漫画家イエナガの複雑社会を超定義

IPビジネスを知ればエンタメの最前線がわかっちゃう!?

初回放送日: 2023年8月4日

エンタメの最前線!?知的財産をめぐる「IPビジネス」を俳優・町田啓太が15分で超速解説!なぜ世界で急成長?誰もがクリエイターに?最新トレンドを漫画CGで学ぶ! 漫画家イエナガ(町田啓太)は喫茶店店員(紺野彩夏)にテーマ「IPビジネス」をプレゼン。キャラクターから展開されるグッズ化・アニメ化・映画化・・・人気エンタメは全部IPビジネス!?それを読み解くキーワード“世界観”って?実はあの有名人がパイオニア?日本はどうなの?SNSの発展で人生激変!?話題のクリエイターエコノミーとは?IPビジネスを深く知れば、明日からエンタメがもっと楽しめちゃうかも!

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  • 私たちにもビジネスチャンス!? エンタメ最前線IPビジネスとは?

私たちにもビジネスチャンス!? エンタメ最前線IPビジネスとは?

身の回りに広がるIPビジネス 可能性あふれる成長市場!?

いま注目を集めているのが、IPビジネスです。ピンとこない人もいるかもしれませんが、私たちを楽しませるエンタメに深く関わっています。簡単にいうとキャラクターなどの知的財産を、グッズ化、アニメ化、ゲーム化、とどんどん展開していくビジネスのことです。さらに、クリエイターエコノミーという個人発信の市場も盛り上がっています。もはやエンタメの最前線はここにあるかもしれないワクワク激アツトピックなんです。

IPビジネスの世界の売り上げ

最近、IPビジネスの勢いは増していて、2021年の世界の売り上げは、なんとおよそ3155億ドル。10年足らずで約3倍に爆増しています。とりわけ大ヒットを飛ばしているのがアメリカの「MARVEL」です。ひとつの映画やドラマに、アメコミスターたちが大集結するスペクタクルな世界が大ウケしています。世界の映画興行収入TOP10のうち、4本がMARVELの作品なのです。このビッグヒットを生み出したキーワードが「世界観」で、異なる作品をクロスオーバーさせて壮大な物語を作り出し、世界中の人々を魅了しました。

このIPビジネスで、負けていないのが日本です。世界で一番稼いだキャラクターはポケモンで、その経済規模はおよそ13兆円にのぼると言われています。そして今、SNSなどで個人がIPを発信する「クリエイターエコノミー」もとても盛り上がっていて、その市場規模は、およそ15兆円にまで成長しています。

この奥深い世界を知れば、エンタメの最前線をのぞけたり、個人がクリエイターになって社会にインパクトを与えられる可能性があったりと、いまや私たちはIPを「楽しむ」から「参加」するっていうワクワクな時代に、足を一歩踏み入れているかもしれないという話なんです!

IPとは?

Q、そもそも「IPビジネス」って?

まずは、IPってなに?

そもそもIPとは何なのでしょうか。IPは「Intellectual Property(インタレクチュール・プロパティー)」の略で、知的財産という意味です。知的財産とは研究開発によって生じた「特許権」や、映像や音楽などの「著作権」や、商品やサービスなどの「商標権」や、クリエイティブな活動によって生み出された、そうした権利を持つものを指します。

IPビジネスとは?

IPビジネスの仕組み

では「IPビジネス」とは一体どういうものでしょうか。イエナガ先生が作ったオリジナルキャラクター「ザ・ストロングちゃん」を使って説明します。

例えば誰かが、「ストロングちゃんを使ってアニメを作りたい」と思ったとします。

でもストロングちゃんの著作権はイエナガ先生にあるので、他の人は勝手には使えません。そこでアニメを作る人は、イエナガ先生に「ロイヤリティー」と呼ばれるIPの使用料を支払わなければなりません。これが「IPを持つクリエイター側」の利益になります。

一方「IPを使用するアニメ制作側」は、動画配信サイトにアニメを販売したり、アニメのグッズを売ったりして利益を上げます。簡単に言うと、これがIPビジネスの仕組みです。

IPビジネスの始まり

「IPビジネス」の始まりはあの有名作家!?

IPビジネスはいつどのようにはじまったのでしょうか。

その起源は19世紀のヨーロッパのオペラにありました。このころオペラが流行していましたが、その多くはすでに発表されている小説や戯曲などを無断で書き換えて上演していたのです。劇場側は公演入場料などでうけていましたが、一方の原作者側には1円も払われず、「俺の作品、勝手にオペラにされている!?」なんてこともあったそうです。

そこで立ち上がったのが、小説『レ・ミゼラブル』で有名なフランス人作家ヴィクトル・ユゴーです。彼もまた戯曲「リュクレース・ボルジア」などを勝手にオペラに書き換えられていました。そこで「原作者たちが今後こんな目に合わないように!」と訴訟を起こし、権利を訴えました。さらに「国際文芸協会」という権利保護のための団体も立ち上げました。その道半ばで、ユゴーは亡くなってしまいます。ですが、その考えをもとに1886年、世界初の著作権の国際条約「ベルヌ条約」がフランスなどによって調印され、国際的な著作権の重要な原則が確立されました。その結果ベルヌ条約以降、クリエイターは著作権で収入が得られるようになっていったのです。

ディズニーはIPビジネスの先駆けだった

ディズニーの成功も「IPビジネス」があったからこそ!?

そしてベルヌ条約成立からおよそ50年後、IPビジネスを確立する人物が現れます。それが、かのウォルト・ディズニーです。

1930年代、ミッキーマウスのアニメは大ヒットしていたものの、制作費がばく大すぎて、会社経営は火の車でした。それでもなんとかしてアニメを作り続けたいと打って出たのがミッキーマウスのグッズ化でした。

ここで彼が考えていたのが、キャラクターのブランド価値を最大化することです。優良な企業とだけ手を組んで、グッズを開発し販売したのです。例えば全米大手のゼネラル・フーズが販売するシリアルのパッケージに、ミッキーマウスを印刷する権利を売り、100万ドル稼ぎました。また世界的な宝飾ブランド「カルティエ」から、ダイヤモンドのミッキーマウス・ブレスレットを販売しました。全世界でのグッズ販売の売り上げは、2年で7000万ドルに及びました。こうしてキャラクターの魅力と権利を利益に変える、IPビジネスのシステムを確立したのです。

IPビジネスの覇者「MARVEL」とは?

IPビジネスの覇者「MARVEL」に見る成功の秘けつとは?

そして現代、IPビジネスは爆速で進化中です。中でも大きな成功を収めているのがアメリカの「MARVEL」です。

もともとMARVELは1939年に設立された「スパイダーマン」や「アイアンマン」などの人気アメコミを生み出してきた出版社です。自社漫画の映画化も行っていましたが、うまくいかず、1996年には破産申し立てに追い込まれました。

そこでMARVELが起死回生の一手として取り組んだのが、映画シリーズ「マーベル・シネマティック・ユニバース」です。2008年に全米公開された映画「アイアンマン」から始まる、人類を守る最強ヒーロー達を描く映画などの作品群があり、これが大成功。シリーズの合計売上は250億ドル以上にものぼっています。

MARVELのIPビジネスが大成功した要因は「世界観」とも言われています。どういうことかと言うと、普通は別々の作品に登場する人気キャラクターを一つの作品に大集結させることで、化学反応を起こしたり、超魅力的な物語を作り出したりしたということです。

例えば、「スパイダーマン」のファンがいるとすると…スパイダーマンが人気キャラとチームを組んで地球滅亡の危機に立ち向かうという物語を観て、手に汗握っちゃって、「アイアンマン」や「ハルク」のファンにもなってしまう…!という感じでしょうか。

日本の「キャラクター」の強さとは

IPビジネスは日本の得意分野

漫画やアニメの話と聞くと、「こういうのは日本の得意分野じゃないの?」と思いませんか?実際、日本のIPビジネスの年間売上は2.5兆円で、アメリカに次ぐ世界2位です。ワンピースやセーラームーンなどのマンガやアニメは、世界中で大人気になっていますよね。

Q、なぜ日本は魅力的なキャラクターをたくさん生み出せるの?

ではなぜ日本は魅力的なキャラクターをたくさん生み出しているのでしょうか。

日本がキャラクターIP大国なワケ ①漫画の市場規模が大きくキャラクターが生まれやすい

① 漫画市場が大きい

その1つの理由は、日本の漫画販売額は年間およそ6770億円と漫画の市場規模が大きいことです。毎週12万ページもの新たな漫画が生まれるとも言われていて、たくさんの作品やキャラを生み出せる環境があります。そのため人気キャラも生まれやすいというわけです。

日本がキャラクターIP大国なワケ ②日本はそもそもキャラクターを好きな人が多い!?

② 日本には昔からキャラクターを受け入れやすい文化があった!?

ゆるキャラブームの代表「くまモン」の生みの親である水野学さんは、「日本の『八百万の神』というこの世のすべてに神様が宿っているっていう考えから、身の回りのすべてをいとおしいと感じる素養が育まれて、キャラクターを好きな人が多いんじゃないか」と語っています。

そんなIP大国日本で誕生して、世界で一番売れた!と言われているキャラクターがポケットモンスターです。1996年にゲームのキャラとして誕生してから、漫画化、アニメ化、グッズ化、映画化、カードゲーム化、スマホゲーム化と、IPビジネスの正の連鎖を繰り返し、現在までに稼ぎ出した金額はおよそ13兆円にものぼるといわれています。

ビッグマネーが動くIPビジネスは、なぜこんなにも成長を続けられるのか、経済産業省コンテンツIPプロジェクト研究会主査でエンタメ社会学者の中山淳雄さんに聞いてみました。

経済産業省コンテンツIPプロジェクト主査 エンタメ社会学者 中山淳雄さん

「分かりやすく言うと、デジタル化です。コンテンツがオンラインで全部並ぶようになったので、みんなが一緒のタイミングで楽しめるようになったのが大きいと思います。最近で大きかったのは動画配信ですね。グローバルでアメリカだろうとシンガポールだろうと、同じタイミングでアニメを見られるようになったのがすごく大きかったなと思いますね。

またSNSの普及も大きな影響を与えました。SNSが変えたのはユーザーのコミュニティです。SNSがある事で、感想やそういったものを表現できるようになりました。それまでコンテンツはゲームが出ました、映画が出ました、で終わりだったんですけれど、やっぱりコンテンツがずっと生きている感じがあるんですよね。やっぱりこの6,7年ぐらいの大きい変化で、ユーザーが参加する事でコンテンツもパワーを得るよねっていう所がすごく変わってきていると思います。」

誰もがクリエイターになれる時代到来!?

IPビジネスの可能性は私たち一個人にも

そして今、IPビジネスに新しい可能性が生まれてきています。それが話題の「クリエイターエコノミー」です。デジタル技術の発達でデザインや動画・音楽編集ソフトが普及し、個人のクリエイターが簡単にキャラクターを作れるようになりました。またSNSでいつでも個人でコンテンツを発信できるようになりました。さらにクリエイターが活躍できるプラットフォームやそのビジネスを支援する企業やサービスも増えています。

クリエイターエコノミーの成功例

クリエイターエコノミーの成功例 おぱんちゅうさぎ

若者を中心に人気の「おぱんちゅうさぎ」を生み出したのは「可哀想に!」(かわいそうに)さん。2020年にそれまで趣味で描いていたイラストをSNSで発信しはじめてから、その独特な世界観とユーモアあふれるキャラの魅力が多くの人のハートをキャッチします。そのキャラでLINEスタンプを作ると、これまた人気になりました。

フォロワー0からはじまったSNSは、わずか3年で総フォロワー数190万人に及んでいます。今ではポップアップショップが開かれれば完売のグッズが出るまでになっているそうです。このように現在、国内のクリエイターエコノミーの市場規模は1兆3000億円、世界では15兆円を超え、成長を続けているのです。

クリエイターエコノミー協会事務局長 弁護士 淺井健人さん インタビュー

クリエイターエコノミーの今後の可能性やリスクは?

大注目のクリエイターエコノミーですが、今後の可能性やリスクについてどんなことが考えられるのか、クリエイターエコノミー協会事務局長で弁護士の淺井健人さんに聞いてみました。

クリエイターエコノミー協会事務局長 弁護士 淺井健人さん

「これまでは万人受けするようなコンテンツが注目されていたという所があります。ですが今はいろんなサービスが立ち上がる事で、実際100人ぐらいにコンテンツが売れれば、ある程度値段が高くてもニッチなところで、そこにしか物が無いので、買ってもらえる。そういった方々はファンになって、継続的にも買ってくれるという所があったりして、それだけでも経済が成り立つこともあります。

一方リスクで言うと、これまで会社でやっていた場合は会社の方で契約書を締結することがありましたが、個人でやる場合はそれを自分でやらなければいけないという所で、つい契約書を締結するのを忘れてしまったという事があります。すると、あとから『それは別にお金を払うと言っていなかった』とか、あとから『それはちょっと思っていたものと違う』と言って、お金が払わないといったトラブルに巻き込まれる事もあります。」

ファンが100人いればビジネスが成立するなんて、可能性を感じませんか。でも自分で契約をしたり、正しく権利を活用することが難しいのもまた事実です。クリエイター自身が専門知識を学びつつ、専門家を頼っていくことも必要かもしれません。

創作者の権利を守ろうという思いから生まれたIPが、今やさまざまなコンテンツを生み出す現代。誰もがクリエイターとなって、自分の「好き」から生み出したIPを発信し、それが想像を超えて人々を楽しませるビジネスにまで発展しているのです。この先の未来、いったいどんな新たなエンタメが生まれるのかワクワクしてきませんか?

IPビジネス 相関図