どっちが「左折可」でどっちが「一方通行」かわかりますか?
教習所で習ったけれど、町ではあまり見かけないな、という人も多いかもしれません。
それに矢印の下に「左折可」という文字があることもあれば、ないことも。いったいどういう違いがあるのでしょうか。
左折可の標示板をめぐるギモンを取材しました。
(津放送局 加賀ひかる)
左折可ってなに??
「桑名市で国道258号線から国道23号線に向かう場所に左折可の標示板がありますが、矢印だけで『左折可』の文字はありません。左折可に文字があるところとないところがあるのはどうしてなのでしょうか」
NHK津放送局に、視聴者の方からこんな疑問が寄せられました。
まず、左折可の標示板ですが、すぐに思い浮かびますか?
左折可の標示板は白地に青の矢印。この標示板があるところでは、前の信号が赤や黄色でも、周辺の交通状況に注意しながら左折することができます。寄せられた疑問にもあったように、矢印の下に「左折可」の文字があるものと、ないものがあります。
でもこれ、一方通行と似ていませんか?一方通行は青地に白ですが、文字がないとちょっとわかりにくいですよね。
左折可ってなに??
では、左折可はどれくらい知られているか。津市内で聞いてみました。
「左折可…?わからないですね」
「知りません、気にしたこともないです」
思った以上に知らない人が多いという結果に。
さらに、よく似ている一方通行と左折可を見せてどちらが左折可なのか聞いてみると、合っていたのは8人中3人でした。
中にはこんな声も。
「標示板の下に『左折できます』みたいな文字を書いてくれたらわかると思います」
「紛らわしいよね。左折可って赤で書くとええんさな」
それにしても、なぜここまで認知度が低いのでしょうか。可能性として考えられるのは、そもそも数が少ないということ。
三重県警察本部に問いあわせたところ、県内にある左折可はわずか5か所。三重県でも北中部に集中しています。ふだん運転している時に目に触れないと、なかなかその意味がわからないということかもしれません。
なぜ左折可文字あり・なしがあるの?
続いて、なぜ「左折可」の表示があるものとないものがあるのか、実際に現場に行って調べてみることにしました。
まずは、投稿をもらった桑名市の交差点へ。国道258号線を東に向かうと…。
左折可の看板を発見!確かにここは下に文字がありません。
しかも、左折して曲がった先に一方通行の標識が。これはわかりにくいです。
一方、こちらは国道23号線、松阪市の小津町交差点です。こちらには左折可の文字があります。
文字があったほうがわかりやすそうですが、なぜある場所とない場所があるのでしょうか、そしてどういう違いがあるのでしょうか。
三重県警察本部の交通規制課によると、県内5か所の左折可のうち、文字のあるのは2か所だけとのこと。そのうえで、次のように説明しています。
「左折可の文字は補助的なものです。設置数が少ないことから、ドライバーの方により分かりやすくするために交通量や交通流、交通事故の発生状況など道路環境など必要に応じて設置しています」
そもそも左折可の標示板は交差点で渋滞が起きないようスムーズな通行を促すため設置しているとのこと。
文字の有無に関して明確な基準はないということですが、道路の環境を個別に判断して交通量が多いところや過去に交通事故が発生した場所に文字をつけているそうです。
たとえば先ほどの松阪市の小津町交差点。標示板の下の文字以外にもいくつか左折可を促す看板があります。ここは特に交通量が多い場所のため設置されています。
左折可では気をつけて運転を!
一方で、小津町交差点で取材していたらこんなことも…。
左折可のある左折レーンに入ってきた1台の軽トラック。目の前の信号が赤だっため停止しました。後続車にクラクションを鳴らされましたが発進せず、状況がよくわかっていない様子でした。
左折可の場所で気づかずに停止すると、渋滞を引き起こしたり、後ろから追突されたりする危険性があります。
県警では左折可の場所で気をつけるべきことについて次のように話しています。
「左折可の標示は白地に青矢印です。標示板のみで左折可の標示のあるなしに関わらず左折することができます。交差点を運転する際は追突事故や左折巻き込み事故、左折終了先での車線変更時の接触事故など気をつけて安全運転をお願いします」
白地に青の矢印の左折可の存在をまずは知って運転することが大切です。
ただ、何も注意せずに運転するのは危険。周囲をよくみて安全を確認してください。
あと、忘れがちなことも。左折可があっても交差点ではあるので、必ずウインカーを出して通行してほしいということでした。