「精鋭」プレイバック! #9 澤 太一郎さん

NHK
2022年4月5日 午後4:31 公開

真摯に誠実に生きる人、その道を極める人、伝統を守り伝える人、先駆者、挑戦者…キラリと光る鳥取県民の姿を伝えるコーナー。これまでの放送を振り返り“精鋭たち”の魅力を再発見します。
 

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「いろ★ドリ+」

         

苦難を乗り越えた木を一枚板に ~澤 太一郎さん~

2021.9.30放送
 

 
大きなうねり、樹液の跡、木の表情がそのまま残る一枚板のテーブル。寒暖差が激しく日照時間が短いなど厳しい自然環境の鳥取県。そんな過酷な自然を生き抜いた木だけを選んで一枚板のテーブルに仕上げる職人が澤太一郎さんだ。
 

 
一級建築士として大阪を中心にビルを建ててきた澤さんだが、およそ30年前に鳥取に戻り設計事務所を立ちあげた。その時、現場で鳥取の木に触れてその力強さにひかれたという。
 

 
「木は大きくなっても自分で動けるわけではない。熊に削られ台風で枝を折られても生き抜いていかないといけない」。そんな苦労を乗り越えてきた木の個性を出すことにこだわり、仕入れから乾燥、製材まですべて一人で行い、長い時間をかけて一枚板に仕上げる。
 

 
澤さんの倉庫には逆境を乗り越えた木の一枚板が並んでいる。
 

 
「木の力で補修して生きた苦労がこの傷の痕です。相当苦労をしてきたけれどこの姿がすごく美しい」。
 

 
鳥取の木だけが集まる原木市場で競り落としたヒノキはねじれていてこぶがあり、材木商は手を上げない。
 

 
「そこが魅力なんです。きれいな木はいらない。やんちゃな木は割った時にすごくきれいな木目が出るので」。
 

 
5年間乾燥させた原木を切り落とす際にも木が生えていた方角を生かすことにこだわる。日光の当たる時間が少ない北側と、日光を浴びてすくすく育った南側。
 

 
苦労した面と楽した面の両面を出すことで味のある一枚板になる。
 

 
切り落とした木は10年から長いもので20年、あえて過酷な状況にさらして乾燥させる。自然界にまかせ、そこで残った木は「大変な個性を持っている」からだ。
 

 
工房に持ち帰り「よく生きたな」という思いで愛情を持ってテーブルに仕上げていく。病気で残った傷痕やいびつな木目も個性としてデザインに取り入れていく。
 

 
長い年月をかけて仕上げた澤さんの一枚板を販売しているのが日本海を望む一枚板販売店「TORINOKI」だ。
 

 
家族で使うテーブルを選ぶ女性。一枚板の魅力は全国にも広がっている。
 

 
雷に7回打たれた木から作られた一枚板を購入した東京に住む番匠弘光さんは「生命力が感じられ鳥取の景色も浮かぶ。そのぬくもりを感じて一緒に生活したいなと思いました」と語る。
 

 
「苦難を乗り越えた鳥取の木は全国の人を勇気づける力を持つ」。澤さんは今日も木と向き合う。