水質の改善が課題となっている八郎湖。今回は地域で水をきれいにしようとがんばる人たちを取材しました。(取材:今井彩里衣)
迎えてくれたのはNPO法人はちろうプロジェクト・鎌田洋平さんです。湖の環境改善に向けて取り組んでいます。
八郎湖は2007年、国が水質改善を推奨する「指定湖沼」となっています。
八郎湖では、夏になると発生するある問題が・・・・
水が緑色になってしまうのです。
原因は気温の上昇により発生する“アオコ”というプランクトン。アオコが大量発生すると、魚が死んでしまったり、周辺の異臭にもつながったりします。
八郎湖の植生再生地区
こうした状況を改善しようと、プロジェクトでは八郎湖周辺に水草を植えています。水草は魚の住みかになるなどきれいな湖に不可欠な存在です。
一方で、秋田県・環境管理課によると、水のきれいさを示す数値は、ほぼ横ばいの数値になっていて改善には至っていません。
どうしたら水草が育ちやすい環境になるのか、鎌田さんたちは考えました。
八郎潟モグリウム
プロジェクトでは、5年前から新たな取り組みを始めています。それが『八郎潟モグリウム』です。大型水槽で水草を育てています。
植える水草は、かつて八郎湖周辺に生えていたものです。ここで繁殖させた後、再び八郎潟に戻すことを目標にしています。
広がるモグリウム
現在、モグリウムの設置は、八郎潟周辺の小学校や県内の大学など、11か所にまで広がっています。
モグリウムをいろいろな場所に設置することで、どのような環境だと水草が育ちやすいのかも研究。調査には県内の大学教授や県外の研究員も参加しています。
若者たちも参加。調べているのは?
研究には大学生も参加。「はちろうプロジェクト学生部」として鎌田さんとともに活動しています。学生達はモグリウムの水槽に生息する生き物の調査も行っています。
主に調べているのはミジンコ。アオコなどの植物性プランクトンを食べて水をきれいにしてくれる大事な生物です。この粒のようなものがミジンコです。
採取したミジンコは、顕微鏡で生態を調査。スマートフォンで撮影することで、より詳しく動きを観察することができるそうです。
(秋田県立大学・常田要介さん)
「水質改善には微生物の量とか生物的多様性も重要であることがわかりました。どのようにしてミジンコを増やせるのか、呼べるのか、またその他の水生昆虫を呼ぶためにはどうすればいいのかというのをやっていきたいと考えています」
訪問授業も
鎌田さんは地元の小中学校や高校で「訪問授業」もしています。この日は八郎湖の歴史を学び、環境改善を考えるという内容です。
いってらっしゃ~い!!
授業の終わりには、水が汚れてしまい水草が育っていないモグリウムに、ミジンコを放流して水質の改善を図ります。
体験した子供たちは・・・。
八郎潟のこれから
(NPO法人はちろうプロジェクト・鎌田洋平さん)
「いろいろな生き物がいて、そこにこういう子たちも、いろいろな人たちが関わってにぎわいのある場所に…昔の八郎潟ってそういう場所だったんだろうと思うので、そういう場所を取り戻せるような活動をしていきたいです」
1日も早く美しい八郎湖を見られるように私たちも協力していきたいですね。
そして、プロジェクトに参加している学生さん達が6月30日(金)午後5時05分から放送の
「放課後ラジオ よりみちこまち」にゲスト出演!
NHK秋田放送局1Fロビーからの公開生放送です。ぜひ遊びに来てくださいね。