『中国女』(La Chinoise)

ライター 高田秀樹
2022年6月24日 午後1:10 公開

1967年

監督:ジャン=リュック・ゴダール
出演:アンヌ・ヴィアゼムスキー、ジュリエット・ベルト、ジャン=ピエール・レオ

1967年、中国では文化大革命が始まっており、その「毛沢東主義」は遠くフランスへも伝わる。夏のバカンスの間、女子大生のヴェロニカ(ヴィアゼムスキー)や画家のキリロフ、経済学を学ぶアンリ、娼婦をしていたイヴォンヌ(ベルト)たち若者たちは共同生活を送っている。彼らは『毛沢東語録』を読みながら、たがいに議論を戦わせ、フランスにおける革命を夢見る。
若者たちの議論は先鋭化していき、ついに彼らは、ショロコフという反動的な人物の暗殺をくわだてる。異を唱えたアンリは修正主義として追放され、実行役として立候補したキリロフは悩み、自殺してしまう。
ヴェロニカは電車で同席した哲学教授にテロの計画を打ち明けるが、彼はその見通しの甘さを的確に指摘する。ヴェロニカは暗殺を決行、だが部屋番号を間違えて別の人物を殺害してしまうのだった。
表層的な議論で先鋭化する若者たちの会話は、後の新左翼運動を予言するかのようである。実際、公開後の68年に5月革命が起こった。