歌舞伎

NHK
2021年9月7日 午後6:17 公開

「梶原平三誉石切(かじわらへいぞうほまれのいしきり)」 (2009年NHK古典芸能鑑賞会) 歌舞伎の舞台は通常横長で、セットや役者の衣裳・配置など絵画的な美しさを追求している

歌舞伎はもともと、奇抜な服装や髪型をして町中で思うままにふるまう「かぶき者」たちの風俗を取り入れた踊りが始まりでした。既存の物にとらわれることなく時代の流行を取り入れてきた歌舞伎は、江戸時代に庶民の娯楽として大変な人気を誇りました。今でも、現代の人々のニーズに応える舞台づくりもしています。

 歌舞伎の歴史    

江戸時代の始め頃、出雲阿国(いずものおくに)が演じた「かぶき踊り」からはじまった歌舞伎。

人気があまりに高まり、トラブルもおきたため江戸幕府の取り締まりを受けてしまいました。

まず女性中心の「女歌舞伎」が禁止され、少年たちによる「若衆歌舞伎」が登場しますがこれも後に禁止。

次にできたのが大人の男性による「野郎歌舞伎」で、これが今の歌舞伎へとつながっていきます。

江戸から令和まで歌舞伎は様々に変容しながら、能狂言や人形浄瑠璃からだけではなく、事件やはやり物からも積極的に題材をとりこみ、様々なジャンルの作品が上演され続けています。

「梶原平三誉石切」は時代物の名作。梶原は平家に仕えているが、家宝の刀を売り、自らの命を差し出しだそうとする、敵の源氏にくみする親子に心を尽くす。 梶原平三景時:中村吉右衛門

       

ドラマチックな歌舞伎の演目    

歌舞伎のドラマは大きく2つに分けられます。貴族や武家の歴史的な事件を描いた「時代物」と江戸時代の市井の人々の生活を背景にした「世話物」です。 

「時代物」としては、赤穂義士によるかたき討ちを題材に、さまざまな人間ドラマを織り込んだ「仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)」や、学問の神様として親しまれている菅原道真が政敵のたくらみにより左遷された事件を中心に、敵味方に分かれた三つ子の兄弟の苦悩を描く「菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)」。

「世話物」では、5人の悪党たちが華々しく活躍する「白浪五人男(しらなみごにんおとこ)」や、中には、しょうもないけれどどこか憎めない色男がひいきの遊女と痴話げんかをする「吉田屋」などがあります。

さらに近年では、舞台機構や照明を駆使して現代的な演出を行うスーパー歌舞伎や、国民的人気アニメを題材にした新作歌舞伎なども上演されており、常に現代を見すえた芝居作りをしています。
       

俣野五郎景久:中村又五郎(当時 歌昇) 白塗りの梶原が善人、赤っ面(あかっつら)の俣野が敵役(かたきやく)など、役の善悪や人物像が化粧や衣裳からはっきりとわかるのも歌舞伎の特徴

          

どう楽しんだらいいの? 初心者向け鑑賞ポイント    

歌舞伎座などでは幕見席という一演目だけのチケットを打っている公演もあり、数百円~千円程度で歌舞伎を見ることができます。(現在はコロナ禍で休止中)

音声ガイドを片手に見れば、はじめてでも親切な解説付きで物語を楽しめます。

話は多少わからなくても、テレビドラマで観たことのある歌舞伎俳優のかっこいい、美しい姿を追いかけたり、ド派手な衣裳や豪快な演技を味わったりと、楽しみ方は人それぞれです。

はちみつを抱えた黄色い熊が大好きという意外な一面をもつ、渋くてかっこいい人間国宝や、70歳を越えてもなお、濃密な色気をかもし出す俳優さんなど、個性の爆発した、まさに「かぶいた」人たちがたくさんいらっしゃいます。そういう姿を追うのも楽しみ方のひとつかもしれません。