#29 ハマの番長☆三浦大輔 キャンプ初日に語った夢

NHK
2022年4月8日 午後8:43 公開

 「この世に、番長って、本当にいるの?」 平成生まれの私は、「番長」と呼ばれる人物を実際に見たことがありませんでした。しかし、6年前、現役を引退したばかりの三浦大輔さんと初めて会ったとき、「番長は本当にいるのだ」と知ったのです。黒光りしたリーゼントヘア、そして、圧倒的な存在感。まさに「ハマの番長」でした。

 昨シーズン、〝三浦さん〟は〝三浦監督〟になり、番組取材がスタートしました。生え抜きスターの監督就任にファンは大きな期待を寄せました。ところが、1年目はセ・リーグ最下位。厳しい戦いが続くなかで、三浦監督は眠りも浅く、夜中に目が覚めることもあったと言います。しかし、試合後はどんな結果であっても、マスコミの取材を拒むことはありませんでした。負けたからといって、決して背中を見せはしない。この男気こそが「番長」と呼ばれる所以なのだと、改めて気づかされました。

“番長”のイメージとは裏腹? きめ細やかな心配り

 ある日、インタビューをしていた最中のことです。三浦監督が話を中断しました。何事かと思ったら、「お腹が鳴っている。音声さん、音は入ってないですか?」。きめ細やかな心配りと優しさに驚きました。

 取材を進めると、いろいろな番長の顔が見えてきました。トマトが食べられないこと。高い所が怖いこと。お酒を飲まないこと…。沖縄でのキャンプ初日、早朝の散歩に同行すると、気さくに話しかけてくれました。「胴上げされている夢をみたんだよ。胴上げされる夢なんて、見たことがなかったから」。決して飾らず、誰に対しても分け隔てなく接する。実は阪神ファンだった私も、気がつけば三浦監督のとりこになっていました。

24年ぶりの栄光へ 夢は正夢になるのか

 番組を締めくくる取材。「最後のインタビューとなりました」、そう告げると三浦監督は「寂しいこと言うなよ!」と、朗らかな笑顔を見せてくれました。その一言に、少し心が通じ合えた気がして、1年以上、取材を続けさせてもらって本当によかったと思いました。そんな三浦監督の姿も、番組で感じていただけたらと願っています。

 三浦監督がキャンプインの前にみたという「胴上げされる夢」。たくさんベイスターズファンが24年もの間、待っている光景です。きっとハマの番長なら「正夢」にしてくれるのではないでしょうか。三浦監督へのリスペクトとともに、こう締めさせていただきます。 ヨ・ロ・シ・ク!!

感染された選手、スタッフの皆様の一日も早い快復をお祈りいたします。

                           ディレクター・樋口太郎