『アメリカン・グラフィティ』(American Graffiti)

ライター 高田秀樹
2022年4月22日 午後0:00 公開

1973年

監督:ジョージ・ルーカス
出演:リチャード・ドレイファス、ロン・ハワード

1962年のカリフォルニア州の小さな町で起こる一晩の出来事を描いた青春群像劇。
高校を卒業したカート(ドレイファス)やスティーブ(ハワード)は、翌朝には東部の大学に向けて旅立つことが決まっているが、カートは行くか町に留まるかで悩んでいる。さえないテリーはスティーブの車を借りて美女とのデートを楽しみ、町で一番の車乗りであるジョンは強敵ボブ・ファルファとのレースに挑む。それぞれの一夜が明けた後、彼らは「大人」への道を歩み出す。
ジョージ・ルーカスは自らの経験を元に、60年代アメリカの典型的な青春を描き出した。小さな町で人とのつながりの中で一生を終えることのできた時代は70年代には失われ、作家カート・アンダーセンが指摘するように、わずか10年前の出来事がグッド・オールド・デイズ(古き良き時代)として輝いて見えるのだ。エンド・ロールに彼らのその後――つまり、その時代の大人たちの現実でもある――が、一言添えられるのも印象的だ。