この春、牧之原市の高校で部活動とは違う新たな形態の課外活動、サークル活動が始まりました。中でも注目は、地元で盛んに行われているサーフィンのサークルです。背景には少子化で部活動が少なくなる中でもやりたいことを見つけてほしいという願いがありました。
(記者・武友優歩)
【生徒数減少で・・・】
サークル活動を始めたのは、牧之原市にある県立相良高校です。
創立95年を誇る相良高校は、近年、少子化の影響で生徒数が激減し、10年前の554人からことしは326人へと40%余り減少しました。
生徒数の減少で影響を受けているのが部活動の数です。かつて21あったのがことしは16にまで減少しました。
去年の高校総体で県大会に進出する成績を残した女子バレー部は、部員がいなくなり活動休止に。
全国大会の常連だった剣道部は、去年から1人で活動しています。外部から指導者が来る日のみが練習日です。
(剣道部員)
「私が1年生で入部したときは3年生が3人で2年生が2人でしたが、今は私一人で活動しています。先輩が引退したときは寂しかったですが、家族や先生方にも支えられて頑張ってこられました」
【サークル活動で選択肢を増やす】
こうした状況に危機感を感じているのが去年着任した朝倉徹校長です。
(朝倉校長)
「生徒数の減少で生徒たちの部活動の選択肢を減らしていくということになってしまいがちですが、そうすると活力ある高校生活を送ることが難しいです。ただやはり何かに打ち込んで自分の課題を克服していくという充実感を部活動で得るということは非常に大事だと認識しています」
そこで考えたのが選択肢を増やすことでした。週1回、全校一斉に部活動をやらず、サークル活動に取り組む日を設けるという新たな試みです。サーフィンやボルダリング、ダンス、英会話など部活動にはなかった5つのサークルが新たに誕生しました。
高校は、地元の強みを生かした活動にしようと地元の施設などに協力を依頼しました。
このうちサーフィンの活動には、去年市内に完成したサーフィンプールを利用することにしました。さまざまな波を出せる国内最大級の施設で、東京五輪の代表選手も練習で利用しました。
また、サークル活動では活動に協力する施設のスタッフなどから指導を受けられるよう要望しました。これにより直接指導を行う教員を置かなくてもよくなるため多忙な教員の負担を軽減することができます。
(朝倉校長)
「学校としては、管理する担当者だけ置いて、実質の指導は外部の方にお願いしていく。要するに学校の体制が変化しても地域に応援していただいて、活動を持続可能にしていくというのが地域との連携の一番大事なところかなと思っています」
施設側も高校と連携して活動することを通じて高校生に地元のよさを知ってもらいたいといいます。
(サーフスタジアムジャパン 安達俊彦社長)
「サーフィン人口の拡大とすそ野の広がりというのを会社の目標に挙げていますので、私どもがお役に立てるのは非常に光栄なことだと思っております」
【いよいよ初めてのサークル活動】
そして今月14日。初めての活動が行われました。集まったのは、経験者から初心者まで13人の生徒です。
この日はサーフィンの基本であるパドリングを練習しました。指導するのは、ライセンスを取得したサーフィン専門のコーチです。
ふだんは違う競技の部活動をやっている生徒も、初めてサーフィンに触れることができました。
(生徒)
「テニス部に入っています。波の勢いが今までで味わったことがなかったので楽しかったです」
(生徒)
「サッカー部です。新しいことを見つけるきっかけにもなると思うのでいい経験だなと思います」
やりたいことを諦めずさまざまなことに取り組める環境の中で、生徒1人1人の可能性が広がっていきます。