浜松市で、ブラジルの独立200年を記念した大規模なイベントが開催され、
地元・浜松市の視覚に障害がある女性が歌を披露しました。女性はある強い思いを持ってステージに上がりました。
(ニュースディレクター・中村マゼラン太郎)
(ロメリノ・セシリア・ケイコさん)
「みなさんこんにちは!すごくわたしは感動しています」
浜松市に住むブラジル人、ロメリノ・セシリア・ケイコさん、24歳です。
生後6か月のときに、病気で視力を失いわずかな光しか感じ取ることができません。
(ケイコさん)
「(人前で歌えて)楽しかったし本当にすごくうれしかったです」
ケイコさんは、9歳のときに母親と姉の3人で来日。
当時は、日本語もわからずなかなか日本になじめませんでした。
11歳のとき、医師から視力が回復の見込みがないことを告げられます。
自分から進んでなにかをやる気持ちがわかず、次第に消極的になっていったといいます。
生活が苦しい中、母親のノエミさんは、歌が大好きなケイコさんを元気づけようとバンドをやっている友人に紹介しました。
その後、レストランやライブ会場などで次々に歌を披露。
澄んだ歌声は、ブラジル人の間で“天使の歌声”として評判になりました。
(ケイコさん)
「つらいときに、歌うとすごく楽になるし、かなしいこととんでいっちゃう。だから歌うとつらい思いを忘れてしまう」
浜松市の視覚障害がある人が働く作業所。ケイコさんは、ここで週に4日、紙に点字を入れる仕事をしています。
(作業所のスタッフ)
「(ケイコさんは)おとなしいというか静かな感じ。あまり人前に立って歌うイメージがあまりなかったが(歌っているときは)堂々としてちょっとびっくりした」
ふだんはあまり感情をあらわにしないケイコさん。
この10年。夢を持ち続けてきました。
(ケイコさん)
「夢は、プロフェッショナルの歌手になることです。そうすればお母さんがもう働かなくてもいい夜勤の仕事で疲れているからできればそれをなくしたい」
9月4日。ケイコさんは、知り合いの勧めで、ブラジルの独立200年を記念した大規模なイベントに招待されました。
(ケイコさん)
「私は人前で歌う夢を実現させることができました」
歌うのは「有色の瞳」というブラジルのポップス。多様性を尊重する歌詞です。
(ポルトガル語の歌詞 訳)
「わたしの瞳は黒人の瞳/この瞳は導いてくれる/いつもわたしらしくいられるように」
“歌を聞いてくれる人につらいことやかなしいことを忘れて幸せになってほしい”そんな思いを込めてケイコさんは歌いました。
(ケイコさん)
「音楽は“心のおくすり”。いいエネルギー、いい気持ち、いい幸せを伝えたい」
ケイコさんは、大規模なイベントで観衆を前に歌ったことが自信につながったといい、
プロの歌手になる夢を実現させるために、一歩近づけたのではないかと感じているということです。