忠臣蔵狂詩曲No.5 中村仲蔵 出世階段
この番組について
落語や講談で人気の「中村仲蔵」は、江戸時代の伝説の歌舞伎役者・初代中村仲蔵(1736-1790)が裸一貫からはい上がる実話をベースとした下克上物語。今回、その物語を、国民的人気を誇る「忠臣蔵」を軸に、江戸庶民に熱狂的に愛された江戸随一の芝居小屋・中村座とも深い縁をもつ歌舞伎俳優・中村勘九郎が演じます。閉塞感の只中を生きる現代の日本人を励まし、奮い立たせる年末エンターテインメント巨編です。 あらすじ 【前編】孤児だった中村中蔵(のちの仲蔵/中村勘九郎)は長唄と踊りの師匠(若村麻由美)の夫婦に育てられたが、やがて中村座の中堅役者・中村傳九郎(髙嶋政宏)の弟子となり、役者修業に励んでいた。踊りが得意な中蔵は女形の瀬川錦次(中村七之助)らに稽古をつけるなど才能を見せ、「大立者」と称される人気役者・二代目松本幸四郎(市村正親)の目にも留まるようになっていく。しかし、傳九郎のひいき筋の豪商・吉川仁左衛門(谷原章介)の座敷に中蔵も呼ばれ踊りを披露したことがきっかけで、役者を辞め吉川に奉公することに。病で倒れた父を助けるための選択だったが、中蔵は役者の夢を捨てきれなかった。やがて三味線方の娘・お岸(上白石萌音)と結婚。以前の師匠・傳九郎の許しを請い、「稲荷町」という最下層の役者から再スタートを切ることになるが、待っていたのは壮絶ないじめだった… 【後編】謎の侍(藤原竜也)に命を救われた中蔵は、芝居小屋に戻ってくる。折しも幸四郎から改名した四代目市川團十郎のもとに新たな立作者・金井三笑(段田安則)がやってくる。鬼ナマコの異名をとる曲者だ。三笑の書き下ろした芝居で猪の足を演じた中蔵は観客を沸かせた功で、團十郎に気に入られ、大立ち回りのある芝居にも抜擢され、出世していく。ある時、團十郎に伝言を告げる役を与えられた中蔵は、肝心の台詞が飛んで突然頭が真っ白に! しかし、絶体絶命のピンチを不思議な助けを得て乗り切り、ますます團十郎の心をつかんでいく。ついにはあろうことか「名題」と呼ばれる幹部役者への道が開かれていく。厳しい身分制度の江戸歌舞伎の世界で、前代未聞の下克上。そこに立ちはだかったのは、三笑だった。一座の次回作は超人気演目の『仮名手本忠臣蔵』。三笑は密かにいい役を期待する中蔵に「弁当幕」と揶揄(やゆ)される五段目にしか出ない、全く見せ場のない地味な役を割り当てる。はたして窮地に追いやられた中蔵に一発大逆転はあるのか? 【放送予定】 <前・後編>2021年12月4日・11日(土)夜9:00~10:29 BSプレミアム・BS4K 【脚本・演出】源 孝志(「京都人の密かな愉しみ」「スローな武士にしてくれ」「ライジング若冲」) 【音 楽】阿部海太郎 【出 演】中村勘九郎/上白石萌音 中村七之助/谷原章介 若村麻由美 尾上松也/ 髙嶋政宏/藤原竜也/大東駿介 山西惇 波岡一喜 本田博太郎/ 名取裕子 笹野高史 石橋蓮司/吉田鋼太郎/段田安則/市村正親 【制作統括】宮坂佳代子(NHK)伊藤 純(NHKエンタープライズ)八巻薫(オッティモ) 【プロデューサー】川崎直子(NHKエンタープライズ)八木康夫(オッティモ)森井敦(東映京都撮影所)
出演者・キャストほか
中村中蔵のちの仲蔵 (中村勘九郎)
江戸歌舞伎の厳しい階級制度のなか、いじめに耐え抜き、最下層からトップにまで上り詰めた歌舞伎役者。
お岸 (上白石萌音)
仲蔵の妻。得意の唄や三味線で苦境に追い込まれる仲蔵を鼓舞する。
瀬川錦次のちの初代市川染五郎 (中村七之助)
門閥外の出自ながら野心に富み、女形として出世していく役者。仲蔵の才能を信じている。
吉川仁左衛門 (谷原章介)
裕福な呉服屋の主。仲蔵のことを気に入り、役者稼業から身を引かせ後ろ盾となる。
志賀山お俊 (若村麻由美)
孤児だった仲蔵を引き取り母として育て、また師匠として志賀山流の踊りを教える。
初代尾上菊五郎 (尾上松也)
仲蔵にとっては先輩となる中堅俳優。立作者の金井三笑に意見をしようとしてにらまれる。
中村傳蔵のちの二代目市川八百蔵 (大東駿介)
傳九郎の門人、仲蔵の弟弟子。初代八百蔵の娘と結婚して市川家に入り、師匠傳九郎を怒らせる。
二代目中村傳九郎 (髙嶋政宏)
仲蔵の師匠であり名付け親。仲蔵を一度破門するが、役者としての再スタートを切ることを許す。
謎の侍 (藤原竜也)
いじめられて自暴自棄になった仲蔵を救う侍。のちにも仲蔵に大きな転機をもたらすことになる。
中村任三郎 (山西惇)
江戸歌舞伎の最下層「稲荷町」(大部屋役者)の頭。再スタートを切った仲蔵にきつい仕事を与え、いじめる。
中村助五郎 (波岡一喜)
中村座の看板を背負う名題役者。仲蔵が自分の舞台を台無しにしたと誤解し仲蔵に辛くあたる。
大石内蔵助 (本田博太郎)
元禄15年12月14日、世にも有名な「赤穂事件」を首謀した元赤穂藩城代家老。
お松 (名取裕子)
蕎麦(そば)屋「十六屋」女将。芝居好きたちのたまり場でもある蕎麦屋を切り盛りする。
市川直團次 (笹野高史)
仲蔵が命がけで臨んだ「仮名手本忠臣蔵」五段目で主役・早野勘平の義理の父、与市兵衛を演じる。
コン太夫 (石橋蓮司)
中村座の奈落のお稲荷さんのあたりに出没する謎の男。台詞を忘れてしまいピンチに陥った仲蔵に彼がしたこととは?!
鵜蔵(うぞう) (吉田鋼太郎)
芝居町の蕎麦屋「十六屋」に間借りするかわら版屋。仲蔵についてのニュースを芝居好きの江戸庶民に伝える。
金井三笑(さんしょう) (段田安則)
四代目團十郎に迎え入れられた立作者(脚本家/演出家)。役者たちに容赦ない態度をとり、仲蔵の前に立ちはだかる。
二代目松本幸四郎のちの四代目市川團十郎 (市村正親)
大立者(おおだてもの)と呼ばれる名実ともに優れた大俳優。一門ではない仲蔵の才を早くから見抜き出世の道を切り開く。