角番の御嶽海 “ご当地場所”で巻き返しを

NHK長野放送局 記者 横山悠
2022年7月12日 午後9:46 公開

「名古屋の暑さより熱い御嶽海を見て欲しい」

上松町出身の大関・御嶽海は、ことし5月の夏場所で負け越し、今月の名古屋場所を「角番」で迎えます。先場所の不振の理由は何だったのか、そして、いかに巻き返しをはかろうとしているのか、場所前にオンラインインタビューで聞きました。一問一答をご紹介します。

(2022年7月放送)

Q夏場所の結果を振り返って

初日はよかったが、2日目から思うような相撲を取れないというか、もどかしい相撲が14日間続いたなと

Q夏場所では何が起きていたのか

初日に右肩を負傷して、そこから(相手に右肩を)おっつけられたり、得意な「突き押し」で手を伸ばすことができなかったりした

Qけがをしたのはいつか

髙安関とやって、土俵の上から落ちたときに下に思いっきり打ったという感じ

Qどんな痛みだった

全部の動きが痛いというより、なんて言えばいいのかな。相撲は肩を使うが、そこまで肩を上げなければ痛みは生じない。だから自分の相撲だとちょっと(痛みが)生じちゃう。押し相撲だときついかなと。四つ相撲だったら痛くないのかなって初めて思った。相手を押すことが、僕の相撲の中で一番重要なものができなかった

Qけがしながら15日間出続けた理由は

大関だからこそ土俵を務めなきゃいけないというのは大きかった。休場することは頭になくて、まずは15日間やりきることを考えていた

Q得意の「突き押し」ができないなかでの工夫は

右肩を使えない状況だったので、右肩を使わないような相撲。左手を使いながら、下半身も重視しながら相撲は取っていたが、改めて(相撲は)バランス競技なんだなって思いましたね

Q自分の相撲を顧みることにつながった

やっぱり僕は押し相撲だなって。パワーがあるわけではないので全身を使う。肩から肘から背中、腰、下半身と連動させながら相撲を取っているんだって改めて思った。下半身だけじゃだめで、左手だけで何とかしようとしてもだめでしたし、全部のバランスが重要

Q夏場所は試練の場所に

ひとつ勉強になったなって。これで甘んじていられないなって。(名古屋場所は)角番だが、関脇だったら平幕に落ちているなかで大関で場所を迎える。しっかり大関という責任感ある仕事をしなきゃいけないと改めて思った

Qけがでふさぎ込んだりは

勉強になったのもそのひとつ。僕は小学校から(相撲を)やってきて、けがはそれほどしてこなかったので、けがして精神を結構もっていかれた。だからこそ強くなった、もう復活したよというのを見せるには重要な場所だと思う。自分はメンタル弱いなって先場所で改めて思いましたね

Q精神面の成長に役立った

けがはこんなにも苦しいと初めて思ったので、ひとつ上に行くための勉強として良かったかなと

Q立ち合いへの影響は

僕の場合は左踏み込みで右を突き放してるんで、右が使えないことが脳に出ちゃっているので、そうすると左足が出てこなくなる。本能的にストップが出ちゃう

Q今の調子は

調子いいです。(名古屋場所に)間に合いそうなので大丈夫です

Q先月(6月)およそ2年ぶりに出稽古が解禁されたが、御嶽海関の対応は

本当は(出稽古に)出たかったです。大関としていろんなところに出向いて稽古したかったなというのは正直ありますけど、肩と相談しながら今場所が重要だからこそ無理してやる必要はないかなと。自分のペースで乱されちゃだめだなと思ったので。ほかの力士が相撲を取っている間、基礎運動を多くやったので、そこは自信を持って今場所に臨みたい

Q名古屋場所に向けた準備は

もう基礎を重点的にやるしかなかったので、四股・すり足(をやった)。ウエートはなかなかできない部分もありましたけど、がまんしながらやって。でも四股・すり足で鍛えられると思っているので、それは多分、どの関取衆よりも多かったのかなと思う

Qほかの力士と肌を合わせられなかった不安や焦りは

不安はあります。(ほかの力士は)久々にいろんな関取衆とやって多分、場所の感覚は失っていないと思う。みんな初日から本調子でくると思うので、そこの時点でハンデはあるのかなと。まあでも、これがいつもの御嶽海かなと思うので、そのハンデもものともせずやっていきたい

Q名古屋場所は最初が重要になる

大関という気持ちじゃなくて、もう1回、下からいくという気持ちで、大関だから「がーん」と受け止めるんじゃなくて、若手みたいな前に出る、まだまだ若いなっていわれる相撲を取りたい

Q初の角番は意識せずにいく

そこは全然意識してないですね。関脇から平幕に落ちるほうが怖かったので、まだ気持ちに余裕はある

Q名古屋場所は4年前に初優勝。ふるさとにも近い、いわば“ご当地場所”だが

縁起のいい場所でもあるし、地元が近いこともあっていろいろな人が応援に一番来てくれる場所だと思っているのでね。そこでいつも以上に力を発揮できる。大関として初の名古屋場所なので、会場を沸かせたいなと

Qほかの場所とは違う感覚

特に地方場所3場所で比べると、すごい声援をもらっているし、東京の場所に比べてもひけを取らないくらい熱いエールくれるので力になっています

Q最近の暑さはどうか。

暑さは慣れている。すごい暑いと思うが、全然だらけることなく、逆に体をすごい動かしたほうがいいよっていう合図が出ているので、人一倍汗をかいている

Q暑さと寒さではどちらが得意か

僕は暑いほうが(成績が)出るかな。ここ最近は11月、1月、3月と寒い時期に好成績を残しているので逆になっていますけど、(暑さは)嫌いじゃない。体調管理は難しいが、空調も気にして、ちょっと汗ばむくらいの空調にしながら寝るとか気を使うことは多いですね

Q名古屋場所の目標は

まず10勝。それが1つの目標。そこは絶対変わらないですし、その先は大関として求められている部分だが、最低10勝。そこからです

Q意気込みは

名古屋場所は地元も近いこともあって色んな人の声援が、夏の暑い中で声援もより一層熱くなると思う場所なので、そこで活躍して10勝以上、それ以上目指してもっと熱い名古屋場所にしたいですね

Q「強い御嶽海」を期待している県民へのメッセージは

先場所ふがいない結果を出してしまったのでね。名古屋場所では、名古屋(の暑さ)より熱い大道久司、御嶽海久司を見て欲しいなと。大関としての仕事を果たしたいと思います

Q暑い名古屋場所で熱い声援を受けることでさらに熱い御嶽海になる

めちゃくちゃちんちんな御嶽海だと思います(笑)

取材者プロフィール

横山悠

平成28年入局。前橋局、松本支局を経て長野局。去年11月から御嶽海を継続取材。