「ゾコーバ」ってどんな薬?効果は? 処方が始まった新型コロナの飲み薬の疑問を解説

サタデーウオッチ9
2022年12月8日 午前11:28 公開

新型コロナの新たな感染者数は全国で増加傾向が続いています。こうしたなか、国内の製薬会社が開発した新たな飲み薬、「ゾコーバ」の処方が本格的に始まりました。重症化リスクが低い患者も服用できるのが特徴です。どんな薬なんでしょうか?

(この記事は12月3日の放送をもとにしています)

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発熱外来がある都内のクリニックでは、希望する患者に「ゾコーバ」を処方しています。「ゾコーバ」は発症から3日以内に服用を始めると、症状が出る期間が1日程度、短くなるとされます。このクリニックでは、新型コロナと診断された、およそ4人に1人が処方を希望しているといいます。

伊藤博道 院長)

「症状が非常に強い患者はゾコーバを選ぶ傾向があります。ゾコーバが助けになるんじゃないかという期待をもっています」

一方、オンライン診療で陽性が確定し自宅療養をするケースなどでは、薬を受け取りに行けない人もいます。

先ほどのクリニックの近くにある薬局では、少しでも早く服用が始められるようにと、配送ではなく、薬剤師が直接、届ける場合もあります。ただ、あまりにも遠い場合は断ったり、配送業者に依頼したりするケースも増えてくるのではないかと話していました。

「ゾコーバ」はどんな薬?

「ゾコーバ」は国内の製薬会社が開発した飲み薬です。これまでも緊急時ということで日本で特例で承認されていた飲み薬はありましたが、いずれも海外の製薬会社のものでした。

【ゾコーバのポイント】

最大の特徴は「使いやすさ」

・12歳以上なら「重症化リスクが低い患者」も使える

・これまで承認されていたアメリカの製薬会社の2種類の飲み薬は、糖尿病や肥満などの「重症化リスクのある人」が対象だった

効果は…(開発した塩野義製薬の最終段階の治験結果)

・発症から3日以内に服用を開始した患者では、せきや喉の痛み、けん怠感、発熱などが7日前後でなくなる

・症状が出る期間がおよそ24時間短縮された

専門家に聞く!ゾコーバの疑問

新型コロナ対策にあたる政府分科会のメンバーで、東邦大学教授の舘田一博さんに「ゾコーバ」についての疑問を聞きました。

―――ゾコーバを飲めば、すぐに症状がおさまるんですか?

舘田さん)

大事なポイントはこの薬を飲むと、早めにウイルス量を減少してくれること。その結果として、症状の改善も早くなることです。この薬を飲んだ時に、重症化や死亡例がどのくらい減るのかということですが、いまは1000ぐらいの治験ですのでそれだけでは見えない。おそらく1万、10万、100万例というかたちで使われる中で、薬の実力が明らかになってくるのではないかと思います。

―――ウイルスの量を減らせることで、まわりに感染させるリスクも減らせますか?

舘田さん)

ウイルス量が減りますから、自分が重症化しないということに加えて、まわりが感染しにくくなる効果も期待できるかと思います。

―――副作用はありますか?

舘田さん)

妊婦への投与はやめなければいけません。併用注意、併用禁忌など併用薬の問題がありますから、主治医と相談しながら、自分がどんな薬を飲んでいるのか、その情報を参考にしながら、投与を考えることになると思います。

―――予防的に使うこともできますか?

舘田さん)

感染した人のまわり、家族や介護施設などでクラスターが起きそうなときに、前もって予防的に投与することによって、感染そのものを抑えることができる可能性については、将来的には検討していかなければいけないと思います。

―――仮に感染した場合には、「ゾコーバを出してください」と言えばいいですか?

舘田さん)

国産で、供給量がいまの段階でも100万人分ぐらい用意されているわけですから、広く使える薬として開発されています。ただ使うかどうかは、薬の飲み合わせなどに問題がないかどうか、医師に相談してもらうことが大事だと思います。

―――課題はありますか?

舘田さん)

基礎疾患のない、重症化リスクのない人に広く使いたいわけですけれども、薬価、つまりお金の問題があります。もっと広く使われるようになってくると自費で払わなければいけない時がきます。その時のコストがどれぐらいになるかが大事なポイントになってくるかと思います。