「魔改造の夜」の興奮と感動の競技から、凄いアイデアとテクニックを学んでスーパー技術者を目指す「技術者養成学校」が2022年春に開校(全8回)。劇団ひとり教官と特別講師のもと6人の生徒が競技を追体験し楽しく学びます。
第2回の教材は「赤ちゃん人形綱登り」。赤ちゃん人形を魔改造し8mの綱を登る難競技。大手自動車「N産」は最高レベルのマシンながら悲劇の結果に…。何が起きたのでしょうか。
「失敗=命の危機」として任務にあたる宇宙飛行士が読み解く「失敗学」です。成功例からではなく「失敗」から学ぶことの大切さをみんなで考えていきます。
テーマ:絶体絶命の「失敗」からの脱出
第2回の特別講師は宇宙飛行士の大西卓哉氏。ほんのわずかなミスがリスクに直結する宇宙飛行士の世界。長期間におよぶ訓練では、蓄積されている過去の失敗例をもとに、さらなる失敗を想定して学び続けるそうです。今回のN産の悲劇について宇宙飛行士の視点から紐解いていきます。
▼「失敗にはモノづくりのエッセンスがぎゅっと詰まっています」と語る大西さん
N産の失敗の原因はなんだったのか?
「赤ちゃん人形綱登り」に参戦した大手自動車メーカー「N産」。「メカレディーZ」と名付けられたその魔改造マシンは100点以上のパーツで精密に作り上げられた最高レベルの完成度。
万全の体制で挑んだN産でしたが、2回試技をして、2回ともに何かしらの失敗をしてしまいました。
▼ゴール直前で、まさかのストップ…
第二試技までの10分間に何があったのか?
第一試技では、停止機能スイッチがゴール直前に作動してしまうというハプニングにより失格に。残されたあと1回の試技に挑戦すべくN産はピットに駆け込みます。
第一試技と第二試技とのインターバルはたったの10分間。時間のない中で何ができるのか、何をしなくてはいけないかの判断が大切になっていきます。
▼安全停止スイッチを殺すようリーダーからの指示が出る
▼しかし、機能はそのままに。発火する恐れがあるため。スイッチの位置をおでこから頭頂部へずらす
▼時間がないため作業を急いだ
▼第二試技へ。なにが起きていたのか…
▼第二試技でも、最高レベルのマシンが、まさかの失格に
▼スタートボタンを押す際に、重大なトラブルが…
チームで失敗を生まないためには、どうすればよいのか?
大西さんが体験した宇宙での極限状態の活動。船外活動中に宇宙飛行士がおぼれかけるという事故が起こったこともありました。宇宙服内を循環している冷却水が漏れ出し、ヘルメットの中に水があふれてくるという想定外の非常事態に。生命の危機が迫ってきているまさにそのとき、本人そして他のメンバーは、どのように行動したのでしょうか。
パニックに陥らないためには…
一歩ひいた状態で見るためには…
チーム、仲間との関係の中で、何をすれば…
失敗が起きてしまった後、どういう声をかけますか?
ボタンを押した役割の人に、どのように声をかけたらよいか考えてみましょう。
▼「 気にしてねーよ」(ギャル電きょうこ)
▼「どこが動かなかった? どうして配線ひっかかっちゃったのかね?」(清水)
▼「???に行くか!」(劇団ひとり教官)
▼「あなたはチームの最前線で戦ってくれた。○○○○○!」(斎藤)
ロボコン出場経験のある斎藤さん。断線によりロボットが全く動かず、何もできずに茫然としてまった斎藤さんにメンバーがかけてくれた、そのセリフを再現してくれました。
自分がミスしたときの気持ちの切り替え方は?
自分のミスが他の人の役に立つと分かっていても、やはり落ち込んでしまうものです。 そのときの気持ちの切り替えはどのようにしたらよいでしょうか?
大西:「スキルが足りなかった」「自分の未熟さで起きてしまったミスだったんだ」と受け止めて終わりにしてしまうのではなく、「たまたまその順番が自分に回ってきただけなんだ」という姿勢でエンジニアとして進んでいってください。自分の失敗を仲間や次の人に共有するということが大切であるということを知ってほしいです。
講義を終えて…
生徒:高専5年 舘野 桜
「失敗は絶対につきものである」、「自分が失敗した事は周りの人に共有して次回からのミスを無くす」とおっしゃっていた事に感銘を受けました。
私はこの授業を聴いて、これから社会人として生きていく中で、失敗はカッコ悪い事として隠すのでは無く、積極的に共有していく姿勢を持って行動したいと思いました。
生徒:機械工学博士課程2年 斎藤 菜美子
失敗から学ぶ方法を今後にいかそうと思いました。失敗に感謝し、他の人とも共有して、これからにいかすことを繰り返すことで、大きく成長したいと思います。ものづくりだけではなく人生に役立つ授業でした。
生徒:高専4年 清水由彦
「想定外の事態を完全になくすことはできないから、多くの「想定外」を訓練で経験しておいてパニックにならないようにする」というお話があったと思います。
私はロボコンで想定外の事態を経験することも多かったので、これらの経験を生かしていけるようになりたいと思いました。