子どもと新型コロナ 症状は?熱が出たら?おう吐したら?

NHK
2022年8月5日 午後1:15 公開

7月23日に全国の感染発表が初めて20万人を超えるなど、感染の急拡大が止まりません。子どもの感染も増えていて、医療機関からは受け入れに懸念の声も出てきています。小児病院でも「医療がひっ迫している」という声があがっています。

【小児病院でも“医療ひっ迫”】

東京・府中市にある都立小児総合医療センターでは、7月初め以降、患者が急増して1日の救急搬送が通常の3倍ほどの約300件にのぼる日もあり、症状が重くない場合、患者を迅速に受け入れることが難しくなっているといいます。入院している子どものなかには、基礎疾患がなくても酸素投与が必要な中等症相当になったり、重症化して人工呼吸器で治療を受けたりしているケースがあるということです。

発熱外来を設けている神奈川県川崎市のクリニックでは、これまでは比較的少なかった子どものワクチン接種の予約にも申し込みが殺到しているといいます。

かたおか小児科クリニック 片岡正 院長

「第7波がきて、子どもの感染が多いということで、ガラガラだった枠があっという間に埋まった」

【子どもが高熱に? オミクロン株の最近の傾向】

小児科医で北里大学特任教授の中山哲夫さんにお話を聞きました。

子どもの感染者が増えているということで、年代別の感染者数をまとめました。

10代と10歳未満を見てみますと、7月19日までの1週間では10代が全体の16.9%、10歳未満が13.9%で、合わせると全体の約31%を10代以下が占めています。

――ここに来て子どもの感染も増えていますが、なぜだと思われますか。

中山さん)

「いろいろな要素を考えなければいけないと思いますが、3月ぐらいから新規感染者が減ってきて気が緩んで人の動きが激しくなりました。多分、外国からBA.5など変異を持った株が入ってきています。BA.5は感染力が強くて、免疫から逃れる性質があって、体の中で増えやすい性質もありますから、それによって感染が爆発的に広がってきているというふうに考えられます」

――子どもの感染確認も増えてきている。

中山さん)

「ワクチンを打った子どもたちの数が少なく、そこに感染力の強いウイルスが入ってきています。あと、行動パターンが多様化しています。そういうことが複合的に関係して感染者が子どもの中でも増えてきていると思います」

――症状としては今までの変異ウイルスと比べて何か違いはあるのでしょうか。

中山さん)

「ことしの初めぐらいのBA.1やBA.2というのは、感染しても割と症状がなくて、軽い症状の子どもたちが多かったわけですが、今回のBA.5の流行が始まったところでは、高い熱を出して受診する子どもたちが増えてきています。重症というよりも、こうした熱の子どもたちが増えて、ぐったりしている子どもたちが多いという感じはあります」

【コロナでは? 注意が必要な症状と対処法】

「子どもが発熱してしまった」または「吐いてしまった」というとき、私たちはどうすればいいのでしょうか。まず大前提として、3歳くらいまでの子どもたちは、自分の体調の変化を伝えられないことがあります。親が様子をこまめに見守るようにしてください。そして、トイレに行く回数が減ったら脱水症状のサインです。スポーツ飲料を飲ませる、またゼリー状の飲料などで少しずつ水分補給をすることも有効です。そして、せきが長引いて“ゼイゼイ”している場合は、水平に寝かせるのではなく、30度から45度くらいに体を少し起こした状態にすると呼吸が楽になります。

――さらに、注意しなければならないのが合併症です。中山さん、合併症にはサインはあるのでしょうか。

中山さん)

「まず合併症ですけれども、高熱が続くわけですから、高い熱が出ると5歳~6歳までは、『熱性けいれん』といって、熱に誘発されるけいれんが出てきます。だいたいが5分くらいでおさまりますけれども、10分以上長く続いたり再発したりするような場合には注意が必要になります。そうした熱性けいれんの中には、脳症によるけいれんも出てきます。それは反応が鈍い、ぼんやりして、そして、けいれんが長く続く、それを繰り返すという症状が出てくるわけです。実際そういった症状は少ないけれども、インフルエンザ脳症はよく知られていると思いますが、新型コロナの場合にも脳症が報告されている例があるわけですから、そうした高熱があってけいれんがある、その中にも脳症が隠れてくる場合がありますから、注意が必要だと思います」

 ――新型コロナの症状が、まず熱などが出て、そこから熱性けいれんや脳症などの合併症が起きるということですか。

中山さん)

「感染することによって、いろいろな炎症性サイトカインが出て、その反応によって脳症のようないろいろな症状が出てくるわけです。熱性けいれん自体は熱に誘発されるわけですが、そのけいれんの中に脳症の症状として、けいれんを起こす場合があるわけですから、それには注意が必要だと思います」

――いちばん下の「クループ」とはどういう症状でしょうか。

中山さん)

「気道の入り口のところが炎症を起こす。いちばん最初のころの新型コロナの場合は、クループの症状がよく見られたような気がします。今回の流行の中では、クループはそんなにたくさん出ているわけではないです。ただ、苦しそうな乾いたせきが出てきて、“ケンケン”いって、泣くときに“ヒーヒー”するような症状が出てきます。呼吸するのが苦しいというような感じになります」

――そうした様子が見られたらどうすればいいのでしょうか。

中山さん)

「熱性けいれんに関しては、そんなに慌てないで、だいたい5分くらいでおさまりますから様子を見ることが大切で、ほかの症状が出てくるかどうか。熱に対しては解熱剤を使う。脱水が出てくるわけですから、そういう場合は水分の補給などできるだけ水分をとらせるというようなこと。クループに対しても、斜めに寝かせるとか、そうした対策をとる必要があると思います」

【すぐに救急車が来ないときは?】

――こういう症状があったら、緊急性が高い脳症なども入っていると思いますが、医療がひっ迫していて救急車がすぐ来ないときや受診ができないときは、どうしたらいいでしょうか。

中山さん)

「各自治体では、医師会と一緒になって、救急の当番医が毎日決まっています。夜間でもそうしたところに連絡すればアドバイスをくれるし、受診のことも相談できると思います」

――連れていくこともできるのでしょうか。

中山さん)

「まず連絡をするということ。それから自治体の広報には、そうした連絡先が書いてありますが、見逃していることが多いと思いますから、それを確認していただければ急なときに慌てなくて済むということがあるかと思います」

【子どものワクチンの効果は?副反応は?】

――子どものワクチンの副反応についてはどうでしょうか。

中山さん)

「まず、ワクチンの副反応というのはやっぱり避けることはできないわけですが、子どもたちのワクチンは今、3分の1に量が減らされているわけですから、大人の量と比べると副反応の頻度は少ないと思います。親がワクチンを打って熱が出てちょっとだるかったとか、そういう姿を見ていると、子どもたちは『やっぱりやめようかな』みたいに思いますが、ワクチンを受けることによって重症化を抑えるとか、感染をある程度抑えることができるメリットがあるわけですから、受けた方がいいと思います」

【子どもとの夏休みの過ごし方】

――そして行動制限のない夏休みが始まりましたが、子どもと過ごすときにどんな対策ができるでしょうか。

中山さん)

「行動制限がないということは無制限に何でもやっていいということではありません。感染症対策の基本になる『マスク』とか『手洗い』、『3密を避ける』、そうした原則にのっとった上でリスクを避けるような行動をとるべきだと思います。プールに行ったり、スポーツをしたりするとき、着替えをするときにもやっぱりリスクが出てくるわけですから、そうしたときは原則に従って、リスクをできるだけ避けるような行動を、大人と一緒に考えていかなければいけないと思います」