#36 世界の“快足ドリブラー” 伊東純也が垣間見せた素顔

NHK
2022年11月4日 午後6:25 公開

 ワールドカップ・アジア最終予選で、日本の12得点中7得点に絡む活躍を見せた伊東純也選手。窮地にあった日本代表の救世主です。9月、NHKにフランスでの密着取材が許されました。今回の取材で初めて伊東選手に出会った私は、その意外な素顔に驚かされることになりました。

 フランスのスタッド・ランスに移籍すると、すぐにチームにフィットし、攻撃の軸を担うようになった伊東選手。相手を置き去りにするドリブル突破から、豪快なイメージを持っていました。しかし、私が目の当たりにしたのは、けがのリスクと向き合い、日々入念なケアに励む繊細な姿でした。

 プロ3年目の柏レイソル時代から体を見てもらっているというトレーナーの方をフランスに招き、ほぼ毎日、マッサージを受けていました。29歳という年齢はサッカー選手としては決して若くはありません。日本代表の活動とフランスでの試合が絶え間なく続く中、体への負担をできるだけ軽くしようとしていたのです。

 それでも伊東選手は、プレー面でも体力面でも、「いまが一番充実している」と言います。取材中には「男は30歳から」という言葉も飛び出し、底知れない伸びしろを感じさせられました。

戦いの疲れを癒やすのも、また戦い?

 激戦の日々に身を置く伊東選手ですが、自宅でゲームをするのが一番の息抜き。どこかに遊びに行くことはめったにないといいます。お気に入りは対戦形式のアクションゲームで、その腕前はかなりのものです。オンラインで遠く離れた日本の友人などと一緒にプレーしていると言います。専属トレーナーの小林直行さんもゲーム仲間ですが、小林さんが数日、練習をさぼると伊東選手に怒られるとのこと。ピッチの外でも、根っからのファイターでした。

 サッカーではスピードが売りの伊東選手ですが、意外にもスピードよりもパワーを持ったキャラクターが好み。「パワー系のやつって、けっこう難しいんですよ。でも、一発が好き」(伊東選手)。どんなときでも一発逆転を狙う、それも、“らしさ”なのかもしれません。

いざW杯 強豪との戦いに向けた決意

 日本代表は来るワールドカップで、ドイツ、コスタリカ、スペインと1次リーグを戦います。ドイツ、スペインは優勝経験のある強豪ですし、コスタリカも2014年のブラジル大会でベスト8に進出した侮れない相手です。しかし、そんなチームとの対戦を前にしても、伊東選手は尻込みする様子はありません。むしろ、勝てると心の底から信じています。そんな熱い思いを番組の最後のシーンで聞かせてくれました。ぜひ、ご覧いただき、ワールドカップへの期待を高めていただけると嬉しいです。

                            ディレクター 梅里亮介