僕は顕蔵さんのために ノーザンハピネッツ古川孝敏選手

NHK
2023年10月20日 午前11:00 公開

今シーズンの開幕を迎えたBリーグ。秋田ノーザンハピネッツにとっては

2シーズンぶりのチャンピオンシップ出場をめざすシーズンが始まりました。

ハピネッツのキャプテン、古川孝敏(ふるかわ・たかとし)選手に

今シーズンにかける思いを聞きました。

10月14日に行われたホーム開幕戦。

ハピネッツは延長戦にあたるオーバータイムの末敗れましたが、

古川選手は第4クオーター残り40秒でスリーポイントを決め、3点差まで迫るなど

勝利への執念を見せました。

今シーズンは「前田顕蔵ヘッドコーチのために戦いたい」と意気込んでいます。

子育てとヘッドコーチの両立

ハピネッツを率いる前田顕蔵(まえだ・けんぞう)ヘッドコーチ。

昨シーズンの開幕直前に妻を亡くしました。

ヘッドコーチを務めながら、1人で2歳から小学6年生までの4人の男の子を育てています。

前田ヘッドコーチは、緊急時を除いて仕事に関する連絡をしない時間帯、

「ORAHO(おらほ)タイム」を設けています。

ORAHOタイム中は、自宅に近所の人を招いて一緒に食事をするなど家族が楽しく過ごし、

バスケと育児のメリハリをつけ、ポジティブに両立させようとしています。

しかし、キャプテンの古川選手はそんな姿を見て…

(古川孝敏選手)

僕はそれは見ていて辛いです。正直顕蔵さんのすべてを理解というのは難しいけれど、 前向きさやポジティブ…

実際どういう風に感じられているかわからないんですけど、やっぱりちょっと大変、

ぼくはどちらかかというと辛いというか、

辛いという言い方よくないかもしれないですけど、

改めてバスケットを頑張らないといけないなという思いが強くなるというか。

ひとり親家庭で育った経験から

自らもひとり親家庭で育ったという古川選手。

母は仕事のため、早い時には朝5時に家を出て、帰ってくるのは夜8時や9時。

忙しい母にかわって夕食を作ってくれたのは、年の離れた姉でした。

そんな大変な状況の中でも、家族は古川選手に大好きなバスケを続けさせてくれたそうです。

自身の経験から、育児とヘッドコーチ業の両立がどれだけ大変なことか、想像に難くないといいます。

一方で、自らの境遇を重ね、ほかのひとり親世帯のことも気にかけています。

(古川孝敏選手)

ひとり親家庭が幸せじゃないわけじゃないし、何が正解というわけでもない。

ただ、僕の経験からすると、絶対に大変なことはあると思う。

僕は母親に助けられ、姉にも助けられて、姉にもいろいろ負担はあったのかなと感じる部分はあるし、母はいろんな思いをもって育ててくれたというのは大人になってから話を聞きました。

同じように様々な思いを持っている親御さんもいらっしゃるでしょうし、

間違いなく、楽じゃないというか、大変な状況があると思う。

秋田のひとり親家庭のために

去年12月、古川選手はチームにある提案をしました。

秋田県内のひとり親家庭をホーム戦に招待する企画です。

(古川孝敏選手)

何か手助けをしてあげたいし、ひとり親家庭で育っても僕は幸せに過ごしていたので

「幸せに過ごしていけるんだよ」というのも伝えたい。

不幸なことではないし、そう思われたくない方もいらっしゃるでしょうし、

いろんな状況がある中でもみんなで楽しく過ごせるというのはすごく大事なことなので

あの企画をしました。

顕蔵さんとともに

(古川孝敏選手)

いま自分にできることは、しっかりとコートでやること。結果を残すことは

顕蔵さんのため、(顕蔵さんの)家族のためにもなるかなというのはもちろんあります。

一緒に結果をつかみ取りたいというのが、僕の中で大きな決意になっています。

顕蔵さんのため、本当に家族のためにここにいるという思いでやっています。

今シーズンは顕蔵さんのために戦います。