震災11年・写真展に込めた思い(2022年3月7日放送)

記者・仲田萌重子
2022年3月7日 午後8:24 公開

東日本大震災から11年となる2022年3月、福島からの避難者を支援してきた県内の支援団体が写真展を開きました。震災の記憶の風化が進むなか、津波から命を守るために私たち一人ひとりはどうしたらいいのか。写真展に込められた願いを取材しました。

(記者・仲田萌重子)

津波にのまれ、天井が剥がれ落ちた教室。

家に通じる道は固く閉ざされたままです。

静岡市で3月1日から始まった震災の写真展。会場の中心には写真を収めたファイルが置かれています。津波にのまれた福島県浪江町の請戸小学校に設置されたイラストが描かれたパネルを写した写真にはこう書かれています。

「あなたにとっての『大平山』はどこですか」

11年前、福島県浪江町を津波が襲った際、請戸小学校の児童たちが逃げ込んだのが大平山です。小学校からこの高台に逃げた児童82人全員が助かりました。

この教訓を伝えようと写真展を開催したのは、福島などから静岡に避難してきた人たちと交流する静岡市にある支援団体「しずおかおちゃっこ会」です。震災直後から一緒にお茶を飲んだり旅行をしたりして、交流を深めてきました。

会を運営してきた富士市に住む団体職員の小澤賢広さん(31)。

静岡県内の大学で防災を学んでいた2年生の時、東日本大震災が起きました。会の活動に参加しながら東北に何度もボランティアに行きました。そして2017年原発事故に伴う避難の指示が解除されたのをきっかけに初めて浪江町の大平山を訪ねました。

そこには津波の爪痕が深く残っていました。

(小澤賢広さん)

「道も整備されていて車もいっぱい通っていた、そういう町だったんだよって聞いたときに、(津波で)何もなく野原になってしまったっていうのが言葉が出なかったですね。支援するだけでなくて、支援していた先に伝えないといけない。写真展から始めていこうかなと思いました」

写真展ではなにを伝えたらいいのか。開催の2週間前、小澤さんたちは前の年に撮影してきた写真のなかから展示する写真を選びました。

(小澤さん)「これすごいよね、全部津波でなくなっちゃったんだよ」

(記者)「写真は何枚くらい撮りましたか」

(小澤さん)「300枚くらいですかね」

震災からまもなく11年。

(小澤さん)「これがひとつの話になるんですよ」。

選び出したのは、震災遺構になった請戸小学校に設置されたパネルを写した写真でした。記憶の風化が進むなか、当時の子どもたちが大平山に逃げ込んで命を守った教訓を具体的に伝える必要があると考えたのです。

(「しずおかおちゃっこ会」飯田雅美さん)

「やっぱりそれぞれが自分たちの大平山を決めてありますかというところ」

(小澤さん)

「このときは大平山だったかもしれないが、じゃあ静岡で地震があったらどこに行ったらいいんだって。自分の生活エリアのなかで大平山みたいなところってどこだろうって」

静岡の人たちが災害から命を守るきっかけにしたい。作業は夜遅くまで続きました。

3月1日、写真展初日を迎えました。来場した人たちは、小澤さんたちが作った冊子に見入っていました。

(来場者)「なんかこの前小学校をニュースで残しておくって」

(小澤さん)「多分ここ(請戸小)だと思いますね。10月に一般公開されるようになって残すことになって」

(来場者)「私もみたような気がする、そのニュース」

(来場者)

「なんか思い出したわね。昔だと思っちゃうけども。(請戸小に)いい機転の人がいて、大平山に行こうって言ってくれた人がいてよかったんじゃないかと思います」

「やっぱり避難する場所をちゃんと決めて、もしもの時に備えたいと思いました」

(小澤さん)

「今の福島がこういう状況だというのを私たちの発信から知っていただく機会になってよかったと思います。静岡で災害が起きた時に、みなさんがどういう取り組みをするのかというのをひとつ考えていただく機会になったらいいな」

このパネルが展示されている請戸小学校は2021年10月、福島県で初めての震災遺構として一般公開が始まりました。2階付近まで津波が押し寄せた様子などを見学することができるということです。私たちそれぞれにとっての大平山がどこなのか、改めて考えてみたいと思います。

写真展は静岡市葵区にある静岡市番町市民活動センターなどで3月15日まで開かれています。

【動画】