2019年4月15日初回放送 https://www.nhk-ondemand.jp/
ストーリーズ
ノーナレ
「富士山と牛と僕」
ナレーションのないドキュメンタリー「ノーナレ」。静岡・朝霧高原。雄大な富士山のふもとで100頭の乳牛と暮らす15歳の少年と酪農一家の愛の感動物語【4K撮影】 一家の15歳の長男は「三年寝太郎」と呼ばれ家族に愛されるのんびり屋だが、牛の扱いは上手く口笛ひとつで牛を追う。そんな彼が、北海道の高校への進学を決めた。故郷を離れるまでの2か月間…。子牛の誕生、心に刺さる姉の助言、父母が教える酪農の奥深さ。15歳の心の揺れと成長を4Kカメラで丁寧に記録した、家族の感動の物語を再び!第73回・日本映画テレビ技術協会映像技術賞受賞作品。初回放送2019年4月15日。
番組スタッフから
担当ディレクター/カメラマンより
この「富士山と牛と僕」は自身が撮影とディレクターを兼務した番組です。2018年の12月から2019年の4月にかけて取材をしました。提案したきっかけは主人公の佳大朗くんと中島家との出会いからでした。 富士山のふもとの緑の草原に広がる白と黒の牛たち。私の大好きな、静岡・朝霧高原の景色。取材初日そんな景色を作っていた酪農一家を訪ねました。何を話せば良いのかと緊張している私に出された真っ白な牛乳。その美味しさはもちろんですが、その一杯の牛乳から家族の温かさを感じ、心が震えたのを今でも思い出します。 牧場の長男は当時15歳。中学3年生。春に北海道の酪農を学ぶ高校に旅立つことになっていました。将来牧場を継ぐのかと尋ねると「(牧場を)継ぐか継がないかははっきりと言わないようにしている」そんな彼の言葉に自分自身が中学3年生だったころの甘酸っぱい気持ちを思い出しました。思春期の迷いが少し美しく見え、映像で表現したいと心から思ったのはその時です。 彼の言葉で印象的なものがあります。「みんな普通なことってあると思う。電車に乗るとか、親とか特に何も感じないもの。いつも何気なくいる感じのもの。それが僕は富士山の存在とか酪農とかなのかな」彼が言う“普通”なことが“大切”なものだといつ気づくことができるのか。それが番組のテーマとなりました。 そんな愛情を込めて制作した番組が、第73回 日本映画テレビ技術協会 MPTEアワード2020でドキュメンタリー部門の「映像技術賞」を受賞しました。大変光栄なことです。今回この賞を受賞できた理由の1つには三脚を使ったスタティックな画にこだわって撮影したことがあると考えています。 ドキュメンタリーはカメラを担いで、どんな事象も撮り逃さないというスタイルが一般的ですが、あえてそのスタイルをやめました。その代わりに、三脚にどっしりとカメラを据えることで、いつも以上に現場をじっくりと見つめることができ、美しい富士山のふもとの牧場で暮らす家族の営みを、丁寧に撮影することができました。私に鮮烈な第一印象を残した1杯の牛乳をどう撮影するのかには、一番苦心しました。その1杯の牛乳の有難さを一番感じていたのは、佳大朗くん自身だったことに気がついたのは、彼が家を出る日の朝でした。 未熟な私をサポートするために多くの皆さんの力をお借りしました。そして何よりも私を家族のように迎えてくださった中島家があったからこそ、このような賞をいただくことができました。この場を借りて、心から深く感謝いたします。 2020年になり、新型コロナウイルスの影響が深刻さを増して世の中が大きく変容した今も、中島家の皆さんが愛情を注ぎ育てている牛たちは元気いっぱいに草を食んでいます。そして、相変わらず富士山はどっしりとその美しい姿を見せてくれています。この番組に映しこまれた佳大朗くんや家族の姿を見て、普段当たり前と思う存在の大切さを、改めて考えてもらうきっかけになってくれたらと思います。 (番組ディレクター/カメラマン 加倉井和希)
見逃し配信
「将棋界のレジェンド」羽生善治九段。タイトル戦の大舞台から遠ざかっていたが、最先端の将棋を研究、「竜王」への挑戦を決めた。迎えた七番勝負はまさかの展開に…。 ここ数年で激変した将棋界の勢力図。進化するAIを使いこなす若手棋士が台頭し、「将棋界のレジェンド」羽生善治九段もその激流に飲み込まれた。3年前に「竜王」を奪われて無冠に。大舞台から遠ざかっている間、家族との時間を大切にするなど、心身ともにリフレッシュ。さらに最先端の将棋に向き合い、「AI世代」の感覚を吸収していった。その成果が表れたのが去年秋。藤井聡太二冠を王将リーグで下し、さらに将棋界最高峰のタイトル「竜王」挑戦も決めた。相手は、かつて棋聖位を奪われた因縁のある豊島将之二冠。迎えた七番勝負はまさかの展開に…。50歳の苦闘を描く。