徐々に紅葉が始まった、中国地方最高峰・大山。
新型コロナの影響でアウトドアの人気が高まり、連日、多くの人が登山に訪れています。
一方、大山山系で起きた遭難事故は去年21件。ことしは10月11日までに14件にのぼっています。
万が一のための備えとして、重要になるのが「登山届」です。
県警が「登山届」をリニューアル
大山山系の登山客に対して、警察では事前に登山のスケジュールやルート、それに連絡先などを記入した登山届をインターネット、または登山口などに設置されたポストに書面で提出するよう求めています。
このうちインターネットを通して提出する登山届について、警察では10月18日から県のウェブサイトを利用して提出できる新たなシステムの運用をスタート。これに伴い記入する項目をリニューアルしました。
県警察本部 生活安全部地域課 山根利之 管理官 「提出が簡単、手軽なので、多くの方が登山届を提出していただけるのではないかと期待できる。登山をする準備の一環として、確実な記載をして登山届を提出していただければ」
何が変わったのか?狙いは?
ここからは鳥取県警担当の三浦拓海記者が解説します。
Q)
登山届はどれくらい重要なんですか?
A)
一番の理由は遭難事故が起きたときに効率的な捜索活動ができるからです。
もし登山者が遭難した場合、登山届を見れば、その人がどのルートを通っているのかがわかります。
そのため捜索するエリアを絞り込みやすく、迅速な救助活動ができます。
一方で、大山を登山した人のうち昨年、登山届を出した人の割合はおよそ50%にとどまっています。
さらに、ことし大山で遭難し亡くなった4人はいずれも登山届を出していませんでした。
こうしたことから警察では、登山届の提出促進のため、インターネットを通して提出する登山届をリニューアルしました。
Q)
具体的にはどのように変わったのでしょうか?
A)
迅速な捜索活動に向けた情報を把握するための新しい項目が追加されました。
そのうち1つが登山口までの交通手段です。
このうち車で来た人は
▽どこの駐車場に車を駐車したかや
▽車種やナンバー
が記入できるようになりました。
多くの登山者が車で登山口まで来ますので、車が駐車場にあれば行方がわからなくなった人が遭難した可能性が高いと判別することができるようになります。
また、大山の登山コースの地図が表示され、初めて大山を登山する人でも正確にルートを記入できるようになっています。
一方で、これまでは登山経験や山岳保険に加入しているかなどを記入する項目がありましたが、これらは捜索活動をするにあたって、あまり重要ではないとして項目自体が削除されました。
Q)
今回インターネットを通した登山届がリニューアルされたということですが、紙でも受け付けていますよね。インターネットと紙で、違いはあるのでしょうか?
A)
はい。遭難した可能性のある人の登山届を探すスピードに大きな違いがあります。
書面で提出するポストは登山口ごとにあります。
そのため「登山に行った人が帰ってこない」という通報があった場合、その人の登山届を探すために複数のポストを確認しないといけません。
しかしインターネットで提出していれば、すぐに検索することができます。
警察によりますと、ことしは提出された登山届のうち6割あまりが紙で出されているということです。
こうしたことから警察ではできるだけインターネットを通して提出してほしいと話しています。
Q)
捜索への初動に違いが出てくるということですね。実際に使ってみていかがでした?
A)
私も、実際にリニューアルされた登山届の提出をしてみましたが、これまでと比べて記入する項目が大幅に減ったわけではありません。
しかし、万が一遭難したときに、迅速に救助に来てもらうためには、どれも必要な項目となっています。
楽しいレジャーを悲劇にしないためにも是非、登山届を提出してほしいと思います。