台風１９号で行方不明になった夫へ妻が送り続けたメッセージ・・・ 三石たか枝さんは、夫・量正さんが遺体で見つかった後、ひとり残された日々にもメッセージを送り続けました。 取材をする中で、“たか枝さんはなぜメッセージを送るのか？”考え続けました。はじめは、どうすることも出来ない淋しさをはき出しているのだろうと思っていました。しかし、取材を進めていく中で、その行為は単純な気持ちの吐露ではないことが分かってきました。それに気づいたのは、たか枝さんが口にした言葉でした。 「今でもまだ、お父さんが帰って来るような気がするんだよね、いないってことは頭では分かってるんだけど、なんか・・・」。たか枝さんは、夫・量正さんの死を現実として受け入れきることが出来ずにいたのです。台風が来た１０月１２日に家を出てパッタリと消えてしまった夫。突然すぎる別れ。遺体が見つかった後も損傷が激しく、対面することが出来ないまま。最期まで一番大切な人に、伝えたい言葉をかけられませんでした。気持ちに整理をつけようがない毎日で「お父さんに伝えたいことがたくさんある」と、たか枝さんはメッセージで量正さんへ話しかけ続けていたのです。番組では水害から８か月の間、たか枝さんをみつめてきましたが、そのメールの内容も月日が経つにつれて変化していきました。そして、表情や声色も。突然最愛の人がいなくなった悲しみと戦うたか枝さんの日々や思いから、大切な人の突然の死をどう向き合えばいいのか、そして“いま目の前にいる家族や友人、恋人とこれからどう生きていくのか”ということを考えさせられました。