ニュース速報

田川欣哉 柳宗理のデザインプロセスーカトラリーを例にー

NHK
2021年3月19日 午後3:10 公開

「デザイナーがものづくりをするプロセスに興味がある」という田川欣哉さん(デザインエンジニア)は、日本のプロダクトデザインを代表するデザイナー柳宗理の工房を訪ね創作の秘密に触れました。

柳宗理のカトラリー その絶妙なカーブ

スプーンのすごく細かい曲線まで、ディティールが作り込まれている。一枚の板から出来ているが、ちょっとした返しの部分のタッチとか、すくって食べる時の口当たりで味が変わることまで考えられている。相当試行錯誤して、ここに到達してるはず。人間の五感の中で一番敏感な〈触覚〉に触れる〈口に入れるプロダクト〉は、目で見るだけではなく、触って、実際にそれで食べてみてっていうことに、耐えられるものでなければならない。     

〈手で考える〉が柳宗理のデザイン手法

柳宗理は「デザインによって作るのではなく、作ることからデザインが生まれる」と語った。柳宗理は、手で考えていた。手遊びのように紙をいろいろ触って確かめながら考え、デザインを進めていたと知った。

知りたいのはデザインのプロセス

デザインをしてる人が、どんなプロセスで、どんなやり方で、そのデザインをして来たのかに興味がある。完成品だけじゃなくて、その途中、ものが生まれる瞬間みたいなところを見てみたい。完成品の手前側を共有する事で広がりが生まれ、新しい感覚で解釈し、次の世代につなぐことができる。

デザインは〈受け手〉がいてこそ

柳宗理が作ったものは、カトラリーも家具も、人間の身体性と関わるところで「使われてこそ」。必ず受け手がいる。その方法論は僕が手がけるデジタルのデザインにかなり近い。作って、テストして、自分が納得いかなかったらもう一回作って。ユーザーの話すこと、使っているときの表情を観察。それを〈デザイン〉に戻していく。

眼に映るものすべてが大切 美意識が生活全体に投影されている

〈確固たる美意識〉と〈手で考える〉こと、その両立が柳宗理の創作の源。

柳宗理のデザインはロングライフ

寿命が長いのは、時代を超えていく普遍性があるということ。表面的な、さざなみみたいなものじゃない。海で言うなら、もうちょっと深度の深いところの海流のようなところがデザインに反映されている。相当の観察眼と、アウトプットの精度と、それの繰り返し。繰り返し繰り返し実践してきた柳宗理だからこそ到達し得た場所。