漫画家イエナガの複雑社会を超定義

注目の株式投資!これってギャンブル?を考えてみた

初回放送日: 2023年5月26日

いま話題の株式投資を俳優・町田啓太が超速解説!NISAの新制度とは?株価は何が影響?どう決まる?世界経済とのつながりは?難しいことを漫画やCGで楽しく学ぶ15分 漫画家イエナガ(町田啓太)が喫茶店で店員(紺野彩夏)に新作プレゼン。テーマは「株式投資」。注目は今年から新制度となるNISA。生涯非課税限度額1800万と引き上げられ投資への機運が高まっている。でも、そもそも株式投資って?株価ってどう決まる?会社の業績や経済状況だけじゃなく”買いたい心理”が作用する?さらに話題のESG投資とは?複雑な株式投資の仕組みを知ることで、世界の見え方が変わってくるかも!?

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目次

  • 投資で生活も経済もプラスに?

投資で生活も経済もプラスに?

いま投資がめちゃくちゃ熱くなっています。注目は2024年から新制度となるNISA。一定の期間や額で税金がかからなくなるものですが、非課税限度額は1800万へと引き上げられました。実はこれって、政府が打ち出してる「資産所得倍増プラン」っていう構想のひとつです。日本では家計の金融資産の半分、およそ1100兆円が銀行などに預けられているのですが、それを投資に回すことで、新しい事業を展開させたり、経済を活性化させたりしようとしているのです。さらに「FIRE(Financial Independence, Retire Earlyの略語)」っていう言葉、最近よく聞きませんか?お金を貯めたら早期退職して、資産運用しながら、あとは好きなことをして生きていこうという考え方で、これは投資がライフススタイルまで変える可能性があるということなんです。

でも投資って、知識もなく始めちゃって、すぐに大儲けできるほど甘いものでもないですよね。株価は何で決まるのか、日々のニュースはどう関係しているのか、わかりやすく解説します!

株式投資

Q、「株式投資」って何?

始まりは貿易事業への出資

株式投資の歴史は意外と古くて、およそ400年前、オランダの「東インド会社」がルーツと言われています。大航海時代にアジアとの交易にあたっていた企業で、コショウとかナツメグなどの香辛料をヨーロッパへ運び、商売をしていました。しかし、それには大きな船が必要で、作るのにお金がかかります。そこで、富裕層の出資を募っていました。当時の航海はとても危険で、難破したり、海賊に襲われたりと、せっかく作った船がよく台なしになったそう。このようにリスクが大きいため、お金を集めるのがとにかく大変でした。そこで考えられたのが、たくさんの人から少しずつお金を集めるという画期的な仕組みです。一人ひとりの出資額を小さくすることでリスクを分散し、いろんな階級の人からお金を集めるようにしました。そして、お金を出してくれた人には「株券」を発行したんだそうです。「株主」になると、出資金に応じて利益が還元される「配当」や、「株券」を売ることで出る「値上がり益」みたいなものが受け取れます。

出資者は莫大な富を手に

その頃の個人投資家ピーターさんの記録が残っているので紹介します!運送業のピーターさんは10年間で、150グルデンを出資しました。当時の中流階級の月給は30か40グルデンだったから、結構大きな金額です。ピーターさんは出資してから6年後、初めて「配当」を受け取っています。金額は86.5グルデンで、庶民の月給の2~3倍ほど。最終的にはなんと、2万グルデンという、出資金の100倍以上の富を手にしました。

「出資した人にも会社側にもメリットがある素晴らしい仕組み」として、17世紀以降、世界中で「株式会社」がどんどん増えていきました。そして今や個人だけでなく、年金、保険、銀行など巨大な機関投資家たちが「株式」の取引に参戦し、株価が上がったり下がったり、株取引の世界はすごく複雑になっているのです。

Q、株価ってどう決まるの?

最近、世界をにぎわせているイーロン・マスクが最高責任者を務める電気自動車メーカーの株価がわかりやすいので見ていきましょう!2010年、当時ベンチャーだったこの会社は、ニューヨークにある証券取引所、ナスダックに株式を上場しました。当時の価格は、いまの株式数に換算すると、1株当たり1ドル台で、その後ゆるやかに推移していますが、2020年あたりから大きく上昇しています。なぜ株価が上がったのでしょう?

株価

①黒字化や予想以上の業績アップ

急激な値上がりの一番の要因は「会社の業績」だと言われています。この会社は上場後、しばらくは開発や生産のコストがかさみ、赤字が続いましたが、徐々に販売台数が伸びていき、2020年に年間の最終損益が初めて黒字になりました。つまり、いい業績というサプライズによって、株価は上がっていったのです。

②投資家心理を前向きにするニュース

投資家たちの「買いたい!」という心理が働くことも重要だと言われています。この頃、新たに中国など海外での現地生産開始というニュースが出て、投資家たちは「これは売り上げが増えそう!」と期待したわけです。2021年には、1株あたりの価格がなんと400ドル超えしました。

③環境の変化 この先も拡大しそうな期待感

さらに、温室効果ガスの排出量実質ゼロを目指す脱炭素化の流れが世界的に加速。5年後10年後には、環境に配慮した電気自動車は、ガソリン車よりも売り上げが伸びるのではないかという期待が高まりました。こうした将来への期待感が、投資家たちの「買いたい」モチベーションを上げ、株価をどんどん押し上げていったのです。

株価に関わる外部要因

株価に関わる外部要因

金利、為替、政治、国際情勢、天候など、周りの環境もとても大事で、「株価」を押し上げたり、押し下げたりしています。さっきまで見てきた電気自動車メーカーの株価も2020年の上昇と2022年の下落には、アメリカの金融政策が影響していたのです。

金融政策とは、中央銀行がお金の量や金利を調整することです。「金利」は預金や借金に対する利息の割合のことで、必ずしもそうではないのですが、一般的に金利が下がると株価は上がり、金利が上がると株価は下がる傾向にあると言われています。実際に2020年3月、アメリカの中央銀行にあたるFRBが新型コロナの感染拡大で「ゼロ金利政策」を行いました。このことが、電気自動車メーカーの株価を押し上げる一因になったそうです。逆もあって、2022年、アメリカで加速したインフレを抑制するため、FRBは急に「金利」を引き上げました。それまでゼロ金利政策のもと、株を買っていた投資家たちが一転して売りに回ったことで、株価を下げる一因にもなりました。こうしてみると、株価を見極めるにはその国の経済や政治をキャッチアップすることが大事になります。

世界情勢に左右される日本の株価

これは日本も同じで、海外のニュースが日本の株式市場に影響を与えることもあります。極端な例だと2016年11月9日、日本の株価が大きく動きました。この日、アメリカ大統領選挙でトランプ氏がまさかの優勢で、彼は選挙戦で自由貿易に後ろ向きな姿勢を見せ、日本に対しても厳しい発言を繰り返していたことから、投資家の不安心理が一気に高まり、株価は一時1000円以上大暴落しました。このように、アメリカの政治が日本の株式市場に影響を及ぼすのです。

さらにアメリカの株価そのものが、日本の株価を左右することもあるのです。それはなぜか、経済ジャーナリストの後藤達也さんに聞いてみました。

アメリカの株価が日本の株価に与える影響

【経済ジャーナリスト 後藤達也さん】

「まずアメリカって世界最大の先進国、経済先進国なんですけど、アメリカが景気が不調になってくると日本も影響が及んでくるんですね。アメリカの景気が悪くてアメリカの株価が下がるようだと、たぶん日本も、この先半年一年後の景気が悪くなるかもしれない。例えばアメリカの株が下がってきたりすると、投資家の懐の状況が悪化してしまって、日本の株も売っておかなきゃいけない、そういうことも起こったりするんですね。」

Q、日本の「資産所得倍増プラン」って?

いま日本政府は「資産所得倍増プラン」のひとつとして「投資をしてね!」という政策を打ち出しています。

新・NISA

①NISAの大幅改正

2024年1月から新制度となるNISAは、個人投資家に有利な制度です。非課税で保有できる期間が無期限になり、さらに生涯の投資限度額が1800万と引き上げられる予定です。どういうことかというと、普通は利益が出るとおよそ20%の税金がかかりますが、それが一定の額や期間で、税金がかからなくなるのです!例えば、1800万円投資してみたところ、儲かって、最終的に3000万になったとします。今までであればその利益1200万円に税金がかかると960万しか手元に残りません。ところが、NISAを利用すれば1200万円まるまるゲットできることになるのです。

②個人投資家への優遇税制

さらに、個人投資家を対象にした優遇税制も。株式を売却して得た利益をその年のうちにスタートアップ企業に再投資した場合、売却益の最大20億円までを所得税の課税対象から外すという方針も発表されました。日本は海外に比べ、スタートアップの数が少なく規模も小さいです。企業価値が10億ドルを超える非上場企業を「ユニコーン」といいますが、アメリカには512社あるのに対して、日本にはわずか6社しかありません。個人投資家のスタートアップへの支援を促す狙いがあるのです。

政府がここまで投資しやすい環境を整えるには理由があって、実は日本は世界的に見て「現金と預金」の割合がずば抜けて高いのです。なんと家計の金融資産、およそ2000兆円の半分以上もあります。それを少しでも投資に振り向けることで、日本経済を活性化させたいというのが政府の思惑です。

家計の金融資産の割合

Q、どうして日本人は投資に対して消極的なの?

日本証券業協会の調査によると、7割近くの人が「投資の必要性はない」と答えています。なぜこれほど投資に消極的なのか、経済ジャーナリストの後藤達也さんに聞いてみました。

【経済ジャーナリスト 後藤達也さん】

「ひとつ大きいのは、1980年から90年代序盤にかけてですね、バブル景気が崩壊して、当時日経平均っていうのは38000円台まで上昇して過去最高値っていうのをつけたんですけど、そこから20年ほどですね、株価っていうのは基本的に右肩さがりだったんですよね。株なんて手をだしてもなかなかうまくいかないという意識が広まったのは大きかったと思います。あとは保守的っていう点も大きな要素かと思っていまして、しっかり元本を守りたいっていう意識は強いようなので、そういう点では金利が低くても銀行に預けておこうっていう人が多いっていうのはあるかなと。」

高校で金融教育がスタート

求められる金融リテラシー教育

家計の金融資産を比較すると、日本と比べてアメリカは、株式や投資信託の占める割合が圧倒的に多い。これにはさまざまな理由がありますが、金融教育の充実もそのひとつと言われています。アメリカだと、金融教育をサポートする民間団体が、教材の開発や教員の研修を実施し、小学生で「なぜ投資するの?」「貯蓄と投資の違いと類似点は?」などを学ぶそうです。さらに中学生になると「単利・複利」まで学習するらしいのです。こうしたお金に関する知識や判断力を「金融リテラシー」と呼びますが、これは日本でも重要視されています。2022年から高校の家庭科で、株式投資や投資信託など「資産形成」を扱う授業が始まりました。

マネーゲームではない投資のあり方

そして今、中長期的な視点で環境や社会的な課題への取り組みを重視した投資手法も注目され、“ESG投資”や“インパクト投資”と呼ばれています。インパクト投資とは、例えば、保育士不足や次世代のIT人材育成など、特定の問題解決を目指す企業に投資をすることで、金銭的なリターンも得ながら、持続的なより良い社会を目指そうというものです。今後、投資のイメージが変わっていきそうですよね。

いま注目の株式投資、上がると思ったら下がって、下がると思ったら上がって、先が読めないから怖いイメージがありますよね。でもよくみると、株価は会社の業績だけでなく、経済や政治の動向、投資家の心理など、複雑な要素を反映させた、「社会の写し鏡」。そう理解すると、ちゃんとした怖がり方も見えてきませんか?そして、投資の力によって未来がどう変わるのか、私たちは胸のあたりをざわつかせながら見守っていくのかもしれませんね。

「株式投資の巻」相関図