大学が学生にカルトへの注意喚起 ~当事者意識を持ってもらうには~

NHK
2022年10月24日 午後7:37 公開

旧統一教会などの問題をめぐって、国は霊感商法などの悪質商法への対策を話し合う検討会を設置するなどしています。
悪質商法の被害につながるおそれもある、いわゆる「カルト団体」について、全国の大学が学生に注意を呼びかけています。
鳥取市の公立鳥取環境大学では、「カルト団体」への社会的な注目が高まるなか、9月からその特徴や勧誘の手口などを説明するガイダンスを始めました。

鳥取局・渡利道雄 記者のリポートです。
  

初めてカルトへの注意喚起

旧統一教会などの問題をめぐっていわゆるカルト団体の注目が高まるなか、私は鳥取県内で、どういった動きがあるのか取材を進めていました。そうしたなか公立鳥取環境大学がカルト団体に注意を呼びかけるガイダンスを初めて行うという情報を聞き、さっそく取材を始めました。

窓口となってくれたのが大学の担当職員、吉村昌郎さんです。
ガイダンスを始める理由について、吉村さんは次のように説明してくれました。

「この大学ではこれまで、カルトへの注意喚起を行ってきませんでした。実際に被害を受けたというような相談事例がなかったためです。しかし、最近の報道等でも旧統一教会の話題もありますし、身近ではなかなかない問題かもしれないですが、世の中一般で起こっている大きな社会問題を身近に捉えてもらいたいと思ったのです

8月からガイダンスの準備を始めた吉村さん。
自身がカルトから勧誘などを受けたことはありませんし、大学に対応のノウハウもありません。どのようにすれば学生たちの役に立つガイダンスができるのか。困難に直面していました。

こうしたなか吉村さんたちにアドバイスをしたのが県内で霊感商法などの消費者問題に取り組んできた高橋真一 弁護士です。

高橋弁護士は今回の旧統一教会を巡る問題については「本質は宗教団体が正体を明かさずに活動することは裁判で違法だという判決が過去に出ている」と指摘しました。
そして吉村さんたちに「大学側は信教の自由を守る一方で、宗教団体の反社会的行為や犯罪行為について大学は学生を守る観点から積極的に注意喚起を行うことが重要」と伝えました。

大学側では、高橋さんのアドバイスも参考にしながら資料を作成。9月20日からガイダンスが始まりました。

講師を務めた吉村さんが強調したのは、信教は自由である一方で、宗教団体による詐欺などの反社会的行為や過度な勧誘活動は許されないということです。

そして、いわゆるカルト団体の勧誘の手口について
「ボランティア活動に参加しませんか」などと正体を明かすことなく近づいてくる
1人でいるときに複数で声をかけてくる
といった特徴を挙げました。

また勧誘されたときの対処法として自分の連絡先や予定を教えないことが重要で、自分が狙われるかもしれないと警戒することが大切だと説明しました。
  

注意喚起は学生に届くのか?

ガイダンスでは他の大学であった実際の事例が取り上げられたほか、県内でもカルト団体が活動していることも紹介し、学生たちに身近な問題だと思ってもらえるような工夫がありました。
学生には、こうした問題は決してテレビやメディアの中だけの話ではないということを伝えようとしていました。

学生を取材すると「カルト」についての意識はガイダンスの前後で大きく変わったように感じました。

「カルトは身のまわりにないと思っていたが、これからは身近な問題として考えないといけない。怪しい話があれば友達と共有したい」

大学では今後も継続的にこうしたガイダンスを開くことにしています。
「学生にはカルト団体は身近な問題として捉えて、自分の身を守るとともに家族や友だちとかがカルト団体に関わった際に声をかけられるような学生になってほしい」

大学にアドバイスをした高橋弁護士も、実際に大学で講演を聞きに来ました。
終了後に話を聞くと、今後の展開を期待していると話していました。

「学生を守るために注意喚起をすることは大学が積極的にやるべきで、今回の取り組みは非常に先進的で他の教育機関の模範となる活動だ」

「県内でも、旧統一教会の問題やカルトの問題も存在している。 いつでも被害者や加害者になる可能性があるという当事者意識を持つということが非常に大切です