伊東の商店街 シャッターアートでにぎわいを(2022年9月14日放送)

記者 武友優歩
2022年9月15日 午前9:01 公開

かつて温泉客でにぎわった伊東市では観光客の数が年々減少しています。影響を受けているのが、地元の商店街。廃業した店も少なくありません。こうした中、新しい発想で商店街を活気づけようと取り組む女性を取材しました。

(伊東支局記者 武友優歩)

プロジェクトを考えたのは商店街でカフェを営む、木梨さと美さん(63歳)です。

結婚を機に20代のとき東京から移り住んだ木梨さんは、長年、店を切り盛りする中で、商店街の活気がなくなっていくのを感じていました。

(木梨さと美さん)

「飲食店もすごくたくさんあったんだけど1軒2軒、どんどん無くなっていきました。道を渡っても、目であいさつもしないような関係になってしまいました。それがちょっと寂しい」

港の近くに位置する「あんじん通り」は、かつては伊東市内で最も栄えた通りでした。

しかし、バブル崩壊などでにぎわいは陰を潜め、商店街にある35店舗のうち半分以上が廃業。シャッターを下ろした店が目立つようになりました。

この状況を変えたいと思った木梨さん。シャッターを下ろした店が多いことを逆手に取り、そこに地元の歴史や風景の絵を描くことを思い付きました。

(木梨さと美さん)

「シャッターアートの計画を機に、もう一度シャッターの後ろにいる人、町内に住んでいる人たちがもう一回この通りに出てきてくれたらいいなと思いました」

3年前から活動を始めた木梨さん。店主たちに丁寧に説明し、活動への賛同を得ていきました。

商店街で100年続く時計屋には、愛犬を描くことで協力してもらいました。

木梨さんがもう一つ大切だと考えたのは若い世代を巻き込むことでした。シャッターアートを、地元の伊東高校城ヶ崎分校の美術部に描いてもらうよう頼んだところ、快くOKしてくれたといいます。

高校生たちは夏休みを割いて、30枚もの下絵を準備し、本番に備えました。

(美術部部長 鈴木愛依さん)

「普通に部活をするだけではなくて、地域に力を貸せるというのはいいことだなって思いました。絵を見てもらって、伊東が大きなお祭りがなくてもにぎわっている良いまちだなと感じてもらえたらいいなと思いました」

そして始まった作業。高校のOBも駆けつけ、総勢100人で取りかかりました。

白く塗ったシャッターに鉛筆で下絵を描き、下絵に沿って、ペンキで色を1色ずつ塗っていくきます。

連日、30℃を超える真夏日の中の作業。商店街の人も出てきて作業を見守りました。

(高校生)

「扇風機用意してくれて、ジュースをくれたり、体調大丈夫?って声をかけてくれたりして、すごく優しい方がいっぱいです。頑張れます」

作業は店の営業に支障が出ないよう、8~9月にかけて4日間、短期集中で進めていきました。

そして・・・。できあがったのは、地元の花火大会の様子や童謡『みかんの花咲く丘』の風景などです。

時計屋の柴犬も、シャッターにしっかり描かれていました。

(商店街の人)

「花が咲いたような感じで、にぎやかになりました。昔はあったのですが、ふだんもこのぐらいの人出があればいいなと思います」

(美術部部長 鈴木愛依さん)

「1個1個のシャッターに描いた人それぞれの個性が出ていて、にぎやかな通りになったなと思いました。城ヶ崎分校美術部として、地域に貢献することができてよかったです」

(木梨さと美さん)

「高校生は疲れていても暑くても、嫌な顔せず本当に頑張ってくれました。始まるまでどんなイメージか全く分かっていなかったので、いい意味で期待を裏切ってくれました。情でつながってる商店街にしたいです。お客さんとも。来年も行きたいなって思える、そういう商店街にしたい」

高校生たちは今後、それぞれのシャッターアートにQRコードを貼って、絵の説明や描いた高校生の思いをスマホで読み取れるようにするということで、はじめて伊東を訪れる人にも楽しんでもらいたいとしています。

【取り組みの様子はこちらの動画で!】