2020年5月2日放送 https://www.nhk-ondemand.jp/
ストーリーズ
ノーナレ
「新型コロナと音の風景」
ナレーションのないドキュメンタリー「ノーナレ」。新型コロナウイルスに揺れる町、様変わりした風景から聞こえてくる音とは…。 この春、人々の暮らしや町の景色が一変した。新型コロナウイルスが猛威をふるい、外出自粛や休業要請が全国に広がる中、暮らしや経済への影響は日に日に深刻さを増している。ガラガラの観光地、入学式を取りやめた学校、人の姿が消えた歓楽街…。経験したことがない状況の中で、人々は何を思うのか。番組では、人が消えたことによって聞こえてきた「音」を軸に町の風景を記録。日常が失われていく、1か月を見つめた。
番組スタッフから
担当ディレクターより
【制作するうえで、どんなことにこだわりましたか? 】 この番組は、ふだん“ドキュメント72時間”を作っているチームで制作しました。ドキュメント72時間が大切にしているのは、ニュースやTVドキュメンタリーが制作するの“じゃない方(オルタナティブな視点)”で世の中を見ることです。 今回のノーナレでも、出来るだけ番組制作者の思い込みを排除し、ロケチームが現場で発見した「音」と「風景」にこだわって“ルポルタージュ”を編んでいきました。なので、事前の構成はありません。次どこにロケに行くかは撮影をしながら考えていきました。現場のロケチームには大きな負担をかけましたが、他の番組にはない珍奇な「映像記録」になったのかなと思います。 【ぜひ見てもらいたいシーンは?】 編集を担当したディレクターとしては、番組最後の浅草のおみくじのシーンです。それまで番組は時系列をかたくなに守っているのですが、このシーンだけ唯一時系列を崩して入れさせてもらいました。崩してまで入れる?と編集室では議論になったのですが、ここだけわがままを言わしてもらったというか、硬質なルポルタージュに徹しきることにどこか作り手としてためらいを持ったというか。自分も含めて「当事者」なのに最後突き放しちゃっていいのかなぁと思って、はみ出たシーンを付け加えさせて頂きました。 【苦労したところ、難しかったことは? 】 「時系列にこだわる」ということでした。日々状況が変わっていく中で、どの現場をどのように描くのか事前に見通しを立てることは不可能。なので、今回の番組では徹底的に時系列にこだわりました。取材にあたる私たちも、未経験のウイルス禍に巻き込まれた当事者として、現場で発見し、現場で気付いたことに真摯でいること。TVドキュメンタリーは結論ありきと言われることがあります。取材者が神の目線を持って徹頭徹尾設計することで、過去さまざまな名作が産まれてきましたが、その方法論を捨て、今現在まで続く混乱の渦中を描き切り取るというミッションは非常にタフな作業でした。 【放送後の反響で印象的なことはありますか? 】 制作者でありながら私自身、放送当日まで目の前の番組がどんな番組か分かっていなかったのですが、意外とポジティブな反応が多くて驚きました笑。 時々、この番組は「豪華なフィラー番組(深夜帯によく流れるキレイな映像集)」で、制作者の意図はどこにある?という指摘をいただくこともあるのですが、意図を感じさせない“余白”が多かったことで、かえって視聴者それぞれの思いを投影できたのかな、と。未曾有のコロナ禍、皆が当事者だからこそ実現可能な視聴体験なのだと思います。 (番組ディレクター 占部稜)
見逃し配信
「将棋界のレジェンド」羽生善治九段。タイトル戦の大舞台から遠ざかっていたが、最先端の将棋を研究、「竜王」への挑戦を決めた。迎えた七番勝負はまさかの展開に…。 ここ数年で激変した将棋界の勢力図。進化するAIを使いこなす若手棋士が台頭し、「将棋界のレジェンド」羽生善治九段もその激流に飲み込まれた。3年前に「竜王」を奪われて無冠に。大舞台から遠ざかっている間、家族との時間を大切にするなど、心身ともにリフレッシュ。さらに最先端の将棋に向き合い、「AI世代」の感覚を吸収していった。その成果が表れたのが去年秋。藤井聡太二冠を王将リーグで下し、さらに将棋界最高峰のタイトル「竜王」挑戦も決めた。相手は、かつて棋聖位を奪われた因縁のある豊島将之二冠。迎えた七番勝負はまさかの展開に…。50歳の苦闘を描く。