湯沢市にある温泉旅館が「湯温の低下」という理由から休業中。「創業以来の危機」にあるということですが、乗り越えようと奮闘しています。(秋田放送局キャスター 今井彩里衣)
湯沢市秋ノ宮にある温泉旅館。創業138年の老舗です。
迎てくれたのは、旅館の5代目社長、小山田光博さん。
温泉に案内してもらうと、浴槽にお湯は張っていない状態。去年12月から休業中だと言うことです。
その原因を見せてもらうため、特別に源泉を案内してもらいました。
お湯の温度をはかると・・・・
およそ47℃。かなり熱いように思えますが、これをポンプで吸い上げて浴槽に流すまで10℃くらい下がります。温泉として利用するには十分ではないということです。
この源泉、営業していた時は80℃あったそうです。しかしおととしの8月頃から、突然お湯の温度がぬるくなってしまい、一時は30℃になってしまったことも。その後も温度は安定せず、お湯の量も減っているということです。
温度が下がった原因は不明ですが、秋田県自然保護課によると、雨や地下の温度変化など自然環境によって温泉の温度が下がることは度々起こるそうです。しかし、ここまで急激に温度や水位が下がることはめったにないとのこと
再開に向けては、源泉を温めるボイラーを設置する予定です。旅館のホーページで募金やクラウドファンディングへの協力も呼びかけています。
一方休業中も、浴槽の木が腐らないように修繕作業や清掃作業は欠かせません。小山田さんはほとんど毎日旅館に来て作業にあたっています。
小山田さん「いつもお客さんが来てくれていたのに、誰も入っていないお風呂を掃除するというのも切ないとは思います」
そもそもコロナ禍で、お客さんは9割減少し、売り上げも激減。そこへ今回の源泉温度の低下が追い打ちとなってしまっています。
そんな小山田さんを勇気づけているのが、全国から届いた手紙です。
「再開を強く強く願います」「一番好きなお宿です」
お客さんからの応援の言葉が並んでいます。
小山田さん「やっぱりそう言われるとグッときてしまいますよね。勇気づけられるというか。落ち込んでいるときもあったので、こういう手紙もらうとすごく励みになりますね」
宿では、窮地を家族で乗り越えようとしています。この日は、ボイラーの土台作り。なるべくコストを押さえようと、できる部分は家族で協力して作業を行っています。
小山田さんの妹の関優美さんと、夫の関亮太さんも、従業員として作業にあたります。
実は関さん夫婦、もともとは東京でペットのトリマーをしていました。しかし、コロナで苦しむ実家を見た優美さんが旅館を手伝うことを決意。2年前、湯沢に移住したんです。
関優美さん「138年という歴史がある旅館をどうしても私自身一緒に守っていきたいなって思って」
関亮太さん「最初は個人的には反対でしたね。東京で8年勤めてたんで。(気持ちが変わったのは)単純に妻の気持ちが強かったっていうので、じゃあ行こうかって」
新たなチャレンジ
再開に向けて、新しいチャレンジも計画中です。一部の部屋に犬用のケージやトイレ、ベッドを設置。関さん夫婦がトリマーだった経験を生かして、愛犬と一緒に泊まれる部屋を提案しました。今後、汚れにくい畳に変えるなど、部屋の改修をすすめる予定です。
関優美さん「湯沢で犬っこまつりがありまして、それなのに泊まれる宿がないのがすごく悲しいなとずっと思っていました」
守りたい歴史と新たな挑戦。再開に向けて、小山田さんたちの作業が続きます。
小山田光博さん「懐かしいなって言ってもらえるのが一番。昔の面影残して来てもらった人の思い出も残すみたいな。早く営業再開できるように努力していきたいと思います」
宿ではボイラー導入後の5月上旬から、まずは日帰り入浴での再開を目指しています。