福島の今を見つめて 静岡の支援団体が3年ぶりに福島訪問

NHK
2022年11月22日 午後7:27 公開

ことし3月、東日本大震災後の福島からの避難者を支援してきた静岡市の団体が写真展を開いたというニュースをNHKニュース「たっぷり静岡」でお伝えしました。

その団体が今月12~13日、コロナ禍になって初めて避難者と一緒に福島の被災地を訪れるバスツアーを敢行しました。津波と原発事故の爪痕が残る一方で変わる町並みを見て、感じたものとは。同行取材しました。

(静岡局記者・仲田萌重子)

今月12日の朝、静岡駅前に止まったバス。乗り込むのは「しずおかおちゃっこ会」のメンバーです。東日本大震災後に東北から静岡へ避難してきた人たちと福島を巡る旅の始まりです。

(小澤賢広さん)

「お天気もいい中、やっと3年ぶりの福島ツアーを開催することができました」

「しずおかおちゃっこ会」副代表の小澤賢広さんです。静岡にいる避難者と一緒に月に1回お茶を飲んだり静岡や福島を旅行したりして交流を深めてきました。新型コロナの影響で中止が続いていましたが3年ぶりのツアーとなりました。

(小澤さん)

「コロナの影響でなかなか訪問ができない中で、でもやっぱり避難者の方々にとっては、福島とつながっていたいという思いがありますので」

【富岡で新たな出会いと再会】

出発して7時間。最初に訪れたのは福島第一原発から20キロ圏内にある富岡町。

参加者の1人、杉本徳子さんです。杉本さんの自宅は、今も、町の一部に残る帰還困難区域にありました。避難指示は来年解除されますが、杉本さんは帰還の見通しが立たなかったため、コロナ禍になる前に自宅を解体しました。

訪れたこの日。偶然にも、町では古くから続くお祭りが3年ぶりに開かれていて、帰還した人たちでにぎわっていました。場所は、杉本さんの子どもが通っていた小学校の跡地です。

(地元の人)

「静岡から?」

(杉本さん)

「そう」

桜の名所の話題にもなりました。

(地元の人)

「4月にこれ(夜ノ森の桜)見に来て下さい」

(杉本さん)

「これはぜひ」

久々の再会もあったようです。

(記者)

「お知り合いに会えましたか?」

(杉本さん)

「会えました。婦人部の活動をしていた3人と会えました。やっぱりいたわ。懐かしい」

(記者)

「気持ちはやっぱり?」

(杉本さん)

「うん。すごいね」

(記者)

「(自宅を)解体しても富岡への思い入れは?」

(杉本さん)

「あります。あります。家の前が梅林で後ろにはタケノコとかあったから、みんなでタケノコを『自由に取りに行って』とか『自由にもぎってって』とか。何かあったら常に集まって。絵に描いたように楽しかった」

【僕らじゃ計画しきれないプログラムだった】

夜。宿についた小澤さんは久々の福島への訪問を振り返ります。

(小澤さん)

「静岡にいて会えるわけじゃない方たちときょうお会いできたっていうのは、僕らじゃ計画しきれない部分のプログラムなので貴重でしたね」

(しずおかおちゃっこ会メンバーの飯田雅美さん)

「貴重でした」

(記者)

「明日はどういう一日にしたい?」

(小澤さん)

「明日は今日とはまた違って、福島県の被災現場に直結するようなかたち。2011年3月11日にあった出来事を改めて。知るだけじゃなくて、静岡でこういうふうになったら、どうしようかっていうのもひとつ考えられたら」

【シャッターを切り続ける】

2日目もよく晴れました。バスは富岡町をさらに北上します。

(小澤さん)

「塔の先端が青くなっているあの辺りが福島第一原発です」

福島第一原発の近くをバスで通っていると、徒歩での立ち入りが制限されている帰還困難区域に入りました。今も住民が避難を余儀なくされている家や学校などが点在しています。小澤さんは、この状況を静岡でも伝えたいと、カメラのシャッターを切り続けました。

【浪江町へ 復興を見届けたい】

バスが着いたのは、浪江町の沿岸部にある請戸小学校。3月の写真展でも紹介した今回の旅の最大の目的地です。地震当時、学校にいた子どもたちは近くの山まで走って登り、全員無事でしたが、この地区は津波で119人が犠牲になりました。唯一残る地域の思い出のシンボルとして、去年、学校の校舎が一般公開されました。

小澤さんたちは、町の職員や震災前に請戸地区に住んでた女性の説明に聞き入ってました。

(浪江町の職員)

「海があっちなので、(津波が)こう来て、建物の中を通っていったかたち」

(しずおかおちゃっこ会のメンバー)

「逆を見たらこうなってんだ」

(記者)

「(前回来たときから)雰囲気変わってた?」

(小澤さん)

「変わってますよね、やっぱり。きれいになったっていうのが正直なところですけど、復興していくとしたら、どういう感じに町ができあがるのかとか、そういうところも見届けたい気持ちですね」

【現場を見て 静岡で伝える】

2日間でおよそ950キロの旅をしたしずおかおちゃっこ会のメンバーたち。3年ぶりに見つめた福島の今。それぞれが思いを巡らせた時間となりました。

(杉本さん)

「(富岡に)これだけ少しでも前よりかはあれだけひとが集まるとは思っていなかったから。正直(他の町と)うまくみんなして協力して町を活性化してくれればいいなと。現場を見るっていうのはやっぱり一番大事なことかな」

(小澤さん)

「実際にそこにいた方からのお話しを聞くことができたので、それは、やっぱり長くしずおかおちゃっこ会を続けてきた中で、改めて自分の中にも落とし込んで、お話しが聞けたと思っています。今回福島に行った経験を少しでも静岡で伝えられたらいいなと思っています」

しずおかおちゃっこ会では震災から12年となる来年3月にも、今回撮影した写真などを交えて、福島の今を伝えるイベントを計画しているということです。

(動画はこちらから)