンジンを作って、そのまた1ヶ月には本体を完成させて…」という感じです。その流れで10年後くらいには、火星旅行も出来るとプランを立てました。

実際は最初の打ち上げを、連続で失敗しました。目標1年4か月のはずが、結局3年以上かかり、4度目で成功しています。常に、目標を修正しながら、実現向けて行動しています。

今では年間60回を超える打ち上げが出来ています。あのNASAも宇宙開発の大部分を、スペースXに頼るようになっているのです。「スペースXがなくなったら宇宙開発が停滞する」と言われています。

テスラのマスタープランの一例を図化。2016年以降はPART4。環境に優しい発電システムを作る

マスクメソッドがテスラの成功にもつながった!?

このマスクの経営メソッドは、電気自動車メーカー「テスラ」でも発揮されています。象徴的なのは、2006年に発表したマスタープランです。“地球環境のために、どう電気自動車を広めるか”というロードマップになります。

具体的には、まず高価なスポーツカーを作って、有名人をはじめとする富裕層のファンを獲得します。その後、お手頃な大衆車を展開します。並行してCO2を排出しない発電システムも構築するという内容です。

このプラン通り、着実に事業は進行しました。マスタープランのパート2や3も発表し、今やテスラの車が世界で一番売れています。さらに飛行機や船まで電力で動かそうともしており、今後ますます事業を拡大していくと見られています。

キーワード表示。ニューラリンク。脳に埋め込むICチップを開発。難病治療などに期待される

どんどん広がるマスクの最先端ワールド

そんなマスクは、次々と最先端の事業に意欲的に取り組んでいます。ロサンゼルスの地下に渋滞の解消を目的に、巨大トンネルを掘って、磁力で浮いたカプセルを時速1200Kmで走行させる「ハイパーループ」構想を打ち立ました。ほかにも「ニューラリンク」という会社では、脳にICチップを埋め込んで、コンピューターと情報をやりとりするシステムを開発しています。

そして2022年話題となった、Twitter買収です。この目的は、決済や予約サービス、ゲームの機能を付け加えて、何でも出来る「スーパーアプリ」を作ろうとしているからだそうです。 

マスクが見据える未来とは?

その一方で過激な言動で、批判をされることもしばしばあります。従業員に超ハードワークを求めたり、「日本は消滅するだろう」なんて発言をしたりしています。X(旧Twitter)を有料化する話もあったり、「信用できないヤツ」「天才ってより大馬鹿者」と、マスクのビジョンや経営手法などを、かなり懐疑的に見ている人も多いのです。

日経BP 山崎良兵さんインタビューとキーワード表示。シンギュラリティへの危機感。人類の知能を上回るAIが暴走し、私たちを脅かすのではないかと危惧。

そんなマスクは、どんな未来を考えているのでしょうか。マスクの経営哲学に詳しい、ジャーナリストの山崎良兵さんに聞いてみました。

日経BP 山崎良兵さん

「地球が滅びる可能性だとか、そういった事を割とよく認識している人ですね。やっぱり環境問題がこのままひどくなると、人間が住めなくなるかもしれない。だから別の惑星に行かなきゃいけないと考えている。

また彼は、AIが人類の知能を完全に凌駕して、人類を滅ぼそうとするのではないかという危機感を持っています。そのため、ものすごくAIを研究しているわけです。AI的なものと人間というのを組み合わせて、人間を革新しようということも考えている。

悲観的に考えているからこそ、それを自分の手で変えられる、楽観的なものに変えられるような可能性にかけている。多分そういう発想をしている人というふうに思います。」

ロケットや電気自動車、AIなど、飽くなき未知への探究心から、次々と事業を成功させ、人類に革命を起こすアメリカの事業家イーロン・マスク。火星移住をはじめ、マスクが思い描く未来は実現するのか?偶然マスクと同じ時代に生きる私たちが目の当たりにしている光景は、100年後どう語られているのでしょうか?SF的に未来を想像してみるのも、楽しいのかもしれません。

イーロン・マスクの巻 相関図