「やさしい猫」通信では、ドラマの中で登場する様々なコト・モノを詳しく紹介していきます!
1回目となる今回は、クマさんの生まれ故郷・スリランカの“食”に注目します!
ドラマのスリランカ文化考証を担当され、スリランカ料理屋の店主“ペレラさん”としてご出演もされている、にしゃんたさんにお話を伺いました!
紅茶大国・スリランカ
――――スリランカといえば紅茶が有名ですよね!第1話では、クマさんが公園でミユキさんに紅茶を振る舞うシーンがありました。
にしゃんた:スリランカが紅茶の国と呼ばれるようになったのには、歴史が関係しています。皮肉なことですが、実は、イギリスの植民地支配の名残なのです。寒暖の差が激しいスリランカは、いい紅茶の茶葉が育ちます。
しかし、スリランカでとれた質のいい紅茶の茶葉は、イギリスに輸出されてしまいます。ゴールデン・チップと呼ばれ、ほのかな甘みが感じられます。
一方で、スリランカに残るのは“ダスト”と呼ばれる余り物ばかり。しぶくて、えぐみがあり、そのままでは飲みにくい。だから、スリランカの人々はミルクと砂糖を入れて飲みやすくして楽しんだのです。
――――クマさんが紅茶に練乳を入れようとしてミユキさんに止められていましたね!
だからといって、クマさんのように練乳を入れるのは、あまり一般的ではないです。ドラマの中でクマさんが練乳を入れているのは、あくまでクマさんがレストランをやっている両親のもとに生まれたからです。我が家は普通に砂糖を3杯入れていました。
スリランカでは、朝目が覚めたら甘い紅茶を飲み、仕事場でもティータイムがあります。そのくらい、紅茶はスリランカの人々にとって一般的な飲み物なのです。
スリランカ“カリー”!
――――スリランカのカレーについて伺わせてください。スリランカフェスティバルのシーンで、葉っぱに包まれたカレーが登場しました。家では、クマさんが、複数の具材がのったカレーを、ミユキとマヤに振る舞っていましたね。
スリランカでは“カレー”ではなく“カリー”と呼びます。
まず、フェスティバルで食べていたカリーですが、包んでいた葉っぱはバナナリーフです。スリランカでは、バナナの木は家の庭に生えているくらい一般的な植物です。
私の家では、朝、庭にあるバナナの木から母が葉っぱを切り出してきて、火であぶります。そうすると固い葉っぱが柔らかく、しなるようになり、破れにくくなります。それでカリーを包んで、学校に持って行くのです。保存容器のような感じで。日本の竹みたいなものですかね。
一般的な具材はダル(豆)、フィッシュ(魚)、チキン(肉)。クマさんが家で作っていたものもダルとチキン、そして鰹節のサンボール(ふりかけ)が入っていました。スリランカには、保存食として鰹節を作る文化があります!そういった意味では日本と似ていますね。
学校の昼食の時間になると、みんながバナナリーフの包みを開けるため、教室はスパイスの香りでいっぱいになります。そして、当たり前のように具材を交換して食べます。
それぞれの家にそれぞれの味付けがある。全く同じ味付けというものはない。それをみんながシェアして食べるんです。カリーは、スリランカの人々にとって、幼い頃から“多様性”を尊重することを教えてくれる教材のようなものかもしれないと、僕は思います。
「やさしい猫」通信、第1回目はスリランカの紅茶とカリーについて、ご紹介いたしました!
次回もお楽しみに!
______________________________
にしゃんた プロフィール
羽衣国際大学 教授。
高校生の時に渡日、日本国籍を取得。教授、タレント、随筆、落語、空手、講演など多方面で活動中。
土曜ドラマ「やさしい猫」ではスリランカ料理店店主・ペレラ役として出演、スリランカ文化考証も担当。