<2023年3月23日放送>
大河ドラマ「どうする家康」で家康のライバルとなる駿河の戦国大名・今川氏真を演じる溝端淳平さん。父・今川義元(野村萬斎さん)と、弟分・家康(松本潤さん)に対する劣等感に苦しむ姿を演じ、悪役なのに寄り添いたくなるような魅力を発揮しています。
その『氏真』の名が副題となっている3月26日放送の第12回を前に、溝端さんが静岡県民向けのインタビューに応じ、氏真の内面をじっくりと語りました。(インタビュアー:記者 三浦佑一)
※文末にインタビュー動画があります
NHK静岡が撮影スタジオにおじゃました日。氏真にとってのクライマックスだという第12回のシーンを撮影していました。
(「どうする家康」今川氏真役・溝端淳平さん)
12話ですからね。12話は氏真と家康の対峙が一番描かれるところなので気合が入ってますよね。1回ここで第一章が終わるみたいな感じかもしれないですね。
待ち時間には、家康側である榊原康政役の杉野遥亮さんや、本多忠勝役の山田裕貴さんと、演技について話し込んでいました。
(溝端さん)
「上から打つと、かなり矢って強いね。練習の時よりも刺さった」
(溝端淳平さん)
大変ですけどやりがいはありますね。とても。台本を読んでもすごく興奮するというか。家康との関係性だったり父との約束だったり、なかなか人間味がある役なので。プレッシャーもありますけれども、楽しみながらやれたらなあと思いますね
静岡の皆さんは特に、『今川派』という言い方も変ですけれども、応援してる方も多いのかなと思っています。特に静岡の方に楽しんでもらえるようにと思います。
日を改めて行ったインタビュー。
溝端さんは、氏真の内面が表れたシーンとして、家康の家族を引き渡した第6回の「人質交換」を挙げました。
(溝端淳平さん)
家康を撃つこともできたのですけれども、家康の子どもが父親と再会している時、『父上』というものが氏真の中でフラッシュバックして。
氏真はポイントポイントで『父と息子』『父と子』がキーとして描かれています。狂気に落ちてしまい、闇落ちした氏真がそこで一瞬、我に返る。
父からの、ある種の呪いのようなものに取り付かれている役だと思います。そこが悲しくもあり切なくもあり、最終的にはあたたかくもありということかなと思います。
あまりに偉大な父・今川義元。
そして、人をひきつける魅力を持つ弟分・家康。
2人との力量の差が、氏真の孤独感を深めます。
(溝端淳平さん)
幼少期から(家康は一緒に)育ってきて、自分(氏真)の前では自分を立てるために、うわべだけで接してきたんだろうなという思いもあります。そうした中で、自分の家来だと思っている人がどんどん出世していく。そして、自分が尊敬してやまないし、いつか越えなくてはいけない父親・義元も家康のことを自分以上に買っている。
一番そばにいてほしい、一番支えていてほしい、父親が亡くなった後に『兄弟、手を取り合って今川家を(再興しよう)』と思ってるときに、その人(家康)に裏切られるっていうのはとても辛かったでしょうし。
またそれを裏切られるっていう意味でも、自分の中ではふたしてるんでしょうけどどっか心当たりがある部分も。『自分はやはり誰も認めてもらえないし、誰も信用してくれないし、自分には才能がないんだ』っていう。
氏真の有名な歌がありますよね。
『なかなかに 世をも人をも恨むまじ 時にあはぬを身のとがにして』
最終的には人も世も恨まずに『この時代に合わなかった、自分の生き方が間違ってたんならそれを受け止めるしかないんだ』と行き着くまでの葛藤は、大きくあったでしょうね。
一方で溝端さんは、氏真は家康と同じ理想を抱いていたと考えています。
(溝端淳平さん)
氏真も家康も11話まで見ると敵役で対比になってると思うのですが、目指している部分は同じで。
義元公が作ろうとしていた戦のない世界。実際父・義元は、あまり戦をしてこなかった人なんですよね。どちらかというと政治的なこと、人脈などで戦わずして領地を治めていくっていうことに長けていた人。きっと氏真もその教育を受けてきたんですよね。
歌と蹴まりができることで、いろんな人たちとの人脈ができて、それによって『戦をせず平和を築いていこう』という考え方。父がなし得なかったことを実現したいというのは、氏真も家康も同じだと思うんですよね。
憎いだけじゃなくて、そこにいろんな葛藤があって、その2人が遂に対峙(たいじ)して決着がつくというところは、家康のアイデンティティと氏真のアイデンティティがぶつかり合う回だと思うので。そこは見どころなのかなと思います。結局やはり今川義元という存在の大きさもわかるでしょうし。
あとは、夫婦の愛だったり人間愛だったり。最終的には、血はつながっていないけれども、『家族』というのが12話のテーマかなと思いますね。
その第12回を前に、静岡県民に向けてメッセージをもらいました。
(溝端淳平さん)
静岡のみなさんこんにちは。いよいよ『どうする家康』、今川家、氏真と家康のクライマックスです。歴史の結果だけ見ると『暗君』で『愚将』と見られがちな氏真も、実はすごくいろんな思いがあって行きついたんだなという新しい可能性を提示できる回になってるんじゃないのかなと思います。
東京にある今川家のお墓に行ったときに、奥さんの糸さんと氏真さんの墓を見た時に、とても心温まるというか。
『すてきな夫婦で幸せに最期をとげて。今川家は武人、武家としては衰退したけれども、最終的に生き残って、氏真も成すことを成して幸せにこの世を去ったんだなあ』っていうふうに思えたので。それにつながる氏真の葛藤の部分を見ていただけましたら。
そして家康との絆ですね。そこも注目していただければなと思います。
【インタビュー動画】
撮影:鎌田隆宏、曽我出/音声・照明:足立祐三子、浦海恭子、三浦暢子/編集:中条恵子
【予告動画】
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溝端淳平さんが静岡まつりに参加 今川氏真が駿府に帰ってきた!(2023年4月4日放送)
今川氏真役・溝端淳平さん 松本潤さんや野村萬斎さんとは…※動画付(2023年1月6日放送)
【NHK静岡「どうする家康」特集】
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