NHK秋田「ニュースこまち」キャスターの大谷です。私も楽しみにしているドラマ、連続テレビ小説「らんまん」。万太郎と寿恵子が結婚し、物語はまた新しいステージに進んでいきますね!これから植物学者として、どんな道を歩んでいくのか。今後の展開に期待が膨らみます。
さて、今回の「オオタニサンが行く」では、その「らんまん」に関連する場所を訪ねようと、6月の初めに上小阿仁村へ向かいました。主人公のモデル、牧野富太郎博士が名付けた植物など、村のシンボルとされるものを訪ねてきましたよ。
森の巨人「コブ杉」へ
まず目指したのは、村の観光スポットとしても有名な「コブ杉」。上小阿仁村役場産業課の工藤南さんが案内してくれました。
生い茂る緑の中を進んでいくとアイコやミズなど、たくさんの種類の山菜が。近くには山菜の名前が書かれた看板もあります。「採って帰りたい!」という衝動に駆られるかもしれませんが、ここでは山菜の採取は厳禁です!
しばらく進むと、天然秋田杉のエリアへ。以前、この一帯の杉の木が調査され、高さや幹の太さなどが記録されていました。最も高いものは56m。幹の途中が2つに分かれていて特徴的な木。カメラでも収まりきらない、立派な秋田杉です。見上げると、木漏れ日がすがすがしい気持ちにさせてくれました。
さらに歩くと、目指していた「コブ杉」が見えてきました。コブの周りは、およそ6.6m、迫力のある大きなコブです。秋田杉に囲まれる厳かな空気の中で、なんだかパワーをもらえるような気がしました。「コブ杉」は林野庁の「森の巨人たち100選」にも選ばれています。
枝が風で揺れる音や鳥のさえずりだけが聞こえ、心が穏やかになるような場所でした。
牧野博士が命名! 村の花「コアニチドリ」
次に向かったのは、上小阿仁村野外生産試作センター。こちらで村の花「コアニチドリ」を栽培していて、ちょうど満開とのこと。「コアニチドリ」という名前を初めて聞いたとき、鳥の名前かと思いましたが、れっきとした花の名前なんです。この「コアニチドリ」という名前は、発見された小阿仁川にちなんで「らんまん」の主人公のモデル、牧野富太郎博士が名付けました。
コアニチドリが自生しているのは、標高の高い一部の場所だそうで、私も花を写真以外で見るのは初めて。栽培を担当している上小阿仁村役場の大沢直仁さんにご案内いただきました。
見せていただいた「コアニチドリ」がこちら。妖精が飛んでいるような、小さく儚げな花でした。小鳥が羽ばたいているようにも見えますね。淡いピンク色もかわいらしさを引き立てます。
大沢さんにどんな気持ちを込めて栽培されているのか伺いました。
(上小阿仁村役場 産業課 大沢直仁さん)
「栽培する人も減ってきて、なるべく途絶えないように、たくさん作れるように努力しています。コアニチドリの好きなところは、色とか、小さくてもたくさん花がつくのがかわいいと思っています」
自宅でもコアニチドリを
コアニチドリは、なんと自宅でも愛でることができるんです。村内の「道の駅かみこあに」に立ち寄ると、山野草コーナーにコアニチドリの鉢植えが販売されていました。一鉢1000円前後で購入することができます。この日は、まだつぼみの状態でした。
私も一鉢購入。4日後には花が咲きました!
(局内のデスクで花開いたコアニチドリ)
(休憩のお供に上小阿仁村特産のほおずきのソフトクリーム)
「コアニチドリ」が上小阿仁村の花であることは知っていましたが、名前は誰が名付けたのかといったことは、これまであまり考えたことがありませんでした。「らんまん」をきっかけに、関心の幅が広がりましたし、今回の上小阿仁村の旅にもつながりました。
みなさんも、牧野博士が命名した「コアニチドリ」や迫力ある「コブ杉」といった村のシンボルを見に、上小阿仁村を訪ねてみてはいかがでしょうか。