特集 大河ドラマ「鎌倉殿の13人」小栗旬さん

NHK
2022年12月19日 午後6:36 公開

俳優・小栗旬さん。
大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で
鎌倉幕府の執権、
「北条義時」の波乱に満ちた人生を
見事に演じきりました。
最終回直前にこの1年の思いを伺いました。
聞き手は高瀬耕造アナウンサーです。

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高瀬:「どうですか?
義時は小栗さんの体の中から抜けましたか?」

小栗:「抜けたと思います。」

高瀬:「抜けましたか!」

小栗:「義時が抜けるときって、
体調を崩したりするのかなと思ったんですけど、
意外と元気で。
でも時々ふと思いを馳せてしまう時は
やっぱりあります。」

■小栗さんは、
権力を巡る人々の思惑に
馴染めずにいた「義時」が
いつしか自ら非情な決断を下す立場へと
変わっていく姿を演じる中で、
人間の業と向き合ってきました。
大義のために感情を押し殺していく、
かつてない主人公を演じることは
小栗さんにとって
模索の日々だったと言います。

小栗:「やっぱり大河ドラマって
どちらかというとヒーローが
最後まで負けない情熱をもって
歴史を変えるんだという思いで生きている方が
主役になってきていることが
多いと思うのですが、
今回の義時って
どこかでダークヒーローというか、
だんだん闇に染まっていっているような彼が
果たして本当にどういう最後を迎えると
彼が背負ってきた業とかそういうものが、
どういう風に着地をするんだというのが、
これしかなかったんじゃないかなというような
最後になっていると思うんですよね。」

高瀬:「どういうところが
多くの人に受け入れられた、
愛されたという風に思いますか?」

小栗:「やっぱり三谷さんが描く
キャラクターたちが、
みんな生き生きしていて、
その人たちが見せてくれるものみたいなものが
やっぱりお客さんのどこかを
刺激していったんじゃないかなと
思いますけどね。」

小栗:「ある意味、ステレオタイプみたいな
キャラクターはなかなかいなくて、
みんな人間らしくて、
どこかダメな部分を持っているし、
すごく優れた部分も持っている人たちが
生きているということが
やっぱり非常によかったんじゃないですかね。」

高瀬:「人間臭さというものが
すごくでていたということですね。」

■小栗さんは、脚本の魅力を生かしたいと
共演者と息を合わせることを
大切にしてきました。

小栗:「来るのが楽しくないという現場には
絶対にしたくないと思っていたので、
とにかく何か楽しいことを提供しようと
思っていました。」

高瀬:「撮影終了後、
三谷さんから言葉はかけられましたか?」

小栗:「本当に最後の最後を撮ったあとに、
『全部やり切ってきました。』
というメールを送ったら
『本当にご苦労様でした。』
と頂きました。
撮影が中盤すぎたくらいに三谷さんから
全部が終わったときに、
一度二人でお茶でもしましょうと
メールを頂きましたので、
ちょっと落ち着いたところで
お話をしたいです。」

■「鎌倉殿の13人」が最終回を迎えた今月、
40歳となる小栗さん。

高瀬:「小栗さんもうすぐ誕生日ですよね。
12月26日私もなんです。」

小栗:「ああ~そうなんですか!」

高瀬:「私がかつておはよう日本という番組で、
コメントしたことなんですけど読み上げますね。
『クリスマス直後に誕生日を迎える私は
街全体が祝ってくれているという勘違いも
一時はしましたが、
クリスマスが終わったあとに訪れる静寂が
私の心を傷つけます。』」

小栗:「はは~わかりますわかります。」

高瀬:「わかってくれますか、
ありがとうございます。」

小栗:「なんかこう、だいたい
クリスマスとプレゼントを一緒にされて。」

■普段だったら少し寂しい誕生日も
今年は特別な思いで迎えられると言います。

小栗:「40歳になるその歳に
大河ドラマの主役の
オファーをもらったというのは、
なんか今やれって言われているのかな
という感じもしましたし、
30代前半、20代後半くらいで、
もしこの義時をやるってなっていたら、
ちょっとまた違う形だと思うので、
すごくいい時にやらせてもらったんじゃないかな
という風に思いますね。
もうちょっと若いと
自分が頑張らなきゃいけないと
引っ張らなきゃいけないと
謎に自分でプレッシャーをかけて
自分の行動を制限してしまうような瞬間が
でていたかもですが、なので、
いいかげんに、いい加減でいたっていう。」

■「北条義時」の抱えた悩みや
苦しみを演じぬいたこの1年。
小栗さんは、俳優として
一つの区切りを打つことができたと
感じています。

小栗:「すごく大きなものの主役というものを
やらせてもらったので、次はもっと
コアなところに行ってもいいだろうし、
逆にそれを、今回を超えるような
もっと大きな場所にいってもいいだろうし、
いろんな選択肢が増えたんじゃないかな
という風に思います。
けっこうどこにでも行けるかもしれないと
感じているところがありますね。」