水の事故を防いで夏を楽しもう(2022年8月4日放送)

記者 小田原かれん・渡邉亜沙・山崎航
2022年8月9日 午後1:27 公開

暑い夏、水の事故が相次いでいます。

静岡県では、7月に亡くなった人は6人。前の年の同じ時期の2倍でした。

大切な人の命を守って欲しい。水場で遊ぶ際の心得と対策を知っておいて下さい。

【学生が事故を防ぐ】

浜松市の天竜警察署で、川で溺れていた8歳と13歳の女の子を助けたという大学生7人に感謝状が手渡されました。

「7人が連携し安全を確保した上で救助活動を行ってくれた。その冷静な行動に敬意を表します」

大学生たちは、7月23日、浜松市天竜区の阿多古川で川遊びをしていましたが、2人のの女の子が、流されたサンダルを追いかけて溺れているのを見つけ、助けたということです。

大学生たちは、2人が川の真ん中付近を流されていたところに近寄って助けましたが、当初、女の子たちが声をあげていなかったので、近づくまで、遊んでいると思ったということです。

「最初は女の子たちが遊んでいるのかなと思った。ちゃんと泳げなくて沈んだり浮いたりしていた」

「女の子2人を助けられたのは本当に自分の中でもいい経験と言っていいかわからないが、誰も死ななかったというのが一番よかった」

【事故現場では・・・】

事故が起きた浜松市天竜区の阿多古川では、取材に行った8月4日にも水遊びや釣りを楽しむ人の姿が見られました。遊びに来ていた人たちからは、流れは緩やかだったものの急に深くなる所や、流れが速くなる所など注意が必要な場所があるという声が聞かれました。

男子高校生は

「急に深い位置があるのでそこでちょっと溺れそうになるときがある。事故とか増えてきているのでライフジャケットとか浮き輪とか持ってくるようにしたい」と話し、

鮎釣りをしていた男性は

「どこで遊んでいいかということを確認しないといけない」と話していました。

【県内の水難事故増加】

静岡県消防保安課によりますと、7月に起きた川や海などでの水の事故は12件。亡くなった人は6人と、前の年の同じ時期の2倍になりました。県や海上保安庁などでつくる水難事故防止対策協議会は県独自の「水難事故注意報」を出して注意を呼びかけています。

【水難事故どう防ぐ?】

子どもの事故をどう防げばいいのか、水難救助のプロ、静岡市消防局消防司令の中村一二三水難救助隊長に話を聞きました。

中村隊長

「こどもは溺れてしまうと自分の身に何が起きているのか理解できていないので呼吸をすることに必死になって声を出せない状況になってしまいます。あらかじめ危険な場所を親が把握して子どもに知らせることが非常に大事になります。腰くらいの水量だと人は簡単に流されてしまう。物足りないかもしれませんが自分のひざ下くらいの水深で楽しんでほしいです」

そして、欠かせないのが準備です。

常に親が見守り、子どもだけで遊ばせないことが基本だとした上で、ライフジャケットの着用を強く訴えました。

中村隊長

「川は真水でそのまま沈んでしまうのでライフジャケットがないと子どもだと泳ぐことが困難です。助かる可能性が非常に少なくなります。ライフジャケットを着用させて下さい」

一方で、川に到着してすぐにライフジャケットを子どもに着せると熱中症の危険もあるといいます。熱中症を防ぐことも考えると、川遊びに出かける前に子どもとしっかり約束をすることが大切だといいます。

ポイントは、▼川に近づかないこと▼近づくときは親に言うこと▼入るときはライフジャケットを着ることを伝えること、です。

【それでも溺れてしまったら・・・】

それでも溺れてしまったとき、どうすれば良いのか。泳いで助けようとするのは二次被害につながり危険だといいます。

中村隊長

「クーラーボックスやペットボトルを流された人に投げてつかまってもらいます。特にペットボトルに少し水を入れてもらうとその重さでねらったところに投げやすくなります。ペットボトルをつかむことができたらあおむけになって自分の胸のところにもってもらえれば、その浮力で浮いて水面に顔が出るかたちになります。近くにペットボトルなどのモノがなかった場合は、溺れた人にあおむけになって呼吸をするよう指示し、救助を待ってほしいです」。

最後に、特に覚えておいて欲しいポイントです。

▽子どもは叫ばずに沈む。

▽腰の高さの水量で流される。

▽あらかじめ危険な場所を子どもにも知らせ約束をする。

一緒に水遊びをする友人とも共有して水の事故を防いで下さい。

そして、楽しい夏休みを過ごして下さい!