春場所 二桁勝利!若元春にインタビュー

NHK
2023年4月8日 午後1:09 公開

春場所、小結として挑んだ若元春(荒汐部屋) 三役 二場所目にして11勝をあげました。 得意の「左四つ」になれば、 敵なしといわんばかりの相撲内容で大活躍。 横綱大関不在の異例の場所を盛り上げました。

大関昇進の目安は三役で3場所33勝。春場所、大関とりへ起点の場所ともなった、若元春に話を聞きました。

聞き手:ゆう5時相撲部 部長 能町みね子取材・文:副部長 赤井麻衣子

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能町「今場所は小結で11勝という好成績。
自身ではどう評価しますか?」

若元春「自分としてはとれたかなと思いますけど…
いい相撲はなかったかな、と思っていて
どこが良かったと思いますか?」

能「いい相撲たくさんありましたよ!
花道のリポートでも、
ほとんど毎日反省していますが
勝っても負けても反省することに
決めてるんですか?」

若「それはありますね。
自分のよかったところよりも、
悪かったところをつぶしていかないと
それが相手にとって
攻めやすいところになってくると思うんです。
相手に嫌がられるような力士を目指したいので」

■若元春には今場所、 “相撲人生のハイライト”というほど 心にのこる一番がありました。大親友阿炎との対戦です。

普段はいつも一緒の大親友。阿炎は、若元春が幕下で伸び悩んだ時期をずっと支えてくれました。

追いかけ続けた背中、幕内3度目の対戦で今場所初勝利しました。

若「ものすごく嬉しかったですね。
いつも飲みにいくと、
“悔しかったら勝ってみろよ”と
はっぱをかけられていたんですよ。
春場所、勝った瞬間はいっぱいいっぱいで。
花道歩いている時に、
いろんな気持ちが沸き起こってきました。

自分の中では、
”相撲人生のハイライト”にはいるくらい。
取組の後、冗談めかして、
“ついにお前に負ける日が来たか…”って
言われましたね」

能「いい関係ですね」

若「本当、あいつには散々助けられてきました。
若い衆のころ、自分はもうだめだと思っていて。
愚痴を俺が言ってはよく怒られていましたね。
励ましてはくれないです、”お前がわりぃ”と
今は、肩を並べてられてはいますが、
さんざん心配かけてきたし、掛けられてきたので、
お互いがお互いを応援し合ってる感じですね」

阿炎だけでなく、春場所は好調の大栄翔、そして単独トップを走っていた翠富士を破るなど14日目まで優勝を争いました。

能「連勝ストッパーにもなっていましたよね。
調子のいい相手との取組は何か意識しますか?」

若「やっぱり考えますよね。
調子がめちゃくちゃいい相手。
勢いあるやつが一番こわいですから。
土俵上では相手の機微をみるようにしています
ちょっと固いなとか、
割と落ち着いてる?とかしっかり見るように」

能「翠富士戦に勝った後は
花道で笑顔がでていましたよね?(笑)」

若「わらっちゃうんですよ…。(苦笑)
本来は、もっといろんな取組で笑っていて
でもあんまり笑うと怒られるので
いつもは頑張って顔をつくってます」 

能「必死で我慢しているんですね。
あの日はつい笑顔がでたと」

若「ちょっと気が緩んで。
花道の奥で、付け人がすごい喜んでいたんで
それをみてちょっと…ふふふ」

能「今場所優勝は霧馬山でした。
部屋に出稽古にもよく来ていたそうですね」

若「ずーっと幕下時代から稽古して、
新十両のタイミングが一緒で
仲良くしている後輩、というか仲間ですよね。
素直にすげぇなと、
“おめでとう!”って声もかけました」

能「霧馬山関はどんな人?」

若「一言でいうなら究極に優しいと思いますね。
なんかあんまり、お相撲さん向きの性格ではない。
僕もそうかもしれないですけど…
ものすごくおだやか、ですね」

■今場所、若元春が “つまづいた”と話したのが三賞についてです。場所前、一番の目標に掲げていたのは三賞の獲得でした。

能「ぶっちゃけ私は、
今までないことがおかしいと思う!
私の中で5回くらい若元春関はもらってますね」

若「今年の大きな目標として掲げていたので、
ひとつ、つまづいたなと、
まだまだ自分が足りないだけなので、
来場所こそはとれるように、頑張りたいですね」

■今場所、小結で11勝をあげた若元春。大関昇進の目安は三役で3場所33勝、今場所は大関昇進に向けて、足場固めの場所となりました。

能「大関とりと言われることに関しては
どう感じますか?」

若「正直、自分自身がそういう
候補にあがるイメージがつかないです。
大関取りといわれると、自分がかつて見てきた、
いままでの大関のことを考えます。
魁皇関とか千代大海関とか。
はたしてその大関と肩を並べられるか?と
考えるとやっぱりまだ足りないなと実感します。

目標は最低二桁勝利です。
なんやかんや小結関脇は大関の予備軍。
であれば、同じだけ力をつけなきゃと思うので」

能「私が楽しみにしているのは、
来場所、朝乃山と当たること。
ふたりとも実力的に優勝争いに絡んでも
おかしくないと思うんです。
がちがちの右四つと左四つの対戦を期待しています」

若「高砂部屋には場所前、出稽古にいきましたが
実力の違いを見せつけられました。
まだまだ、僕は、荒いというか。
型を作りきれていないところがあるので、
自分の思う完璧に近づけるように
まだまだ頑張っていきたいですね」

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(スピンオフ★★能町部長が若元春に聞きたいアレコレ)

能「場所中はどのようにリフレッシュしていましたか?」

若「プロレスは相変わらず見てますね~。
有料サイトに登録していて、ライブで見られるんです」

能「プロレスラーと交流はあったりするんですか?」

若「新日本プロレスのタイチ選手とか。
応援してますし、仲良くしてもらっています。
むこうは相当な相撲好きなんで、
お互い、食事に行くと
僕はプロレスを熱く語って、
向こうは相撲を熱く語る。変な食事会になりますね」

能「関取が最初に憧れたお相撲さんはだれ?」

若「小学校の卒業文集かな
そこにあった好きな有名人みたいなのには、
“武蔵丸”って書いたと思います。
大相撲のゲームあったじゃないですか?
それで武蔵丸関めっちゃ使ってたんですよね」

能「最初に憧れたお相撲さんは
バーチャル武蔵丸関だったんだ」

若「そうですね!(笑)
なかなかあのゲーム難しいんですよ。
突っ張りが空をきるんですよ。
誰もいない方にシュッシュッシュッて…
つっぱってくっすね(笑)

当時は相撲みるのが嫌いだったんです。
親に見なさいと言われて…ひねくれてたんで。
そういうのを加味して、
親が相撲に興味がわくように
ゲームを与えてくれてたんですよね」

能「祖父は元小結・若葉山。
お父様は元幕下・若信夫。
ファンとしては誰か若葉山を継がない…と
思っていますが、
私、もう一つ思ったんですが、
若信夫を継ぐっていうのはない?」

若「ほんとは僕、十両に上がったら
継ぎたかったんですよ。
やっぱり、幕下までしか父親はいってないんで、
その名前をいっこあげるっていうのは、

親孝行になるかなと思って。
ただ三兄弟お揃いの名前ってなったんで、
変えるに変えられず、ここまできましたね」

能「いい話ですねぇ…!
お疲れのところいろいろ答えていただき、
ありがとうございました!」

若元春関ありがとうございました!