旧統一教会関連団体の「推薦確認書」 県内現職国会議員をアンケート調査

NHK
2022年11月8日 午後2:26 公開

「世界平和統一家庭連合」、旧統一教会の関連団体が複数の国会議員と「推薦確認書」を取り交わしていたことが明らかになっている。NHK長野放送局では、長野県で立候補した現職の国会議員に「推薦確認書」についてアンケート調査を行った。その結果、1人が「推薦確認書」に署名を求められたものの断ったと回答した。(及川利文・長山尚史)

<「推薦確認書」とは?>

旧統一教会の関連団体、「世界平和連合」などが国会議員と取り交わしていた「推薦確認書」には、以下の5項目が挙げられている。

▼憲法を改正し安全保障体制を強化すること

▼家庭教育支援法と青少年健全育成基本法の国会での制定に取り組むこと

▼同性婚合法化などに関しては慎重に扱うこと

▼日韓トンネルの実現を推進すること

▼国内外の共産主義勢力などの攻勢を阻止すること

その上で、確認書には次のように明記されている。

「以上の趣旨に賛同し、平和大使協議会及び世界平和議員連合に入会するとともに、基本理念セミナーに参加する」

<調査の結果は?>

この推薦確認書について、NHKは長野県で立候補した現職の国会議員10人全員にアンケート調査を行った。その結果、8人は提示されたことがないと回答した。

一方、提示されたと答えたのは衆議院長野3区選出で自民党井出庸生・文部科学副大臣だ。井出氏は10月の参議院予算委員会で、立憲民主党の議員の質問に対して次のように答弁した。

「推薦確認書については、過去に関連団体の方から書類を提示され、署名を求められたことがあるが、署名については断っている」。

井出氏によると、おととし令和2年11月に、知人から旧統一教会の関連団体の関係者を紹介されたという。その際、その場で確認書を示されたが、「教会側とは距離を置くべき」との考えから、確認書への署名は断ったとしている。

衆議院比例北陸信越ブロック選出で自民党務台俊介議員は、推薦確認書の提示をされたことがあるか「調査中」と回答した。その理由は以下。

「記録には残っていないが、選挙前は各団体からの推薦や、報道機関からのアンケートなど同種の書類が多量にあり、すべての記録を残せていない可能性がある」

<旧統一教会側の主張>

では、なぜ旧統一教会の関連団体「世界平和連合」などは、国会議員に「推薦確認書」を提示して、署名を求めているのか。団体の関係者は、NHKのこれまでの取材に次のように説明している。

「平和連合の独立した意思に基づいて、政治信条が一致する個々の政治家から署名をもらっている。縛りがあるものではなく、『政策協定』ではない。団体が個々の候補者を応援することは問題ない」    

長野放送局記者 及川利文

2012年入局。千葉局、国際部、アメリカ総局を経て2021年から長野局。

長野放送局 長山尚史

平成29年入局。鳥取局を経てことし8月から長野局で警察・司法キャップ。