「NHKプラス」で4月17日 午前0時54分まで配信中です。 10分程度の登録作業ですぐに見ることができます。https://plus.nhk.jp/
ストーリーズ
2021年4月7日(水) 午後5時30分から BS1 2021年4月9日(金) 深夜(10日(土) )午前0時55分から 総合
【東北ブロックのみ】2021年4月9日(金)午後8時10分から 総合
ノーナレ
「1/2525 行方不明の同級生と僕たちの10年」
ナレーションのないドキュメンタリー「ノーナレ」。20歳で行方不明になった友人をめぐり、同級生たちが語りあう記憶の数々。東日本大震災から10年後にみえたものは―。 海の生き物にひかれて岩手に進学した彼女は、津波にさらわれ消息を絶った。それから10年、東京の小学校の同級生は、その存在を感じながら人生を歩み、30歳になった。親となり、経営者となり、変わる日常の中で足が遠のく被災地。でも心のどこかにある「最後に送ったメールへの後悔」「あいつのように生きたい自分」「もっと知りたい姿」。東日本大震災の行方不明者・2525人の1人、僕たちの友人の“瀬尾佳苗”について。
番組スタッフから
担当ディレクターより
僕と瀬尾佳苗(以下、瀬尾)は、幼稚園・小学校・中学校と同じ環境で育ちました。今でも強く記憶に残っている思い出が2つあります。 1つ目は、小学校1年生のときです。瀬尾とは同じクラスでした。みんな初めての学校生活に戸惑いがあるなか、元気良く屈託なくみんなに話しかける瀬尾は、クラス1の人気者でした。そんな瀬尾と一緒にいるのが楽しくなり、家の方向が同じだったので一緒に帰るように、…というか僕が瀬尾に付いていくようになりました。ある日の下校時、昇降口で靴を履き替え瀬尾のことを待っていた僕は、瀬尾を見るや否やと「一緒に帰ろうよ!」と声をかけました。すると瀬尾は、「お前しつこい!」と一喝!それまで瀬尾の気持ちも考えずついて回っていた僕は急に恥ずかしくなって、逃げるように帰ったのを覚えています。でも瀬尾は優しいので、その後クラスで瀬尾に近づくのをためらっていた僕を気にしたのか、何にもなかったかのように声をかけて遊んでくれました。 2つ目は、成人式のときのことです。震災の2カ月前です。小学1・2年生のクラスで飲み会をした時、中学卒業以来、瀬尾に会いました。「今岩手にいる」と本人から直接聞いたのはこの時が初めてでした。久しぶりに見る瀬尾は前にも増して豪快になっていました。ビールが苦手な女子が多い中、ジョッキを傾けゴクゴクと飲み干し、ガハっと笑う満面の笑みでみんなを盛り上げていました。どんな話をしたか詳細は覚えてないのですが、一言「お前、変わってねえな―」と言われたのは強く記憶しています。 10年前、震災が起きて、瀬尾が行方不明になって、ご両親・同級生たちが複雑な思いを抱えているのを知りました。震災で犠牲になられた方々一人一人にそれぞれの人生があり、多くの人が関わっている。このことを伝えたいと思ったことがNHKに入局した動機であり、今回の番組の始まりでした。 しかし、いろんな人に大見得切って自分の目標を話したくせに、毎年3月11日が来るたびに何もできていない自分がいました。何かした気になりたくて瀬尾の名前を使って同窓会を開いたり、「いつか番組を作る」とご両親や同級生に言ったりして気を紛らわせているうちに、いつしか負い目のようなものを感じるようになっていました。今回番組の企画を出して実際に撮影に入るまで、そんな独り善がりな考え方をしていたように思います。 そのような状態で撮影に入り、番組に出演してもらった同級生以外にも多くの友達に話を聞いてみて分かったことは、瀬尾がみんなに心から愛されていて、それぞれがたとえ整理できていなくても瀬尾を大事に思う気持ちを10年間強く持ち続けているということでした。 同時に、僕は思ったよりも瀬尾について知らないことが多いと気づきました。今回はセルフドキュメンタリーという分類に入る番組なので、自分自身がディレクターでありながら同級生の一人として撮影され、自分なりの瀬尾との思い出や瀬尾への思いを友達に話しながら皆の話を聞いていくようにしたのですが、瀬尾と仲が良かった同級生の言葉を聞き、表情を見れば見るほど、自分が持っている瀬尾への感情や思い出の少なさに唖然としました。彼ら彼女らの言葉の重みがずしんとのしかかってきたような気がして、果たして僕なんかが瀬尾のことを取り上げていいのかととても悩みました。でも、今回取材を受けてくれた皆さんの「瀬尾のことを伝えられるなら思い切って協力しよう」と思ってくれた気持ちを無下にすることもできないとも思いました。そう考えると、自分勝手に10年間感じていた負い目のようなものにうろたえ続けるよりも、僕も他の同級生のように、当たり前に友達を思う心を持とう=知らない瀬尾をもっと知りたい、そこから始めたい、と思うようになりました。 瀬尾のことを知っていこうとすると、色んな人に出会うことができました。久々に連絡を取った小中の同級生、お世話になった母校の先生方、瀬尾の大学の同級生・先輩、越喜来で暮らす地元の方々…。みなさん口を揃えて「自分たちの知っている瀬尾を伝えてほしい」と生き生きとお話しして下さいました。そのたびに、瀬尾がこうやって新たな出会い・再会のチャンスを作ってくれたんだなと思い、瀬尾に対して「ありがとう」と思うようになりました。この番組を終着点にするのではなく、瀬尾を中心にできている繋がりや関係性をこれからも大切にしていきたい、自分ができることがあれば繋がりを広げていくお手伝いを今後していきたい、そう考えています。 10年前、瀬尾に言われた「お前変わってねえなー」という言葉。 いま会ったらなんて言ってくれるんだろう? 今日もそんなことを考えてしまいます。 (番組ディレクター 土井啓太郎)
見逃し配信
「将棋界のレジェンド」羽生善治九段。タイトル戦の大舞台から遠ざかっていたが、最先端の将棋を研究、「竜王」への挑戦を決めた。迎えた七番勝負はまさかの展開に…。 ここ数年で激変した将棋界の勢力図。進化するAIを使いこなす若手棋士が台頭し、「将棋界のレジェンド」羽生善治九段もその激流に飲み込まれた。3年前に「竜王」を奪われて無冠に。大舞台から遠ざかっている間、家族との時間を大切にするなど、心身ともにリフレッシュ。さらに最先端の将棋に向き合い、「AI世代」の感覚を吸収していった。その成果が表れたのが去年秋。藤井聡太二冠を王将リーグで下し、さらに将棋界最高峰のタイトル「竜王」挑戦も決めた。相手は、かつて棋聖位を奪われた因縁のある豊島将之二冠。迎えた七番勝負はまさかの展開に…。50歳の苦闘を描く。