シーズン2 第4回「少し長い予告編」

プロデューサー 丸山俊一
2023年2月22日 午後5:20 公開

第4回 「地獄への道は善意で舗装されている」? 90年代

「地獄への道は善意で舗装されている。」
ヨーロッパで古くから語り継がれる言葉です。
歴史は、まさに、あざなえる縄の如し。振り返れば、常に光と影は反転するかのような事態を生みます。
60年代から90年代という大きく社会構造が変わる時代を、少し異なる角度から、聖俗硬軟、様々な事象を繋げて映像を通して感じ取ろうとするこの企画、シーズン2ヨーロッパ編、ひとまずの最終回です。

ようやく手にした宝物。
眩い光の向こうに待ち受けているはずだった、90年代の世界。だが…。
「トレインスポッティング」のあるシーンから始まる90年代編。
冷戦も終結。無敵の世界の覇者になったかに見えたアメリカ。そして、東西の統合を果たしたヨーロッパにも、祭のような、解放の空気が漂っていた。
80年代の豊かな消費社会を経験し、さてこれから向かう先は? 自由の喜びとともに新たな時代への期待が広がっていく。  

自由 希望 そして…? 光と影が反転する

「1990年代は突然、今までなかった意味で、希望に満ちているように見えました。初めて、将来のことを心配しなくなったことを覚えています。それまでは核戦争の脅威が常に背景にありましたから。」
「そして、ある程度までは、もう世界情勢を心配する必要はない、と人々に言われるようになりました。基本的に自由民主主義と資本主義の繁栄という英米の考え方が勝利を収め、今後世界を支配していくだろう、歴史の終わりだ、と。」

識者たちの証言からもうかがえる、明るい希望の中で幕を開けたはずの90年代、ヨーロッパ。
だが眩い光は、同時に濃い影も落としていた。
手にしたはずの自由は、別の不自由を生み、理想が悲劇を生む。
その行き着く先は? 本当の光はどこに?
「歴史の終わり」が叫ばれた。そんな20世紀最後の10年の欧州各国の空気のリアルは?
「トレインスポッティング」「ニキータ」「ツインピークス」「憎しみ」「ピアノ・レッスン」「マルコヴィッチの穴」「ノッティングヒルの恋人」…、世界はいかに変容するのか?超大国の論理に翻弄され逆説の中にあった欧州各国の大衆の欲望の系譜を描きます。
今を知るためにこそ、過去へ飛べ!

繰り返す歴史悲喜劇の中で 次週シーズン3日本編へ!

「歴史は繰り返す。一度目は悲劇として、二度目は喜劇として。」
今度はカール・マルクスの言葉です。
さて、仮にそうだとしたら、60~90年代の流れの中で、何が悲劇で喜劇なのか?あるいは、2020年代の今、何が悲劇で何が喜劇と見えてくるのか?
アメリカ、ヨーロッパ、ご一緒に大きなスパンでご一緒に考えていただけましたら幸いです。
そして、翌週からは、日本編60年代と続きます。
引き続き、想像力の旅へ、ぜひ。

 


 

シーズン2 逆説の60-90s 第4回
2/25(土)午後11:30~翌1:00 BSプレミアム

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