<2023年3月22日放送>
大河ドラマ「どうする家康」で、家康の正室・瀬名を演じる有村架純さん。歴史上は瀬名(築山殿)は「悪女」で、家康とは険悪な関係だったとも言われてきましたが、ここまでのドラマで有村さんは、悪女とはほど遠い穏やかな平和主義者として演じています。
その有村架純さんに、NHK静岡は単独インタビューをしました。激動の駿府時代、家族に囲まれる三河時代を振り返りながら、気になる今後についても語っていただきました。(インタビュアー:記者 三浦佑一)
※記事文末にインタビュー動画があります
「どうする家康」で、松本潤さんが演じる家康のパートナー・瀬名の役を務める有村架純さん。ドラマの撮影のさなか、NHK静岡の単独インタビューに応じました。
(記者:ここまで演じてきて、いかがですか)
「私は(2022年)9月にクランクインしたのですが、1話の瀬名の結婚から、いろんなことが目まぐるしく変わった6話まで、1~2か月で瀬名のパートをドドドドって駆け足で撮りました」
「クランクインしてから、あまりの過酷な6話までのシーンが、自分自身もついていくのに必死でした。でもいろんなキャストの方とのキャッチボールだとか、現場の雰囲気だとかに助けられて、なんとか瀬名の奪還まではしっかりと自分の中で悔いの残らないように務めることができました」
「そこからやっと家族が再会して、また一つになって日々を過ごして行きます。なのでより一層愛おしさ(いとおしさ)だとか、家族でいる時間の幸せみたいなものを楽しく描ければいいなと思って。そういった心意気で10話までを演じさせていただいています」
ドラマ序盤で描かれた駿府・今の静岡市で、瀬名を取り巻く状況はめまぐるしく変化しました。
娘から妻へ。
妻から母へ。
「今川のもとで、関口氏純さん(演:渡部篤郎さん)と巴さん(演:真矢ミキさん)との両親に育てられた瀬名が一体どういう娘だったのかというのは、自分の中で積み重ねました。きっといろんなことを教育熱心に教えていただいただろうし、愛情深く育ててもらったんだろうなというのは台本を読んで感じていたので。そういった関係性ができればいいなと思っていました」
その両親が犠牲になることで家康のもとに戻るという、つらい決断の場面を演じました。
「あまり計算して何かを考えることはなかったように思います」
「当時はやはり、1~2年ごとに情勢がどんどん移り変わっていくめまぐるしい時代ですし。いつ、『あすはわが身』じゃないですけど、自分たちも死に直面するかという、死と隣り合わせの時代なので。そういった生きる覚悟みたいなものは常々きっとどの、男性であっても女性であっても持っていた時代だったと思います。生きるということに対してたぶん一番、熱量を注いでいたような。そんな感じがしましたね」
取り戻した家族との生活。戦乱の時代を描くからこそ、温かい雰囲気づくりを心がけていると言います。
「(家康たちは)戦いに行っていることも多いので、あまり家で同じ時間を共有するということができない分、だからこそ一緒にいる時間がとてつもなく儚い(はかない)というか、尊いというか。殿がいかに安心して家に帰りたいって思える空間にできるかと考えると、やはりそこで待っている瀬名は、笑顔で温かい瀬名であるべきだなと思います」
「殿(家康)が大事にしている家臣団は瀬名にとっても大事な存在なので、それは同様に愛情を注いで」
松本潤さんを間に挟んで描かれる、松嶋菜々子さんが演じる於大の方との「嫁姑(しゅうとめ)関係」も話題です。
「私も『もうちょっと殺伐とした何かが生まれるのかな。お嫁さん・お姑さんっていう関係性って』と思っていたのですが。古沢さんの脚本がちょっとコミカルな、クスッと笑えるような関係性に描かれていたので。私としてはそっちでよかったって、すごく思います」
「松本さんは本当にただただ周りを見て、私たちのためにっていうことをすごく考えてくださっている方ですね。それを考えているからこそ出てくる言葉だったり、出てくる行動だったり」
「心と心で会話するみたいな感じですかね。もう共演してから10年ぐらいたって長いこともありますし、3度目ということもありますし。なので松本さんがやりやすいって思ってくれていたら、私はそれでいいかなと思っています」
気になるのは、今後です。歴史上は「悪女」とも言われる瀬名。最後は家康を裏切った疑いで、浜松市の佐鳴湖の近くで処刑されたとも伝わっています。
演じるにあたって、有村さんは浜松を訪れたといいます。
「実際にゆかりの地を回らせてもらって、佐鳴湖にも足を運んだんですね。それってすごく力を頂くというか。やっぱり実際に『ここの場所で瀬名が息絶えたんだな』とか、そういったことを感じることってすごく大切で」
「私もそこで感じたことを内包して、お芝居に生かせることも出来るので。実際にロケに行けるかはわからないのですけれども、行った事実が私の実感としてあるので、それを感じながら表現できればいいなと思っています」
最後に、視聴者へのメッセージをもらいました。
「『どうする家康』、瀬名が無事に家康さんと再会してからの日々が描かれていると思います。とてもユーモアある話も多いですし、ほほえましいシーン、くすっと笑えるシーンも多々ありますので、引き続き楽しんでみていただけたらいいなと思います。これから先ももっともっと物語が展開していきます。いろんなドラマがありますので、そちらも楽しみにしていてほしいです」
【動画】
撮影:曽我出、植村英彦/音声・照明:三浦暢子、安部麻友子/編集:中条恵子
【予告動画】
【NHK静岡「どうする家康」特集】
【関連記事】
松本潤さんが語る 家康にとって静岡とは?今川義元・瀬名との関係は
野村萬斎「今川義元 再評価を目指して」
今川氏真役・溝端淳平さん 松本潤さんや野村萬斎さんとは…