北上市に集う若い世代 定住促進へのヒントは

NHK
2022年7月22日 午後5:04 公開

どこもかしこも人口減少の中、20代が増えているまちが、岩手県にあるのをご存じですか。それが、北上市と矢巾町です。背景には工場や大学病院の立地がありますが、その若者たちに、いかにして定住してもらうのか。ヒントを探りました。

2022年7月22日「おばんですいわて」で放送 
放送時の情報を基に構成

若者の増加 背景に年内有数の工業団地

およそ9万2千人が暮らす、県中央部の北上市。人口増加の大きな要因となっているのが県内有数の工業団地です。交通の利便性や豊富な水資源を求めて、2011年以降では19の工場が増えました。

北上市 キオクシア

なかでも大規模な雇用を生み出しているのが、大手半導体メーカーのキオクシア岩手です。世界的な半導体需要の高まりを受けて増産がつづき、今は2棟目を建設中です。

2017年12月の操業開始以来、およそ5年間で20代や30代の若い世代をおよそ750人、新規に採用してきました。話を聞いてみると…

北上市 キオクシア

神奈川出身の女性
「神奈川は人がわんさかいる状況だったんですけど、北上も人がいないわけでもなくて、 それなりににぎやかだと感じます」

秋田出身の男性
「田舎すぎず、都会すぎず、ちょうどいいところかなと思います」

東京出身の男性
「会社があったから来ましたが、意外と暮らしやすく、スーパーも近いし、実家に帰るのも新幹線通ってるので便利です」

山形出身の男性
「買い物に行こうとなったときに北上市内で大きいショッピングモールがない」

北海道出身の男性
「北上市内ではやっぱり車がないと厳しい」

福岡出身の男性
「僕が電車に乗っている時間帯に皆さんも乗るのですが、2両しかないのでかなり混んでいて、電車数を増やせないにしても車両数を増やしてほしい」

キオクシアが新規採用した若い世代のうち、5分の1は県外出身者です。移住してきた若者からは、生活環境はいいものの、ショッピングや交通環境の改善を望む声が多く聞かれました。

子育て支援で定住促進を

若い世代の増加を受け、市は定住促進に向けた取り組みに力を入れています。その拠点となるのが中心市街地に昨年4月に開設した複合施設「hokko」です。子どもの遊べるスペースや行政の窓口があり、多くの親子連れで賑わっていました。母親たちに話を聞きました。

遠野市出身
「小児科がいっぱいあって日曜日もやっている小児科もあるので、何かあったときにとてもお世話になってます」

北上市出身
「小さい子どもを連れて外食できる場所が少ないと感じます」

矢巾町出身
「ファミリー向けの賃貸物件が少ないなと思いました」

遠野市出身
「二人目がうまれたので引っ越したかったのですが、全然空きがなくて、いまの狭いままでずっと住み続けています」

企業の増加を受け、北上市では単身者向けアパートの建築補助を行ってきましたが、定住が期待できる家族向けの物件をどう増やすのかが、今後の課題になっているといいます。

若者の声をまちづくりに

こうした「若者の声」にまちの発展につながるヒントが隠されているとして、北上市は「若者の声」をいかしたまちづくりを模索しています。その舞台となっているのが、今後のまちづくりの方向性を提言する「きたかみ未来創造会議」です。メンバーは公募で選ばれますが、昨年から半数以上を20代以下の若者が占めるようになりました。

市の担当者
「これからの北上市に必要なことを 話し合っていただきたい」

参加した若者
「人材を集めたり、働きやすい環境を作ることが大切」
「お父さんの時間を考えて、土日に子育てのしかたとか学べる場があるといい」

北上市の担当者は、若者の意見を積極的に取り入れる背景には、人口の増加をベースにした市のまちづくり戦略があるのだと明かします。

北上市 政策企画課 古川雄大主任
「2030年時点でも人口は今時点よりも少し増えるという予想を立てています。若い方の意見をいただいて翌年度の予算編成につなげていきたい。子育て支援充実・交通網の整備・福祉医療分野の充実、各方面の施策を取り組んでいくことで、より若い人たちが移住しやすい環境を整備していきたい。若い人たちにどんどん入り込んでもらい、そのサイクルで北上市の魅力をもっと高めていきたい」

北上市に移住した若者からは「お祭りなど地域とつながるきっかけがほしい」といった声も多く聞かれました。こうした若者たちにどのように情報を届けるのかも、まちづくりを行う上で重要になポイントになると言えそうです。

取材・NHK盛岡放送局 開発展開グループ 佐藤孝之

NHK盛岡放送局 佐藤孝之