音楽担当の小田朋美さん・石若駿さん対談

NHK
2022年3月16日 午前11:00 公開

写真の向かって左が小田朋美さん、右が石若駿さん(中央は挿入歌を歌った中村佳穂さん)

今回は、音楽担当の、小田朋美さん、石若駿さんのコメントをご紹介します。対談形式で、お2人が今回の劇伴制作で感じたことや、楽曲に込めた思いを語っていただきました。

今回、『エンディングカット』の劇伴のオファーを受けた時のことを教えてください

【小田】たしか昨年秋頃にふたりでライブをやることになって、ちょうどリハしいてた時に今回のオファーをいただいたよね。

【石若】ミラクルなタイミングだったね!とても光栄なことと思いました。僕にとって、いつもはドラマーとしてや、プレイヤーとしてさまざまな劇伴に関わっていましたが、ドラマの音楽で、作曲や、音楽 小田朋美 石若駿となるのは、初めてでしたので、小田さんと共にお互い納得できる作品になるよう頑張るぞーという思いと、とても嬉しい気持ちでおりました。

【小田】共作って、ひとりで作るのとは全然違う、思いがけない景色に辿り着ける醍醐味があるよね。

普段、石若くんとは一緒にバンドをやっていますが、昨年デュオのライブをやってから、ふたりでもっと素敵な景色を作れる予感がしていたので、良いタイミングでお話をいただいてありがたかったですし、もちろんドラマとしても、素晴らしい俳優陣の方々と一緒に作品を作り上げられることをとても楽しみに思っていました。

【石若】小田さんとお互いどんなふうな劇伴の作品に関わったことがあるかとか、共作ってやったことある!?みたいなことについてのミーティングもしたよね!なんだか、小田さんのまた違った一面も知れたような気もしましたね。

―元々関係が深い小田さん・石若さん、歌では中村さんと一緒に作ることをどう思いましたか

【小田】佳穂さんは、私も石若くんもそれぞれの繋がりがあって。私は名古屋で弾き語りツーマンライブをやったり、石若くんとやっている「CRCK/LCKS」というバンドでも対バンしたりしていて、その頃から大好きなアーティストだったので、今回の組み合わせでオファーしていただいて、とても嬉しかったです。

【石若】お呼ばれしたり、お呼びしたりっていう音楽家同士の関係がまたさらに深まってゆくワクワク感がありましたね。僕も嬉しかったです。オファーを受けて3人で最初にカフェに行ったのも懐かしいですね。

―実際に音楽収録してみた感想をお聞かせください

【石若】とても楽しみにしてレコーディングを迎えまして、歌以外の楽器を先に録ったのですが、最後に佳穂さんがいらして、強力なパワーが曲に注入されて大興奮でしたし、だんだんと曲が完成に向かっていく過程にも本当に感動しました。たくさんこだわっていただいて、テイクを重ねましたがどれも素晴らしく、どのテイクをokにするか悩みましたね。

【小田】ほんと、悩みまくりました1曲の中に色んな情景がぎゅっと詰まったような今回の曲を佳穂さんがどう表現するのかとても楽しみでしたが、現場で実際レコーディングしていたら、だんだんと花が開いていくような佳穂さんの歌が、主人公・結の葛藤や成長に重なって。描いていたよりさらに大きな景色を見せてくれて、佳穂さんに歌をお願いできて本当に良かったなと思います。

―収録中、大変だと感じたことはありますか

【小田】思い出すのは大変だったことより楽しかったことですね。今回、室内オーケストラのような少し大きめの編成で録音することも考えたのですが、ドラマをイメージしながら石若くんと作曲を進めていくうちに、ぜひこの人に演奏してもらいたい!と顔の浮かぶ数人でじっくり作り上げようという方向になっていって。その人の生活が表れているというか、音色が豊かだなあと思える素晴らしい方々に演奏をお願いできて、音をひとつひとつ重ねるごとに絵が出来上がっていくような喜びがありました。

【石若】楽器の特性の質感と、ミュージシャンの人柄の質感がたっぷりな方々に参加して頂けて、レコーディング中に益々その方々のことが好きになってしまいました。大変だなと思ったのは、小田さんと僕とお互い、たくさんのデモを投げ合ったのですが、どれもハートに突き刺さるものが多くその中から慎重に選ぶのが大変といえばそうだったかもしれません。

【小田】ボツになった曲がたくさんあるよね。オファーいただいた時点では、どのくらいの共作具合になるか想像がついてなかったのですが、実際制作していくうちに、思っていたよりもどの曲もお互いのアイディアが詰め込まれた曲になって、結果、ほぼ全曲共作という感じになりましたね。

【石若】そうですね。あとは、台本が送られてきて初めて読んだ時もそうですが、レコーディングに近づくに連れ、映像が完成に近い形で上がってきて、何度も観て何度も涙腺が緩んでしまったことです。俳優の皆様も映像の皆様も、関わられた全ての皆様に対して心から尊敬します。

―今回、音楽に込めた思いはありますか

【小田】思いを超えたものとして音楽を捉えていますが、今回映像を見たとき光の柔らかさがとても印象的だったので、音楽は人々を取り囲む光のように、また、その光を伝える空気のようでありたいなと考えていました。

【石若】日常の風景や現実的な事柄の中にくっついているような音を表現することが小田さんと共作する上でも大切にしていたので、映像から受けた触感をそのまま込められるよう練ったと思います。

―最後に、このドラマをどのように見てほしいと思いますか

【小田】皆さん感じることはそれぞれだと思うので特にどのように見てほしいということはないのですが、私はこのドラマを観て、このドラマは、家族の死と向き合うというメインテーマはもちろんのこと、主人公の結が自分の生を発見する物語だと思いました。

【石若】たしかにどのように見てほしいということはないですが、僕は最初に観終わって感じた気持ちを忘れないようにしなきゃいけないなと、思いました。

【小田】そういえば台本をいただいてふたりで初めて打ち合わせしたとき、最初、お互い静かに受け止めすぎて言葉があまり出てこなかったよね。

【石若】そうだねー。カフェに行ったね。それからNHKのみなさんと打ち合わせした後も、二人でお世話になっている地下のギャラリーで作戦を練ったり、お正月にもデモを送りあったり、それからスタジオに入って作曲しようってなって、PCやピアノを使って、直感を大切に取り組んでいったよね。

【小田】あ、思い出した、どのように見てほしいか。とても具体的なことですが、もしよかったら、いつもより少しだけ静かな環境でじっくり観ていただけたら、音楽チームとしては幸せです(笑)。

【石若】みんな素晴らしい演奏をしていますので!!

【小田】素晴らしい俳優陣皆さんひとりひとりの表情、声、仕草、そして移り変わる景色をゆっくり味わっていただけたら嬉しいですし、私たちも放送をとても楽しみにしています。

音楽収録は以下のメンバーで行いました。

【Vo.】中村佳穂   【Gt.】井上銘      【Cl./ Sax】竹内直 松丸契 

【Vc./Ba.】須川崇志 【Dr./ vib./mar.】石若駿 【Pf.】小田朋美