2020年6月1日放送 https://www.nhk-ondemand.jp/
ストーリーズ
「屋根裏のちばてつや」
ナレーションのないドキュメンタリー「ノーナレ」。薄暗い屋根裏部屋でひとり、ちばてつや(81)は漫画を描く。「あしたのジョー」から半世紀、淡々と精一杯生きる。 命を燃やして作品を生み出し続けた漫画家・ちばてつや。大病を患い、大勢いたアシスタントも全て卒業…。4年前、18年ぶりに始めた長期連載で描くのは、14歳の老犬・ジローとの何気ない「日常」。今の歩幅で仕事を続ける。新型コロナウイルスが猛威をふるう2020年。世界中の「日常」は壊れ、この先は見通せない。それでも彼は、変わらずに屋根裏部屋でペンを持つ。今日やれる、精一杯をやればいい。ただ、穏やかに…。
番組スタッフから
担当ディレクターより
高校生のとき、野球部だった2つ年上の兄が突然ボクシングを始めました。 早朝からロードワークと厳しいトレーニングを行い、好きな甘いものも食べず、 日に日に顔つきが変わっていきました。 その兄の部屋には「あしたのジョー」がありました。 当時のわたしは青春を謳歌するのにとても忙しく、 兄の急変よりも学校に隠れてアルバイトをしたお金でポケベルを買うことに夢中でした。 それでいて、毎日が漠然としていて、つまらないと感じていました。 ある日、なんとなく手に取った「あしたのジョー」に圧倒されました。 自分のすべてをボクシングにつぎ込んで、燃え尽きるまで生きる主人公に、 「どう生きたいのか」と迫られたような思いがしました。 少しだけ兄が何を探しているのかがわかったような気がしました。 そして、わたしも何かに夢中になって生きてみたいと心から思いました。 そのちばてつやさんの18年ぶりの新作漫画が「ひねもすのたり日記」でした。 「あしたのジョー」とは全く毛色が違う、あたたかくて優しい描写で、 ちばさんご自身の日々の暮らしが綴られている作品です。 しかし、この2つの作品には、どこか通底している、 生きるという事へのひたむきなテーマがあるようにも思えます。 今回のドキュメンタリーを企画するにあたって、 およそ50年前に「あしたのジョー」を描いたちばてつやさんが、81歳となったいま、 「ひねもすのたり日記」という作品にどのような思いで臨んでいるのかを、 知りたいと思いました。 そこになにか、いまの時代を生きるうえでの大切なものを 教えてもらえるような気がしたのです。 実際に撮影が始まると、 徐々に新型コロナウイルスの影響が広がっていき、世界が大きく変わっていきました。 多くの人が右往左往する中で、 ちばてつやさんはいつもと変わらず、漫画を描き続けていました。 想定外のことが起きたときに、どう立ち振る舞うべきか。 今回の取材でわたし自身が、 ちばてつやさんから多くのことを学ばせてもらえたように思っています。 (番組ディレクター 寺越陽子)
見逃し配信
コロナ禍だからこそ花束を贈りたい。注文相次ぐ、オーダーメードの花屋さん。将来に不安抱える大学生が母親に…。コロナで離ればなれになった夫へ…。心と心をつなぐ物語 コロナ禍だからこそ花束を贈りたい。東京・南青山にあるフルオーダーメードの花屋。大切な人への思いを形にした「世界に一つだけ」の花束に注文が相次いでいる。将来の不安を抱える大学生が、母に感謝を込め作った髪飾り。家族だけの「成人の日」に交わした言葉とは…?コロナに翻弄され、夫の介護に疲れた自分を励ますために注文したボトルフラワー。それが40年の夫婦の軌跡を見つめるきっかけに…。心と心をつなぐ花束の物語。