<2022年5月18日に放送した内容より>(動画は記事の末尾)
かつては当たり前にあったのに、ライフスタイルの変化で消えてしまった生活の道具。
わらを編む作業もその1つです。
遠野市ではそんな作業を若い世代に伝える活動が始まっています。
わらを編む
わらを編み込んで作っているのは…
「2センチで作るのがコツなんだよね。」
今では見かけることも少なくなった草履やわらぐつです。
佐々木俊一(ささき・しゅんいち)さん。
こうした草履やわらぐつなどは、かつて、自分たちで作るものでした。
佐々木さん:「学校行くにも草履履く、冬に雪が降ったときには、わらの長靴を作って履く。とにかく16歳で見よう見まねで、兄弟7人もいたのでみんなに作って履かせた。」
佐々木さんと多田さん
その佐々木さんの工房に、最近、若い人が学びに訪れています。
佐々木さん:「こっち引っ張って密着させる。」
遠野市の多田陽香(ただ・はるか)さん。去年から佐々木さんに学んでいます。
多田さん:「初めて草履教わったのは俊一さんですけど、こんなに全部教えてくれるんだってびっくりしました。純粋に丁寧に作られてて、すごく美しいなって思ったのが始まり。」
わらぐつ
日常ではもう履かなくなったわらの靴。
作っても今は、飾り物や演劇などでしか使われません。
こうした中、佐々木さんは、多田さんとともに一般の人に作り方を手ほどきする講座を始めました。
佐々木さん:「何千年の歴史のあるわらの履物が途絶えてしまうと思って、それで広めようと思って。先祖の文化遺産だものね、だからなくされねと思って。」
多田さん:「今、本当に途絶えそうになっていることが、すごくもったいないなと思ってますし、今あるもので自分たちで作れる技術を私の子どもとか孫の時代に必要になったときに伝えておくことはすごく大事なのかなと思って。技術継承をしたいなと思ってます。」
佐々木さんは作り手を育てるとともに、わらぐつのよさを知ってもらおうと地元の観光施設にくつを寄付するなどしています。
佐々木さん:「これを履く機会を増やしたいんだよね。みんな履きやすくていいって喜んだもんね。いっぱい作って、もっと増やして、そして雪合戦大会でもやるように。」
暮らしの中で生まれ、伝えられてきた道具。まだ、息づいています。