「精鋭」プレイバック! #8 仲里心平さん

NHK
2022年3月28日 午前11:42 公開

真摯に誠実に生きる人、その道を極める人、伝統を守り伝える人、先駆者、挑戦者…キラリと光る鳥取県民の姿を伝えるコーナー。これまでの放送を振り返り“精鋭たち”の魅力を再発見します。
 

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「いろ★ドリ+」

 

原料から製品まで!伯州綿シャツ職人 ~仲里心平さん~

2021.11.25放送
 

 
境港市で栽培されている貴重な国産の綿・伯州綿は、明治時代に安い外国産が大量に入ってくるまでは地域を代表する特産品だった。
 

 
その伯州綿を、シャツ作りを通して県内、そして県外へ広めていこうと取り組んでいるのが横浜市から移住してきた仲里心平さんだ。
 

 
境港で栽培された伯州綿で作られた白や藍染め、生成り色など清潔感あふれるシャツを一人で作っている。
 

 
アパレルメーカーに勤務、織物の職人としていろいろな素材にふれる中、「織り自体は日本でやっているけれど原料がすべて海外から来ている」ことに疑問を感じたという。
 

 
そんな時に出会ったのが全国でも希少な国産の綿・伯州綿。「ごわごわっとして素朴な風合いがすごく魅力的だった」。
 

 
伯州綿の特徴は、外国産の綿に比べて繊維が1.5倍以上太いため、弾力があり保温性にすぐれていること。
 

 
無農薬で育てているため、赤ちゃんのおくるみなど肌に直接触れるものに使用されている。
 

 
原料から生産に携わりたいと4年前、地域おこし協力隊として移住した仲里さん。
 

 
伯州綿の広報活動だけでなく、境港市が町おこしの一環として10年以上前から行っている栽培にも携わった。
 

 
栽培仲間の岩本清隆さんは、「仲里さんのような若い人が伯州綿を境港の宝にしようと残ってくれて、みんな喜んでいます」と語る。
 

 
仲里さんは、貴重な原料から作った製品をより長く使ってもらいたいと採寸から始めるフルオーダーにこだわる。
 

 
1対1のやりとりをすることで、要望をしっかりと聞き、お客さんの体に合わせたシャツを作る。「お客さんとのふれあいが一番のやりがいです」。
 

 
採寸したサイズを元に最初は別の布で試作品を作り、一度着てもらい、再度微調整をしてから伯州綿のシャツを作る。時にはお客さんの要望で何度か作り直すこともある。
 

 
製作は注文を受けてから1か月半から2か月。猫背、いかり肩など、体に合わせたパターンで縫製したシャツは、着たときにシワもなく形もきれいに見える。
 

 
「着る方がわかっているので、どんな顔をしてくれるかなと想像しながら作る。そこが既製品とまったく違うところだと思いますね」。完成が近づくと寂しさを感じることも……。
 

 
完成したシャツは可能なかぎり、直接お客さんに手渡しする。以前にもシャツを購入してくれたお客さんが夫の誕生日プレゼントに注文したシャツを納入、着心地などを聞くのも喜びだ。
 

 
この1年で100枚以上のシャツをお客さんに届けた仲里さん。「地域の方の伯州綿への思い入れと、都会から来た人(自分)が取り組んでいることで“応援しなければ”と思っていただけている」。
 

 
伯州綿の素材のPRと同時に “伯州綿×仲里の技術”をもっとPRすることを目標に掲げ、境港に根を張った仲里さんの挑戦は続く。