#27 レジェンドの背中を追い続けた少年は 川除大輝

NHK
2022年2月28日 午後3:34 公開

 北京パラリンピック代表の新田佳浩選手、川除大輝選手。「雪原のマラソン」と呼ばれ、最長20キロでタイムを競うパラクロスカントリーに出場します。新田選手はパラリンピックで3つの金メダルを獲得しているレジェンド。川除選手は小学生の頃、新田選手に憧れて、この競技を始めました。

 番組のロケを始めたのは昨シーズン。取材中、私たちもクロスカントリーを体験する機会がありました。ゲレンデを滑り降りる一般的なスキーは経験があったのものの、クロカンの“走るスキー”は初めて。それでも何とかなるのではと思ったのですが、予想は的外れでした。ぜんぜん前へ進まないのです。

 新田選手のようにストック1本にしてみたり、川除選手のようにストックなしでトライしてもみましたが、1メートルさえ進むことができませんでした。今回の撮影は、大学までクロスカントリーに打ち込んでいたカメラマンが練習中の併走を担当しています。右腕でカメラ、左腕でストックを持って撮影をしたのですが、競技経験あるカメラマンでさえ、ストック1本では、新田選手と川除選手に最後までついていくことはできませんでした。2人の凄さを改めて感じました

大きな背中 小さな背中 頼もしい背中

 新田選手と比べると小柄な川除選手。2人の身長差は約15センチ。幼い頃の川除選手にとって、新田選手の背中は「ただただ大きい」という印象だったようです。その背中を追いかけ、パラの世界へ入り、日本代表入りするまで実力をつけました。でも元々は、引っ込み思案で口下手な性格。取材中にも言葉が出てこなくなってしまう場面が少なくありませんでした。それが変わってきたのは去年の秋頃から。囲み取材で大勢の記者に囲まれても、堂々と受け答えするように。新田選手からもらった自信と、代表チームを自分が引っ張るんだという自覚が、川除選手を成長させたように思えました。

北京パラリンピック 世界の強豪との対決が待つ

 北京で2人がメインターゲットにしている「男子20キロ クラシカル」は3月7日に行われます。メダルをとるためには、世界ランキング上位の強豪選手に勝たなくてはなりません。私も現地で2人の走りを見守ります。後悔のない、納得のいくレースをしてもらいたいと思います。

 言葉でチームを鼓舞する新田選手とは違い、黙々と練習する背中を見せていきたいと話していた川除選手。新田選手を川除選手が追いかけ始めたように、これから川除選手の背中を追いかける新しい世代が出てくることを楽しみにしています。

                          ディレクター・齋藤章