(安川侑希キャスター)
インタビューコーナー「キラ!しず」。この方の入場です。どうぞ!
さあ始まりました。華麗なボールさばき。黄金の左足で繰り出されるドリブル。
そこから体制を整えて・・・。
決まりました!ご紹介しましょう。アンプティサッカーワールドカップ・トルコ大会の日本代表、そしてガネーシャ静岡AFCに所属する後藤大輝選手です。
どうぞこちらへお願いします。最後のキック、すごかったですね。
(各務キャスター)
高さがもう、びっくりしました!
(安川キャスター)
アンプティサッカーとは、足や腕に障害がある人が競技する7人制サッカーのこと。
「クラッチ」という杖で体を支えながらプレーします。後藤さんは10月にトルコで行われていたワールドカップで点を取るストライカーとして活躍。
日本は11位という結果でしたが、後藤さんは予選を含めて7得点をあげました。初めての世界大会、どうでした?
(後藤大輝選手)
いやあ、緊張するかなと思ったんですけれども、やっぱりワクワクと楽しいという感情が第一に来て、いい経験になりました。
(安川キャスター)
世界の選手はどうでした?戦ってみて。
(後藤選手)
日本で、自分も小さい方ですけれども、ディフェンダーの人とか、頭1こ分ぐらい抜けている。体のつくりが違うなと。大きくて怖い。顔も怖い(笑)。
(安川キャスター)
そんな中でプレーされたのですけれども、アンプティサッカー、最大の特徴はどんなところになるんですか?
(後藤選手)
そうですね。サッカー分からない方や、分かっている方にも、わかりやすくて見やすいし、ハラハラドキドキできるというのがありますし。やっぱり健常者であってもおもしろいというのが一番魅力的かなと思います。
(後藤康之キャスター)
杖は、ボールが触ってはいけないということになるんですか?
(後藤選手)
そうですね。ここに当たったらハンドなので。普通のサッカーの手と一緒なので。
(安川キャスター)
そんな後藤さんの武器は、左足が繰り出す力強いシュートです。空手で鍛えた体幹を使って重心を低くすることで、弾丸のような鋭いシュートを生み出せるんです。
(後藤キャスター)
早くて動きがトリッキーですよね。
(安川キャスター)
それにしても、プレーがね、激しいんですよ!やってみて怖くないですか?
(後藤選手)
やり始めた最初はすごい痛いし、杖が顔に当たってくるし、逆に体から地面に落ちても杖の持つ部分が体に当たったりとか、痛かったんですけれども、今は試合に出ちゃえばやるだけっていう感じなので。大丈夫です。
(安川キャスター)
現在20歳の後藤さんは、1歳の時に病気で右足首から下を切断。
スポーツが大好きで、中学の時にはキャプテンとしてサッカー部に所属していました。また、空手でも頭角をあらわし、小学生から高校生まで、数々の全国大会で優勝を果たします。
子ども時代は、どんな子どもだったんですか?
(後藤選手)
そうですね。やっぱり、親にたくさん迷惑をかけてしまったというのが一番。やんちゃだったなっていう感じですね。本当にまあ、警察のお世話になったりならなかったり、みたいな。
(安川キャスター)
当時の自分を振り返るとどうですか。
(後藤選手)
本当に、お母さんお父さんに迷惑かけたなというのが、今一番思いますかね。
(各務キャスター)
そうした中で、アンプティサッカーとの出会いは、後藤選手にとってどんなものになっていったんですか?
(後藤選手)
半強制的に更生できる場所というか。やっぱりみんなが応援してくれるっていうので、やっぱりそれなりの態度とか行動とかをしないといけない中で、本当に半強制的に更生してきました。
(各務キャスター)
ほかの競技とは違ったんですね。
(後藤選手)
そうですね。やっぱり今までだと普通のサッカーやっても自分が義足だからっていうのがあったんですけれども、みんな足がないという。やっと平等の立場で戦えるっていう。だから自分も負けたくないから、さらに他の競技よりも頑張れるようになったかなと思います。
(安川キャスター)
国内のみならず、世界でも活躍して点を取っているわけじゃないですか、後藤さんは。周りってどんな反応ですか。
(後藤選手)
そうですね。自分の周りも世界で戦う人っていなかったので。まずその第一人者っていうか。それに自分がなれて嬉しいと思いますし、そこで活躍してみんなにも褒めてもらったり応援してもらったりするので。今回のはあまり活躍できなかったんですけれども、4年後はバンバン点取って、得点を目指してやっていきたいと思います。
(後藤キャスター)
今回だって7得点しているんですよ。
(安川キャスター)
期待を一身に背負ってピッチに立つ後藤さんですけれども、選手の傍ら、ふだんは会社員として働いているんです。こちらです。
この日お邪魔したのは、静岡大学。後藤さんは外壁塗装など、建設現場で仕事をしています。なぜこの仕事を選んだんですか?
(後藤選手)
もともと自分が、体を動かす方が、パソコンとかやるより向いているなと思いましたし。自分でも体を動かせる仕事がしたいという思いで、チームのスポンサーになってくださっている会社に入社させてもらうという形で、今働いています。
(後藤さん)
ちょっとこれ、待ってください。この重そうな缶を持ち上げているのが、これが後藤さん?
(後藤選手)
そうです。自分です。
(安川キャスター)
1つ15キロくらいあるんですよね。仕事しながら筋トレしているような感じじゃないですか?
(後藤選手)
筋トレと思っていなくても、勝手に毎日筋力がついてくれるっていう。
(後藤キャスター)
全身の筋肉のバランスも大事でしょうしね。競技の上では。
(安川キャスター)
仕事の時も、アンプティーサッカーのことを考えているんですか?
(後藤選手)
それはもう、次の大会はどういうふうに点取ろう、ということとか、自分が今チームのキャプテンでもあるので、どういうふうに伝えれば楽かなとか、わかりやすいかなとか、いろいろ試行錯誤しながら、毎日考えています。
(安川キャスター)
ともに働く同僚の方にも聞いてみました。
(同僚・山本大貴さん)
「一緒に仕事をしていると、勇気をもらえるというか、元気をもらえて仕事できるというのはありますね。試合の方でもエースストライカーとして頑張ってくれると思うので、現場でも、まとめてみんなを引っ張ってくような立場になってもらって、頑張っていってほしいなと思います」
(後藤キャスター)
試合でもキャプテン、そして現場でもリーダーと言うことで、期待の声が寄せられましたが、どうでしたか。
(後藤選手)
そうですね。まだ現場の中一番下ですし、まだまだまとめられることはできないんですけれども、しっかり今後、サッカーでも成長していく上で、仕事でもしっかり成長していきたいなと思っています。
(後藤キャスター)
今後の夢は何ですか?
(後藤選手)
チームの目標としては全国大会優勝っていうのを掲げているんですけど、それもそうですけど、自分の個人の目標としては、今回活躍したよりも4年後のワールドカップに向けてしっかり準備して、世界優勝、世界一を日本が取りたいという思いが一番あります。
(安川キャスター)
今後、チーム、そして日本を背負ってぜひ優勝をつかんで輝く姿、また私たちに見せてくださいね。
(後藤選手)
頑張ります。
きょうは、アンプティーサッカー日本代表の後藤選手にお話を聞きました。ありがとうございました!
(後藤選手)
ありがとうございました。