ウクライナにルーツのラガーマン平和への思い(2022年4月28日放送)

NHK
2022年4月28日 午後9:27 公開

ラグビー・リーグワン、静岡ブルーレヴズのバックス中井健人選手は母親がウクライナ出身で、親戚は今もウクライナで暮らしています。

中井選手がラグビーに込めた平和への思いを聞きました。

【現地で暮らす親戚】

子どものころは毎年のようにウクライナを訪れていたという中井選手。今もウクライナ東部やポーランド国境沿いにいる、親戚の身を案じています。

(中井選手)

「東部はまだ避難できてなくて、サポート・支援かなり少ないみたいです。戦闘機が上を飛ぶようになりかなり怖いと話していて、母も心配しているし、僕も不安がかなり続いています。最後の最後まで無事でいてほしいということに尽きます」

ことし2月下旬に始まったロシアによる軍事侵攻。中井選手は母の祖国で街が破壊され親戚が避難などを余儀なくされる中「ラグビーをしている場合ではないのではないか」と思い悩んだといいます。

(中井選手)。

「ラグビー、そうですね、やっぱり。ラグビーしてていいのかなと。戦争が自分の母親の、自分のルーツでもある母親の国で起こっている現状で、本当にラグビーどころではない」。

【背中を押した 母の言葉】

そんな時、中井選手の心を突き動かしたのは、こうした状況でも前向きに笑顔を見せる母の言葉でした。

「母は『人生1回きり。今しかないこの時間を大切に楽しく過ごすことが私たちにできること』と言ってくれました。以前から伝えてもらっていて言葉ですが、その時本当に身にしみた』

迷いがなくなり、再び全力でラグビーに向かうと決めました。

「本当に微々たるものですけど、僕がこうやって頑張り続けることは、自分の母親にも勇気を与えることだと思いますし、親戚にも勇気を与えることだと思いますし、そういった身近な人は一人でも笑顔になってくれるような環境を僕自身がつくっていかないといけないなっていう思いで、自分のためだけじゃないんだなっていうのを本当に心のそこから感じました。そこから切り替えてラグビーに関してしっかりやるべきことやっていこうと」

【平和への思いを込めて】

中井選手は今、すべての試合で腕のテーピングにある言葉を記しています。それは「PRAY FOR PEACE」(平和を祈る)です。“当たり前の日常への感謝を忘れない”という決意です。

(中井選手)

「平和がありがたいことなんだって、しっかりと気持ちを僕自身まずは体現して、周りにもみているファンの方々にもそういう思いを伝えられたらなと」。

今月23日ののホームゲーム、この日の中井選手の出場は試合終了間際でした。母親や現地の親戚がSNSなどで自身の姿を見ているといい、わずか1分の出場でも、少しでも勇気づけたいとプレーに思いを込めました。

(中井選手)

「今こうやって当たりまえに過ごせている環境が本当にありがたいことで、人生を楽しんで、生きていくことが、とても大事なこと。一人一人大切に過ごしていくことが大事だと思います。自分の母親の祖国が侵攻されている中で、本当に当たり前じゃないということを、僕自身もラグビーができているということをしっかりと心においてがんばっていきたい」