【#9】
3月8日(火)夜9時。監禁中の水口先生(滝沢カレン)が始末されるタイムリミットまで41時間。真相を探る欅台高校3年の黒川(井上祐貴)たちが飲食店「よるイチ」を出ると、作業着姿の赤い髪の男・寺木(高橋侃)が階段を下りてきます。寺木は不敵な笑みを浮かべ、親しそうに黒川に話しかけますが、黒川は動揺を隠せません。最後に「お前だけ逃げられると思うなよ」と黒川に言い残して去っていく寺木。いあわせた荻生田(西山潤)の勘は的中し、寺木が黒川のかつての不良仲間であるとわかります。衝撃を受ける荻生田、高畑(桜田ひより)、小松(紺野彩夏)。そそくさと帰っていく黒川。黒川が柄の悪い連中とすれ違う中、3年1組の告白カードの内容が明かされます。
「高校で一番悔しかったこと。高校に入ってすぐ、俺は学校へ行かなくなり、地元でも有名な不良グループに出入りし始めた。このまま俺は、荒れた高校三年間を過ごすのだとばかり思っていた。新しい担任教師が、街でたむろしている俺のところにしょっちゅう通ってくるようになった。俺みたいな人間のために、ここまでしてくれる先生がいることに驚いた。」
黒川が自宅アパート前に着くと、最も信頼を寄せる伊藤先生(中尾明慶)が待っていました。黒川と一緒に部屋へ入る伊藤先生。黒川が寺木と会ったと聞いて、心配していたのです。寺木が出所していたことを初めて知ったという黒川。すさんでいた頃を知る伊藤に黒川は、母親の入院する病院で知ったことを打ち明けます。母親は黒川と同じB型だと言っていましたが、本当はO型だったと。そして、亡くなった父親はA型。A型とO型の両親の間に、B型の子は生まれない。酔った父親が赤ん坊の自分を抱えて車の前に飛び込んだのは、自分は母親が不倫してできた子で、絶望した父親が無理心中しようとしたのではないか・・・。思いつめる黒川を伊藤先生は、自分には何もできないかもしれないが、話を聞くことはできると励まします。
自宅にいる高畑は、奨学金の申請資料を見つめると、丸めてゴミ箱へ。そこへ黒川から「悪い。心配かけた」とスマホにメッセージが届きます。スマホのグループビデオ通話で作戦会議をする黒川たち4人。水口先生のストーカーが教師なら、やはり手掛かりは学校にある。ストーカーが犯人と決まったわけではありませんが、監禁につながる可能性が高いと話します。
次の日、3月9日(水)朝7時。タイムリミットまで31時間。手掛かりを見つけようと欅台高校の職員室に潜入する黒川たち。しかし、柿本校長(峯村リエ)に見つかってしまいます。水口先生に会いに来たという黒川。水口先生は休みと答える柿本校長。さらに、首にロープを巻いた水口先生のイタズラ画像について尋ねると、こちらも知らないとのこと。
黒川たちは生徒指導室に戻ります。伊藤先生が、水口先生の監禁画像を校長と警察に見せると言っていたにも関わらず、校長に見せていないことを不審がる黒川たち。伊藤先生への電話も通じません。そんな中、4人のスマホに次の監禁動画は10時配信予定との通知が。黒川は、さきほど潜入した職員室の伊藤先生の机にあった青いキーホルダーが、水口先生の水色の車の鍵についていたものと同じだと思い出します。水口先生の車は犯人が乗っていったことから、伊藤先生への疑惑が更に高まっていきます。
監禁場所で頭を垂らす水口先生。水口先生の頭を持ち上げる目出し帽をかぶった犯人。またまた雪の降る中、警官の市原(森田甘路)と梶浦(足立梨花)が、またまた監禁の通報を受けた警察官に出くわします。建物の中から、女性の悲鳴が聞こえ、赤い髪の男がウロウロしていたと聞いたとのこと。市原と梶浦がシャッターに耳を近づけると、うめき声が聞こえてきます。
職員室を再度訪ねる小松。先生に大学合格の報告をしますが、本当の目的は、同時に伊藤先生の机の上の様子をスマホで隠し撮りすることでした。無事、撮影を終えて職員室を出ると、音楽の宇部先生(木村達成)に遭遇する小松。3年7組の告白カードの続きが明かされます。
「秘密の恋愛をしていたのはクリスマスまでの4カ月間でした。先生はおしゃれなデートスポットに遊びに行くのが好きで、いろいろな場所に連れて行ってくれました。先生は私にとって初めての恋人で、私は先生のことが大好きでたまらなかった。だけど、先生は私のことを裏切りました。」
小松の横を素通りして職員室に入って行く宇部先生。小松は一人残されるのでした。
【#10】
監禁の通報があった建物のシャッターを持ち上げる警官の市原と梶浦。中には、バーベルを持ち上げられなくなり、動けなくなった赤い髪の男がいました。寺木ではなく、昨日、便器にハマっていた男とそっくりの男(クロちゃん)。本人曰く、三つ子の弟とのこと。いい加減にしていただけませんでしょうか。
3月9日(水)朝8時半。タイムリミットまで29時間30分。生徒指導室の黒川たちは、小松が職員室で撮影してきた動画を一緒に確認します。やはり、伊藤先生の机の上にあった青いキーホルダーは、水口先生の車の中に合ったものと完全一致。それは駅前のジムの鍵だという小松。伊藤先生と水口先生が同じジムに通っている?荻生田は、監禁中の水口先生の首にかけられているのは、トレーニングチューブで、監禁場所がジムなのではないかと推測します。
駅前のスポーツクラブに入る黒川たち。インストラクター(コージ・トクダ)指導のもと、なぜかチューブトレーニングの体験レッスンに参加し、疲れ果てる4人。黒川がジムの掲示物に目を向けると、伊藤先生と水口先生の名前が記されているのを見つけます。さらに「増田明美と走るモーニングラン」のポスターの集合写真の中に、伊藤先生と水口先生の姿が写っていました。増田明美は“細かすぎる解説”で有名な元マラソン選手だと興奮気味に語るファンの小松。そして、ルームランナーで走る増田明美ご本人とまさかの遭遇、小松は握手を求めます。水口先生と伊藤先生について尋ねると、増田明美はさっそく“細かすぎる解説”を開始。「欅台高校の伊藤倫太郎さんと水口里紗子さんのことね。2人はね、1年ほど前からここに通っていて、最初は1キロ走るのも背一杯でね、でも今じゃね、フルマラソンにも参加してるんですよ。伊藤さんは腕振りが力強いの。ゴールまで粘り強く走ってね。食べ物も納豆が大好きで、特にひきわりね。カレーの中に必ずいれるんですって。粘り強さが走りにもあらわれてるわ。水口さんと言えばラッキーカラーの水色。走る時もすべて水色で揃えてね、水色グッズが50種類以上あるんですって。その姿はまさに走るライトブルー。学生時代はミズグッチーなんて言われてね、なんか愛らしい彼女にぴったりですね!そういえば、伊藤さんと水口さん、先日10キロのマラソン大会に出場して、ワンツーフィニッシュしたの。ところがその後、喧嘩しちゃったらしくて、大騒ぎになったのよ。喧嘩の理由を二人に聞いてみたんだけど、些細なことだからて言って、まぁ私もそれ以上は突っ込めなかった——」
困惑していた黒川たちの元に、10時の監禁動画が配信され、さらに次の12時配信の予告が届きます。焦る黒川たちは、伊藤先生本人から直接話を聞こうと欅台高校に戻り、手分けして伊藤先生を探すことに。黒川は、職員室で行動管理表を確認しようとするも、柿本校長に阻まれて、伊藤先生の所在も分からずじまい。高畑が音楽室を覗くと、相変わらず宇部先生がガラスの靴片手に熱唱中でした。さらに、校内を歩く小松は、伊藤先生が水口先生にいじめを受けていたという教師たちの会話を立ち聞き。一方、体育館に入った荻生田は、体育の野上先生(池内万作)と遭遇し、3年5組の告白カードの続きが明かされます。
「地区大会を勝ち抜き、都大会でも相変わらず僕は試合にスタメン出場し続けていた。先輩達の実力も追いついて来てはいたが、僕と肩を比べるほどの人材はまだ育っていなかった。顧問は僕を重宝していたし、僕もその期待に応えるべく努力を欠かさなかった。ただ、顧問は僕を見捨てた。副顧問もだ。」
荻生田は、野上先生に伊藤先生の行方を聞きますが、野上先生はそっけなく「見ていないけど」と答え、荻生田の横を去っていくのでした。校舎内のエントランスにいる高畑。スマホに着信があり、「そんなことでかけてこないでよ」と怒鳴ります。学校付近を探す黒川ですが、相変わらず伊藤先生と電話は繋がりません。そして、校舎の上の方から見下ろす小菅理事長の姿も。日時は3月9日(水)11時半。タイムリミットまで26時間30分を迎えました。
【#11】
欅台高校のエントランス。教員紹介の中に掲示されている水口先生の写真を見つめ、写真の前で手を握りしめる高畑。3年2組の告白カードの続きが明かされます。
「先生は理想的な教師のように見えました。でも、それは私の思い込みでした。実は私が中学3年の頃に父がリストラに遭い、その後転職活動中にうつ病を患い働けなくなりました。ごみ箱に捨てられた、大学資料や奨学金のパンフレットや学業のお守りなど。失業手当も尽き、貯金もほぼ食いつぶし、私は母に欅台高校に最後まで通うための学費は何とかするが、大学の費用は出せないと言われました。私が大学に行くには、奨学金を手に入れるしかありません。奨学金は最も評定平均が高い人、一人だけ……だから私は、勉強づけの高校生活を送り学年一位を死守しました。けれどその努力はすべて先生の『魔法』で崩れました。先生はわざと私の採点だけ厳しくして、評価を落としたのです。そして、自分が好きな子に奨学金を獲らせました。それが先生の『魔法』です」
欅台高校で伊藤先生を探す黒川。伊藤先生は相変わらず電話に出ません。突然、小菅理事長(北山宏光)が黒川に呼びかけます。黒川の母親(仙道敦子)が元気かどうか尋ね、母と話すことを勧める小菅理事長。理事長は自身の経験を踏まえ、言葉にしにくいのなら紙に書くと心が落ち着くと話します。黒川の母は卵巣がんで、抗がん剤を打って入退院を繰り返していました。さらに、黒川と小菅理事長が面談のときに話した、黒川の父が子を抱えて車に轢かれて亡くなったことに話が及ぶと、黒川は話を打ち切り、水口先生の監禁動画を理事長に見せます。画像をください、警察に話しますと理事長。
生徒指導室に黒川が戻ると、小松が立ち聞きした、水口先生による伊藤先生へのいじめについて話します。伊藤がストーカーをしていたのはいじめの仕返しではないか。教師は表面ではいい顔を見せて、生徒のことを簡単にだますことがあるという小松に賛同する高畑。野上先生のことを考える荻生田。皆がますます伊藤先生への疑いを強める中、「あいつだけは違う!」と伊藤先生を信じたい黒川。12時になり、水口先生の監禁動画が配信されます。焦る黒川は直接、伊藤先生の家に行こうと提案します。
職員室前で出会った久田教頭(枝元萌)に話しかける黒川たち。お世話になった伊藤先生に感謝を伝えるため、サプライズで感謝の手紙を家に送りたいから、住所を教えてほしいと話します。矢継ぎ早に伊藤先生は恩師で、大変お世話になったからと説得する黒川たち。いたく感動した久田教頭は、黒川たちに伊藤先生の住所を教えます。そこはなんと、水口先生と同じマンションで、水口先生の隣の部屋でした。
再び水口先生と伊藤先生のマンションのエントランスに来た黒川たち。インターホンで伊藤先生の部屋を呼び出しても、応答はありません。黒川と高畑、荻生田が部屋へと向かうことに。日時は3月9日(水)13時、タイムリミットまで25時間。黒川たちが一昨日に水口先生の車から拾った鍵で、なんと伊藤先生の家のドアが開きます。伊藤先生の部屋に侵入する黒川、荻生田、高畑。
【#12】
伊藤先生の部屋に忍び込む黒川と高畑、荻生田。中には伊藤先生も水口先生も見当たらず、猫だけがいました。荻生田は、マンションの外で小松と見張りを引き受けますが、そこへ伊藤先生が帰ってきます。伊藤先生を食い止めるため、聞きたいことがあるからと、伊藤先生を外へ連れ出す荻生田と小松。
小松と荻生田が伊藤先生を連れてきたのは飲食店「よるイチ」。メニューを見て強引に「真っ赤っ赤スペシャル」を3つ注文する小松。運ばれてきたのは激辛麻婆豆腐丼でした。あらためてメニューを確認すると「お残しはヘッドバット」との注意書きが。ヘッドバット準備万端のマスター(本間朋晃)。
伊藤先生の部屋の中では、黒川と高畑が手がかりを探します。子どもの頃の宝探しの思い出話から、大学進学についての話をする二人。高畑は黒川に何かを言いかけますが、言えません。別の部屋で一人、伊藤先生の日記を一人見つける高畑。そこには「黒川から電話 寺木逮捕」と書かれたページが。
一方、赤ちゃんをベビーカーに乗せて帰宅する寺木と妻・レナ(尾碕真花)。明日には金が入るから、新しいベビーカーを買ってこの町を出ていこうという寺木。不審がるレナ。
引き続き、「よるイチ」で激辛麻婆豆腐丼と格闘を続ける荻生田と小松、伊藤先生。いち早く激辛麻婆豆腐丼を食べ終わった伊藤先生は、猫にご飯をやるためと会計を済ませてそそくさと帰宅。追いかけようとするも、食べ終わっていないためマスターに引き留められる荻生田と小松。
そんな中、黒川と高畑が捜索を続ける伊藤先生の部屋の中で、猫が急にDVDのケースを落とします。落ちた衝撃でケースの中から出てきたのは大金。黒川はお金をケースの中に急いで戻しますが、そこへ伊藤先生が帰ってきます。ベッドの下に隠れる黒川と高畑。伊藤先生は誰かと電話で話はじめます。「今からそっちへ行く。寺木は?」と言って、ケースの中の100万円を取り出し部屋を出て行きます。
衝撃を受けた黒川と高畑がマンションの外へ出ると、「よるイチ」から戻った荻生田と小松が合流。伊藤先生には金で雇った実行犯がいるのかもしれないと考え、急いで伊藤先生を追いかける黒川たち4人。
伊藤先生が向かう先には若い女性が待っていました。伊藤先生が女性に金を渡そうとすると、それを見かけた寺木が呼び止め、近づいてきます。さらにその場に、伊藤先生を走って追いかけてきた黒川たちも加わり、一触即発の状況となるのでした。