直接輝一を抱くことができない桜子(宮﨑あおい)のために、笛子(寺島しのぶ)たちは8ミリカメラを調達し、輝一の笑顔を撮影する。笛子は冬吾(西島秀俊)が描いた桜子の肖像を病室に飾り、今まで桜子にやきもちやうらやましさを感じていたことを打ち明ける。姉妹は深い結びつきを確認する。笛子たちは映写機で病室の桜子に輝一を見せてやり、桜子は自分の人生がいかに輝いていたか、メッセージを輝一に伝えようとする。
桜子(宮﨑あおい)の生きた証を残したいと願う達彦(福士誠治)は、桜子が作った曲をラジオで紹介できないかと西園寺(長谷川初範)に相談する。西園寺は達彦が演奏するという条件で協力を誓う。出征以来、ほとんどピアノを弾いていなかった達彦は、桜子にないしょで猛練習を始める。いよいよラジオ放送の日がやってきた。桜子は姉弟や冬吾(西島秀俊)に囲まれ、ラジオから流れる達彦の演奏を聴いて、驚くとともに癒やされる。
展覧会を訪れた桜子(宮﨑あおい)は、ヤスジ(相島一之)や八重(原千晶)との再会を喜び、彼らの画家としての未来に幸多かれと願う。ひん死の状態から回復した冬吾(西島秀俊)が会場に現れ、夢の中で笛子(寺島しのぶ)や子どものところへ帰れという声を聞いたと話す。3月、臨月を迎えた桜子は、帝王切開での出産に臨む。心配して待つ家族の祈りが届き、桜子は無事男の子を出産。名前を輝一と名づける。ところが桜子の…。
昭和22年暮れ。冬吾(西島秀俊)やヤスジ(相島一之)らは、岡崎で絵の展覧会を開催する。桜子(宮﨑あおい)はその展覧会を見に行くのを楽しみにするが、達彦(福士誠治)は医師(平田満)から「外出はこれが最後になるかもしれない」と言われる。そんな折、冬吾が酔って川に落ち、意識不明の重体に。桜子は夢の中でさまよう冬吾の霊に会い、家族のもとへ戻るよう促す。やがて、冬吾は意識を取り戻す。
出産をあきらめるよう言われて以来、桜子(宮﨑あおい)は気力がなくなる。そんな桜子を見た磯(室井滋)は「女は好きな人の子どもなら死んでも産みたいもの」と達彦(福士誠治)に意見する。達彦は桜子と共に医師に相談するが、桜子の「絶対生きる」という言葉を聞き、産むことに賭けてみようと思う。桜子は隔離病棟に入院し、達彦も泊まり込みで看病をする。やがて妊娠の安定期を迎えた桜子は外出を許可され、有森家を訪ねる。
病院の検査で、桜子(宮﨑あおい)は結核に侵されていることがわかる。桜子は、おなかの赤ちゃんを大事にするために演奏会を断念。しかし達彦(福士誠治)は、出産は母体に負担をかけ過ぎるので考え直した方がいいと医師から言われ、悩む。達彦は店を野木山(徳井優)と仙吉(塩見三省)に任せ、桜子につきっきりになるが、桜子の容態は徐々に悪化。思い詰めた達彦は、桜子に出産をあきらめてほしいと懇願。桜子は衝撃を受ける。
診察の結果、桜子(宮﨑あおい)は妊娠3か月であることがわかる。周りの者たちは皆、大喜びし、達彦(福士誠治)は演奏会よりおなかの赤ちゃんに気を使うようになる。そんな折、かつて桜子と婚約を交わした斉藤(劇団ひとり)が山長を訪問。桜子が今も音楽と共にあることを喜ぶ。それを見て達彦は、桜子に心ゆくまでピアノをさせてやろうと決意を新たにする。演奏会当日、桜子はピアノの練習中、突然気を失って倒れてしまう。
桜子(宮﨑あおい)の演奏会の2週間前、山長で味噌(みそ)が腐る事件が発生。老いを自覚した職人頭の仙吉(塩見三省)は責任をとって店を辞めたいと言いだす。桜子は達彦(福士誠治)に、今は八丁味噌が作れなくても、将来八丁味噌をほしいという人がいることがわかれば、仙吉が考え直してくれるのではと進言。2人は、料亭などを回り、今でも八丁味噌の需要が衰えてないことを仙吉に示す。そんな折、桜子の体調に異変が起こる。
桜子(宮﨑あおい)が亨(澁谷武尊)を見つけて、笛子(寺島しのぶ)たちは安心するが、亨の先行きに懸念が残る。そんな亨はある日、有森家のピアノで桜子が聞かせた曲をつたなくも弾き、冬吾(西島秀俊)たちに音楽の才能があることを示す。また、桜子と一緒に行った喫茶店で、亨はマスターのヒロ(ブラザートム)からハーモニカをもらい、練習してうまくなる。桜子も演奏会に向けて練習に励むが、体に疲労を感じ始める。
達彦(福士誠治)と結婚してから、忙しさゆえにピアノに触れていなかった桜子(宮﨑あおい)は、演奏会に向けて練習を始める。そんな折、東京から笛子(寺島しのぶ)と冬吾(西島秀俊)が子どもたちを連れて有森家を訪れる。笛子は、長男の亨(澁谷武尊)の目が今後悪くなるため、冬吾の絵を今のうちに見せたいと言う。桜子は、亨にピアノを聴きに来るよう勧めるが、ある日亨が一人で出かけて行方不明になり、大騒ぎになる。