『ノーカントリー』(No Country for Old Men)

ライター 高田秀樹
2022年5月27日 午後2:00 公開

2007年

監督:コーエン兄弟(ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン)
出演:トミー・リー・ジョーンズ、ハビエル・バルデム、ジョシュ・ブローリン

80年代初頭のテキサス州、ベトナム帰還兵のモス(ブローリン)は麻薬取引に絡む銃撃戦の現場に居合わせ、そこで大金を発見、持ち去ってしまう。ギャングたちはモスを捕まえるため、アントン・シガー(バルデム)を雇う。彼は冷酷な殺人鬼であるが、コイントスによって生殺与奪を決めるような人物だ。
事件を捜査する保安官のトム(ジョーンズ)もまたモスの行方を探すが見つからない。さらに、ギャングは勝手な行動を取るシガーを始末するために、新たな殺し屋ウェルズを雇うが、シガーに返り討ちに合う。トムの必死の捜査も間に合わず、モスは結局死体で発見される。
コーエン兄弟によるクライム・サスペンス。自分で決めたルールに従って人を殺し続けるシガーを演じるバルデムの姿が印象に残る。原題を訳せば「老いた者たちのための国はない」となる。保安官トムが言うように、もはやこの国の暴力は誰にも止められず、理解できないものとなりつつあった。